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貧民街の魔少年
宿に辿り着いた男Ⅱ
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「いや、とんでもないサメ野郎だったな」
「サメ野郎?」
「サメだよ、アリスちゃん知ってるか?」
「人を食べるって言う大型の魚ですよね、聞いたことはありますけど」
「ヤツらは普段泳ぐのが遅いのさ。
マンボウと大して変わらない」
「……マンボウ?」
「ところが、獲物を見つけた途端速度が跳ね上がる。
自動車並みの速度を出す」
「……ジドウシャ?」
「種類によっちゃ時速80kmで泳ぐって言うぜ」
「ジェイスンさん、色んな所に行ってるだけあって意外と物知りです」
「よし、これからアイツの事はサメ野郎って呼ぼう」
「でもジェイスンさん、あれ女でしたよ」
「…………誰が?」
「マントの人、女性の身体でした」
「……ウソだろ。
マント着てて中身なんか見えなかったぜ」
「警備員と争っている時マントから身体が見えました。
間違いなく女性の体つきです」
「………………」
確かに細身の体格だとは思ったが……
「だから、サメ女ですね」
俺は宿屋へ帰った。
せまいけれど、寝具だけは上等の宿屋だ。
アリスは冒険者ギルドへ報告を一緒にしてくれと言っていた。
が、俺は大事な用があるんだと言って別れた。
大事な用とは勿論これだ。
俺は宿屋に帰る途中買い込んだモノを部屋に並べる。
エールに葡萄酒、蒸留酒もある。
俺はエールをグビグビやって、一息つく。
部屋のドアがノックされた。
俺はその時には酔っぱらいとなっていた。
あのまま宿屋で酔っぱらって寝たあげく、夕方起きた俺はまた飲んでいた。
いいじゃないか。
先日娘が大勢殺された悲しい事件に関わったばかりだってのに、今日も死にかけたのだ。
マジメそうな警備隊員は一生片手で暮らさなきゃいけないし、広場にいた家族連れは今日の事がトラウマになったかもしれない。
これが飲まずにいられるか。
部屋のドアがまたノックされる。
「ジェイスンだな」
「ピザ屋かい。
デリバリーは頼んじゃいないぜ」
「腕利きの冒険者ジェイスン様だろう。
開けておくれよ」
今度は女の声が聞こえる。
第一声とは別人・別声だ。
少なくとも扉の外に2人はいる事が分かる。
「……人違いだな。
俺はマヌケな冒険者で有名なんだ」
「いいから、開けてくれよ。
女に恥をかかせるもんじゃないぜ」
そのまま放っておくと、ドアがスゴイ音を立てて叩かれ始めた。
ガンガンと音を立てるドア。
既にノックとは呼ばない。
表にいる誰かさんが力まかせにぶん殴っているのだ。
木で出来たドアがあっという間に壊れて、中へ倒れてくる。
「女嫌いなのか?
ジェイソン、冷たいぜ」
入ってきたのは、ワンダーウーマンみたいな女だった。
全身が筋肉で出来てるのだ。
バストもスゴイ迫力だが、腕の太さの方が目立つ。
顔立ちは整っているのに、そこにはサッパリ目が行かない。
黒いTシャツから腹筋を覗かせ、下はホットパンツに網タイツだ。
筋肉のうねりが見えている。
露出度の高い格好だが、エロい目で見る男はいないだろう。
太ももが俺のウエストより太いのだ。
触ったら鉄の様に固いことが容易に想像できる。
黒の上下を着た男も入ってくる。
こっちもマッチョマンだ。
女ほど露出の高い服装じゃないから目立たないが、肩幅が俺なんかとはケタ違いだ。
「ジェイスン、ゴッドマザーがお呼びだ。
来てもらう」
「筋トレの大会でもあるのか?
