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貧民街の魔少年
夜の街を逃げる男Ⅲ
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塀を乗り越せて、俺は人家の方へ逃げる。
遠目に人家に見えた建物は、すでに建物と呼ぶより廃墟と言った方が正しいモノだった。
その廃墟が並んでいる。
廃墟に身を隠すように俺は倒れ込む。
逃げる間際のコーザンの打撃だ。
「ゲホッ、グハァッ!」
血が口から溢れ出る。
なんとか堪えていたのだが、限界だ。
どこか内臓が損傷している。
マズイ。
身体を動かす事が出来ない。
何か近づいてくる音が聞こえている。
なのに身体が動かない。
動いてくれないのだ。
小さい音だが、複数いる。
仰向けに倒れてる俺に誰か近づいてくる。
……目の前が暗くなる…………
「……オジサン!」
「生きてるの?!」
廃墟の中で俺は目を覚ます。
多分1時間と死んでいなかっただろう。
あれだけ苦しかった身体はピンシャンしている。
先ほどまでの廃墟では無かった。
損傷はしているものの、かろうじて家と呼べる建物の中に俺は寝かされていた。
横たわる俺の周りに居たのは幼い子供達であった。
「ホントだ、生きてる」
「チェッ、死んでると思ったのに」
「なんだー」
「今日はお肉だと思ったのにな」
何だ?
何を言ってる。
子供達は天真爛漫な笑顔を浮かべるが、俺は薄ら寒いモノを感じる。
愛らしい子供たちとは言えなかった。
服と言うよりは、服の残骸ような物をまとい明らかに汚い。
先ほどの発言もブキミすぎる。
「キミたちが俺を助けてくれたのかな?」
「そうだよ」
「あの娘が教えてくれたんだよ」
「あの娘だよ」
「あの娘がオジサンが生きてるって言ったの」
「だからその場で解体しなかったの」
「あの娘が言うからこの家まで運んだの」
子供たちが言うのが誰なのかはすぐ分かった。
一人服装が違う娘がいた。
残骸をまとわず赤いドレスを着ている。
人形のような娘がおれの目に映った。
薄暗い家の中、少女の白い肌が浮き上がって見える。
「ああ 目が覚めたんだね」
声をかけたのは少年だった。
階段の上から降りて来る。
俺の寝かされていた場所は壊れた壁から表が見える。
ここは一階だな。
ハッキリ言ってマトモな神経をしていたらこんな場所で眠る事は出来ない場所だ。
しかし周りの幼い子供達にそんな事を言えるほどの根性は俺には無い。
降りて来る少年もマトモな服装だ。
イヤ、嘘だ。
残骸を着ていないというだけでマトモな服装とは言えなかった。
薄い上着は透けており、身体を全く隠す役目を果たしていない。
少年の細い身体のラインが透けて見える。
病的なまでの白い肌がおれの目に飛び込んでくる。
裸よりもエロティックな恰好であり、間違いなくそう見せるための服装で有った。
少年が降りて来ると先ほどまで騒いでいた子供達はピタリと喋るのを止めた。
「ふふふ、ここは子供たちがうるさい。
二階へ行こうか」
俺と少年は二階の部屋にいた。
先ほどまでとは別世界だった。
狭いが奇麗な部屋、大きなベッドとソファーがある。
テーブルには酒まで置いてある。
家具も装飾が施されたお洒落なものだ。
少年がソファーに座ったので俺はベッドに座る。。
何故か横に少女がついてきて俺に寄り添うように腰掛ける。
先ほどあの娘と呼ばれていた人形のような少女だ。
近くで見ると娘のドレスもマトモとは言えないことが分かった。
赤いドレスは光の下、黒い下着が透けて見える様になっていた。
しかも上半身には下着を着けておらず、胸の先端に色づくものが見える。
見てはイケナイ物を見てしまった。
俺は少女から慌てて目をそらす。
「……オジサン。
あなたは妹と僕とどっちがいいのかな?」
少年は口元を笑みの形にしながら俺に訊ねる。
何を訊かれているのか、おおよその検討は着くが、気付きたくはない。
少年は改めて見ると整った顔立ちであった。
白い肌、銀色に光る髪。
前髪から覗く長い睫毛、濡れた様に光る瞳が俺を見つめる。
「夜、こんなところに来るのは娼店にまだ出せない年の娘を求めるオジサンくらいなんだよ」
「……もしくは男の子を求めているか……ね」
俺は「残念ながらロリコン趣味はないんだ」と言おうとしたが、口が上手くまわらなかった。
俺の腕に白い柔らかいものがまとわりついていた。
少女の手だった。
華奢な手が俺の腕に触れ、ゆっくりと手先から肩に向かって這っている。
背筋に快感が走り抜ける。
少女の手先の感触は予想外の快楽を俺にもたらした。
「……どうも、妹があなたを気に入ったみたいだな。
あなたも……男の子よりそっちがよさそうだしね」
兄妹だったのか。
確かに、抜けるような白い肌、銀髪、美少年と美少女の兄妹だ。
「…………やめるんだ!
