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貧民街の魔少年
広場にいる男Ⅱ
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広場で俺とアリスはお茶を飲んでいた。
俺は少々興奮していた。
広場の屋台で懐かしい匂いに遭遇したのだ。
「おやじ、コーヒーがあるのか?」
「ヘイッ、最近南方で流行っているお茶みたいなもんで。
試しに仕入れたんでさ」
以前にもこの世界で飲んだことは有る。
が、悲しい事にほとんど流通していないのだ。
たまに見かけるとどんな値段が付いていても飲まずにはいられない。
今回は2年ぶりくらいだろうか。
広場にはイスや丸テーブルが置かれてる。
そろそろ昼が近い。
周りには早めの昼食を屋台で買って食べる、そんな家族や旅人であふれてる。
噴水の近くではカップルが談笑している。
俺達は空いているテーブルとイスを見つけて休憩している。
「……それ、真っ黒ですよ。
人間が飲める物なんですか?」
「ああ、大人向けの飲み物だからな。
アリスには早いかな」
俺はカップを顔に近付けてコーヒーの香りを楽しむ。
「一口試してみるか?」
「飲みます!」
……か……関節キス……
アリスは何かブツブツ言っている。
まだ口は着けていないんだが。
一口飲んでアリスは吐き出した。
「に、苦いっ?!
毒です、これ毒が入ってます」
ミルクを入れてやるべきだったか。
行きがけのアリスの説明には大事なポイントが抜けていた。
イナンナの街の秩序を守っているのは騎士団、警護隊、自警団、だけじゃない
マフィア、犯罪組織である。
コナー・ファミリーはその代表格だという。
この街で商売してる人間はコナー・ファミリーに金を納めて、揉め事を解決して貰っているワケだ。
「本当は……マフィアを無くして……
自警団と冒険者ギルドの連携でやっていきたいんです」
「でもコナーは貴族とも繋がってます。
いきなりコナー・ファミリーを敵に回すほどの力はギルドには無いです」
「フーン……見たところこの街は平和だ。
コナー・ファミリーは最低限常識はわきまえてるってことだろう?」
「それは……日の当たるところはそうです。
……でも陰では!
この前の事件みたいに女性が攫われている!
ファミリーに逆らった店が潰されてる!」
アリスは興奮して、涙目になっている。
そういえば先日の事件で知人を亡くしたんだったか。
「分かった。
良く知らないで言った俺が悪かった。
謝るから泣かないでくれ」
「ジェイスンさんが悪いんじゃありません。
謝らないでください」
「あっちの屋台で菓子を売ってたぜ。
なにかおごるよ」
「……わたしを子供だと思ってませんか?
ジェイスンさん、失礼です」
……そこは今夜お酒に誘うところです……
またなにか口の中でブツブツ言っている。
俺はアリスから意識を別の方に向けていた。
俺達のテーブルに近づいてくる連中がいるのである。
「よう 冒険者のジェイスンってのはお前だな!」
3人組は広場には似合っていなかった。
街中だってのに剣を鞘にも入れていない作法の無いヤツらである。
「いいや、おれはフレディ。
神殿で働いてるんだ」
俺は先日知り合った女性のプロフィールを無断借用した。
「……アリス、座ってるんだ。
ただの人違いだよ」
立ち上がって何か言いかけるアリスを黙らせる。
男がジロジロおれを見る。
「黒髪、黒い瞳でやせっぽちのオッサン」
「コーザンさんに聞いた通りダロ」
髪を赤く染め逆立てている男がナマリの入った言葉で答える。
もう一人も似たような髪を染めた若僧だ。
流行っているのか?
目的はお洒落じゃなくて威嚇だろう。
まっとうな商売の青年じゃないのは間違いないがプロのマフィアという雰囲気じゃない。
路地裏の不良少年といったところだ。
問題はその後ろにいるヤツだった。
旅人の帽子を深くかぶり、マントで体を隠している。
中身が分からないが、剣呑な雰囲気が漂っている。
俺はそいつに注意を向けていた。
案内役の不良少年2人と剣呑な実力者1人の3人組か。
「サマラさん、お願いします」
「……分かった。
そいつを殺す」
いや、会話の文脈がおかしい。
そこは捕まえるとか痛い目に合わせるじゃないのか。
見ると若僧2人も目を見開いている。
予想外のセリフだったらしい。
そいつが俺に向かって走って来た。
マントから刀を抜いて!
正気かよ?!