おれは棄権するぜ」
「……ずいぶんと酔ってるようだな」
「ああ酔ってるさ。
ゴッドマザーとやらも酔っぱらいを招待はしてないだろう」
「飲み過ぎは毒だぞ」
「大きなお世話だ。
俺は今日の昼間死にかけたばかりなんだ。
酔っぱらったところでアンタに文句を言われる筋合いは無い」
「その件だ」
「……?……」
「お前を襲った連中、その件でマザーが力になるだろう」
「サメ野郎?」
「サメだよ、アリスちゃん知ってるか?」
「人を食べるって言う大型の魚ですよね、聞いたことはありますけど」
「ヤツらは普段泳ぐのが遅いのさ。
マンボウと大して変わらない」
「……マンボウ?」
「ところが、獲物を見つけた途端速度が跳ね上がる。
自動車並みの速度を出す」
「……ジドウシャ?」
「種類によっちゃ時速80kmで泳ぐって言うぜ」
「ジェイスンさん、色んな所に行ってるだけあって意外と物知りです」
「よし、これからアイツの事はサメ野郎って呼ぼう」
「でもジェイスンさん、あれ女でしたよ」
「…………誰が?」
「マントの人、女性の身体でした」
「……ウソだろ。
マント着てて中身なんか見えなかったぜ」
「警備員と争っている時マントから身体が見えました。
間違いなく女性の体つきです」
「………………」
確かに細身の体格だとは思ったが……
「だから、サメ女ですね」
俺は宿屋へ帰った。
せまいけれど、寝具だけは上等の宿屋だ。
アリスは冒険者ギルドへ報告を一緒にしてくれと言っていた。
が、俺は大事な用があるんだと言って別れた。
大事な用とは勿論これだ。
俺は宿屋に帰る途中買い込んだモノを部屋に並べる。
エールに葡萄酒、蒸留酒もある。
俺はエールをグビグビやって、一息つく。
部屋のドアがノックされた。
俺はその時には酔っぱらいとなっていた。
あのまま宿屋で酔っぱらって寝たあげく、夕方起きた俺はまた飲んでいた。
いいじゃないか。
先日娘が大勢殺された悲しい事件に関わったばかりだってのに、今日も死にかけたのだ。
マジメそうな警備隊員は一生片手で暮らさなきゃいけないし、広場にいた家族連れは今日の事がトラウマになったかもしれない。
これが飲まずにいられるか。
部屋のドアがまたノックされる。
「ジェイスンだな」
「ピザ屋かい。
デリバリーは頼んじゃいないぜ」
「腕利きの冒険者ジェイスン様だろう。
開けておくれよ」
今度は女の声が聞こえる。
第一声とは別人・別声だ。
少なくとも扉の外に2人はいる事が分かる。
「……人違いだな。
俺はマヌケな冒険者で有名なんだ」
「いいから、開けてくれよ。
女に恥をかかせるもんじゃないぜ」
そのまま放っておくと、ドアがスゴイ音を立てて叩かれ始めた。
ガンガンと音を立てるドア。
既にノックとは呼ばない。
表にいる誰かさんが力まかせにぶん殴っているのだ。
木で出来たドアがあっという間に壊れて、中へ倒れてくる。
「女嫌いなのか?
ジェイソン、冷たいぜ」
入ってきたのは、ワンダーウーマンみたいな女だった。
全身が筋肉で出来てるのだ。
バストもスゴイ迫力だが、腕の太さの方が目立つ。
顔立ちは整っているのに、そこにはサッパリ目が行かない。
黒いTシャツから腹筋を覗かせ、下はホットパンツに網タイツだ。
筋肉のうねりが見えている。
露出度の高い格好だが、エロい目で見る男はいないだろう。
太ももが俺のウエストより太いのだ。
触ったら鉄の様に固いことが容易に想像できる。
黒の上下を着た男も入ってくる。
こっちもマッチョマンだ。
女ほど露出の高い服装じゃないから目立たないが、肩幅が俺なんかとはケタ違いだ。
「ジェイスン、ゴッドマザーがお呼びだ。
来てもらう」
「筋トレの大会でもあるのか?
おれは棄権するぜ」
「……ずいぶんと酔ってるようだな」
「ああ酔ってるさ。
ゴッドマザーとやらも酔っぱらいを招待はしてないだろう」
「飲み過ぎは毒だぞ」
「大きなお世話だ。
俺は今日の昼間死にかけたばかりなんだ。
酔っぱらったところでアンタに文句を言われる筋合いは無い」
「その件だ」
「……?……」
「お前を襲った連中、その件でマザーが力になるだろう」
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