俺には必要ない」
それだけの言葉を言うのに恐ろしいほどの努力を必要とした。
少女の目を見て話そうとして、俺は気づく。
人形のような娘と感じた理由は、少女の瞳が全く動いていないからだった。
何も映していない目が俺の方を向く。
小さい唇が開き、ピンク色の舌が口元を舐める。
唾液が赤い唇から尖った顎に向かって垂れる。
少女の唇に吸い付きたい。
その衝動を俺は全身で抑える。
だが少女の唇の方が近づいてくるのだ。
俺の首筋にキスをする少女。
全身にとろけるような快感が広がる。
俺は少女を振り払おうとするが動けない……
「妹は目が見えない、口もきけないんだ。
だから躰でコミュニケーションするのさ。
あなたが今まで経験したどんな娼婦より上手だよ」
遠目に人家に見えた建物は、すでに建物と呼ぶより廃墟と言った方が正しいモノだった。
その廃墟が並んでいる。
廃墟に身を隠すように俺は倒れ込む。
逃げる間際のコーザンの打撃だ。
「ゲホッ、グハァッ!」
血が口から溢れ出る。
なんとか堪えていたのだが、限界だ。
どこか内臓が損傷している。
マズイ。
身体を動かす事が出来ない。
何か近づいてくる音が聞こえている。
なのに身体が動かない。
動いてくれないのだ。
小さい音だが、複数いる。
仰向けに倒れてる俺に誰か近づいてくる。
……目の前が暗くなる…………
「……オジサン!」
「生きてるの?!」
廃墟の中で俺は目を覚ます。
多分1時間と死んでいなかっただろう。
あれだけ苦しかった身体はピンシャンしている。
先ほどまでの廃墟では無かった。
損傷はしているものの、かろうじて家と呼べる建物の中に俺は寝かされていた。
横たわる俺の周りに居たのは幼い子供達であった。
「ホントだ、生きてる」
「チェッ、死んでると思ったのに」
「なんだー」
「今日はお肉だと思ったのにな」
何だ?
何を言ってる。
子供達は天真爛漫な笑顔を浮かべるが、俺は薄ら寒いモノを感じる。
愛らしい子供たちとは言えなかった。
服と言うよりは、服の残骸ような物をまとい明らかに汚い。
先ほどの発言もブキミすぎる。
「キミたちが俺を助けてくれたのかな?」
「そうだよ」
「あの娘が教えてくれたんだよ」
「あの娘だよ」
「あの娘がオジサンが生きてるって言ったの」
「だからその場で解体しなかったの」
「あの娘が言うからこの家まで運んだの」
子供たちが言うのが誰なのかはすぐ分かった。
一人服装が違う娘がいた。
残骸をまとわず赤いドレスを着ている。
人形のような娘がおれの目に映った。
薄暗い家の中、少女の白い肌が浮き上がって見える。
「ああ 目が覚めたんだね」
声をかけたのは少年だった。
階段の上から降りて来る。
俺の寝かされていた場所は壊れた壁から表が見える。
ここは一階だな。
ハッキリ言ってマトモな神経をしていたらこんな場所で眠る事は出来ない場所だ。
しかし周りの幼い子供達にそんな事を言えるほどの根性は俺には無い。
降りて来る少年もマトモな服装だ。
イヤ、嘘だ。
残骸を着ていないというだけでマトモな服装とは言えなかった。
薄い上着は透けており、身体を全く隠す役目を果たしていない。
少年の細い身体のラインが透けて見える。
病的なまでの白い肌がおれの目に飛び込んでくる。
裸よりもエロティックな恰好であり、間違いなくそう見せるための服装で有った。
少年が降りて来ると先ほどまで騒いでいた子供達はピタリと喋るのを止めた。
「ふふふ、ここは子供たちがうるさい。
二階へ行こうか」
俺と少年は二階の部屋にいた。
先ほどまでとは別世界だった。
狭いが奇麗な部屋、大きなベッドとソファーがある。
テーブルには酒まで置いてある。
家具も装飾が施されたお洒落なものだ。
少年がソファーに座ったので俺はベッドに座る。。
何故か横に少女がついてきて俺に寄り添うように腰掛ける。
先ほどあの娘と呼ばれていた人形のような少女だ。
近くで見ると娘のドレスもマトモとは言えないことが分かった。
赤いドレスは光の下、黒い下着が透けて見える様になっていた。
しかも上半身には下着を着けておらず、胸の先端に色づくものが見える。
見てはイケナイ物を見てしまった。
俺は少女から慌てて目をそらす。
「……オジサン。
あなたは妹と僕とどっちがいいのかな?」
少年は口元を笑みの形にしながら俺に訊ねる。
何を訊かれているのか、おおよその検討は着くが、気付きたくはない。
少年は改めて見ると整った顔立ちであった。
白い肌、銀色に光る髪。
前髪から覗く長い睫毛、濡れた様に光る瞳が俺を見つめる。
「夜、こんなところに来るのは娼店にまだ出せない年の娘を求めるオジサンくらいなんだよ」
「……もしくは男の子を求めているか……ね」
俺は「残念ながらロリコン趣味はないんだ」と言おうとしたが、口が上手くまわらなかった。
俺の腕に白い柔らかいものがまとわりついていた。
少女の手だった。
華奢な手が俺の腕に触れ、ゆっくりと手先から肩に向かって這っている。
背筋に快感が走り抜ける。
少女の手先の感触は予想外の快楽を俺にもたらした。
「……どうも、妹があなたを気に入ったみたいだな。
あなたも……男の子よりそっちがよさそうだしね」
兄妹だったのか。
確かに、抜けるような白い肌、銀髪、美少年と美少女の兄妹だ。
「…………やめるんだ!
俺には必要ない」
それだけの言葉を言うのに恐ろしいほどの努力を必要とした。
少女の目を見て話そうとして、俺は気づく。
人形のような娘と感じた理由は、少女の瞳が全く動いていないからだった。
何も映していない目が俺の方を向く。
小さい唇が開き、ピンク色の舌が口元を舐める。
唾液が赤い唇から尖った顎に向かって垂れる。
少女の唇に吸い付きたい。
その衝動を俺は全身で抑える。
だが少女の唇の方が近づいてくるのだ。
俺の首筋にキスをする少女。
全身にとろけるような快感が広がる。
俺は少女を振り払おうとするが動けない……
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