辺りには昼食を楽しむ家族連れや、デートしているカップルがいる空間なのだ。
狂気の沙汰だ。
俺はイスで刃物を受け止めた。
ところが、受け止めたと思ったイスの脚はキレイに両断されていた。
飛び下がって、刀の攻撃範囲から離れる。
マントの男から距離を取り観察する俺。
周りにいた家族が叫び声を上げる。
「キャーーッ!!」
「なに? 何なの!」
俺は少々興奮していた。
広場の屋台で懐かしい匂いに遭遇したのだ。
「おやじ、コーヒーがあるのか?」
「ヘイッ、最近南方で流行っているお茶みたいなもんで。
試しに仕入れたんでさ」
以前にもこの世界で飲んだことは有る。
が、悲しい事にほとんど流通していないのだ。
たまに見かけるとどんな値段が付いていても飲まずにはいられない。
今回は2年ぶりくらいだろうか。
広場にはイスや丸テーブルが置かれてる。
そろそろ昼が近い。
周りには早めの昼食を屋台で買って食べる、そんな家族や旅人であふれてる。
噴水の近くではカップルが談笑している。
俺達は空いているテーブルとイスを見つけて休憩している。
「……それ、真っ黒ですよ。
人間が飲める物なんですか?」
「ああ、大人向けの飲み物だからな。
アリスには早いかな」
俺はカップを顔に近付けてコーヒーの香りを楽しむ。
「一口試してみるか?」
「飲みます!」
……か……関節キス……
アリスは何かブツブツ言っている。
まだ口は着けていないんだが。
一口飲んでアリスは吐き出した。
「に、苦いっ?!
毒です、これ毒が入ってます」
ミルクを入れてやるべきだったか。
行きがけのアリスの説明には大事なポイントが抜けていた。
イナンナの街の秩序を守っているのは騎士団、警護隊、自警団、だけじゃない
マフィア、犯罪組織である。
コナー・ファミリーはその代表格だという。
この街で商売してる人間はコナー・ファミリーに金を納めて、揉め事を解決して貰っているワケだ。
「本当は……マフィアを無くして……
自警団と冒険者ギルドの連携でやっていきたいんです」
「でもコナーは貴族とも繋がってます。
いきなりコナー・ファミリーを敵に回すほどの力はギルドには無いです」
「フーン……見たところこの街は平和だ。
コナー・ファミリーは最低限常識はわきまえてるってことだろう?」
「それは……日の当たるところはそうです。
……でも陰では!
この前の事件みたいに女性が攫われている!
ファミリーに逆らった店が潰されてる!」
アリスは興奮して、涙目になっている。
そういえば先日の事件で知人を亡くしたんだったか。
「分かった。
良く知らないで言った俺が悪かった。
謝るから泣かないでくれ」
「ジェイスンさんが悪いんじゃありません。
謝らないでください」
「あっちの屋台で菓子を売ってたぜ。
なにかおごるよ」
「……わたしを子供だと思ってませんか?
ジェイスンさん、失礼です」
……そこは今夜お酒に誘うところです……
またなにか口の中でブツブツ言っている。
俺はアリスから意識を別の方に向けていた。
俺達のテーブルに近づいてくる連中がいるのである。
「よう 冒険者のジェイスンってのはお前だな!」
3人組は広場には似合っていなかった。
街中だってのに剣を鞘にも入れていない作法の無いヤツらである。
「いいや、おれはフレディ。
神殿で働いてるんだ」
俺は先日知り合った女性のプロフィールを無断借用した。
「……アリス、座ってるんだ。
ただの人違いだよ」
立ち上がって何か言いかけるアリスを黙らせる。
男がジロジロおれを見る。
「黒髪、黒い瞳でやせっぽちのオッサン」
「コーザンさんに聞いた通りダロ」
髪を赤く染め逆立てている男がナマリの入った言葉で答える。
もう一人も似たような髪を染めた若僧だ。
流行っているのか?
目的はお洒落じゃなくて威嚇だろう。
まっとうな商売の青年じゃないのは間違いないがプロのマフィアという雰囲気じゃない。
路地裏の不良少年といったところだ。
問題はその後ろにいるヤツだった。
旅人の帽子を深くかぶり、マントで体を隠している。
中身が分からないが、剣呑な雰囲気が漂っている。
俺はそいつに注意を向けていた。
案内役の不良少年2人と剣呑な実力者1人の3人組か。
「サマラさん、お願いします」
「……分かった。
そいつを殺す」
いや、会話の文脈がおかしい。
そこは捕まえるとか痛い目に合わせるじゃないのか。
見ると若僧2人も目を見開いている。
予想外のセリフだったらしい。
そいつが俺に向かって走って来た。
マントから刀を抜いて!
正気かよ?!
辺りには昼食を楽しむ家族連れや、デートしているカップルがいる空間なのだ。
狂気の沙汰だ。
俺はイスで刃物を受け止めた。
ところが、受け止めたと思ったイスの脚はキレイに両断されていた。
飛び下がって、刀の攻撃範囲から離れる。
マントの男から距離を取り観察する俺。
周りにいた家族が叫び声を上げる。
「キャーーッ!!」
「なに? 何なの!」
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