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イナンナの暗黒神殿
地下にいる男Ⅲ
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俺は地下の牢屋で聖女サマに語り掛ける。
だけど君の命くらいは俺が守るよ。
ここから逃げ出そう。
冒険者として俺だってベテランだ。
身を隠す術くらいは有る。
「クレイブンの悪事は俺だって予想がついてる。
連続して起きてる山賊事件は奴の仕業だな」
自分の手駒に商隊を襲わせて、警備に当たってる騎士団の信用を落とす。
クレイブン侯爵のライバル・シェイ伯爵は騎士団が活躍してこその人気だ。
それが無くなれば当然シェイ伯爵の発言力は落ち、その分クレイブンの力が増すって寸法だ。
しかしこれだけ死人が出て、ウワサにもなってる。
いずれどこかでバレてクレイブンは身の破滅さ。
現に俺のようなマヌケにだって気付かれてるんだ。
「クレイブンが自滅したら、キミは自由の身だ。
『黒衣の医者』もそれだけの有名人なら冒険者ギルドが探し出せるだろう。
金は問題だが……何とかするさ」
「……そうなの……
本当にあなた、どの貴族の密偵でも無いのね」
「そうさ、一匹狼の冒険者だ。
でも心配は要らない。
こう見えても腕は確かなんだぜ」
「……あれは?
ダデルソンが言っていた。
あなたは死んでいるはずだって」
「ちょっとした仕掛けだよ。
服の下に血糊を隠しとく。
服を切っただけなのに血がドバドバ出る。
やった側は致命傷を与えたもんだと思い込むのさ。
小細工も冒険者として生きていくのには必要ってワケさ」
「……そう……そうなの……」
俺に身を寄せていたフレデリカが立ち上がる。
「残念……本当に残念だわ」
牢屋の扉からスルっと抜け出していく。
「おい、フレデリカ?!」
追いかけようとした俺
しかし、その前に彼女と入れ替わりに入ってきた男が立ちふさがる。
ダデルソンと大男だった。
後ろには金仮面を着けたクレイブン侯爵まで居る。
「よう色男!
オマエは本当にマヌケだよ」
ダデルソンがニヤニヤと笑う。
「知ってるよ。
今もイヤになるくらい思い知った」
「ムダな時間をかけさせおって!
本当にただのドブネズミだったとはな」
金ピカの仮面を外してクレイブンが俺をを睨みつける。
顔をみせるのは見られてもかまわないと思っているからだろう。
「こいつを神殿に連れていけ!
『あれ』にかける」
「閣下!
『あれ』は修理したばかりですぜ」
「だから、試運転だよ。
明日の夜には大勢の客が来る。
客の居る前で失敗は出来ん」
大男とダデルソンが俺を牢屋から引っ張り出す。
「お前、クレイブン侯爵を怒らせちまったな。
そうでなきゃおれたちの仲間入りして、うまい汁を吸えたかもしれなかったのにな」
「別に就職活動はしていないぜ」
驚いたことにダデルソンは本気で俺を気の毒がっていた。
どうも猛烈にイヤな予感がしてきた。
俺は地下神殿に連れてこられ、手足を拘束されていた。
既に朝を迎えているようだ。
大男が「おまえのせいで徹夜じゃねーか」とグチを言う。
「奇遇だな、俺も寝てないんだ。
どうだ、みんなひと眠りして元気になってからやりなおさないか?
睡眠不足はお肌によくない」
「クククッ……
終わらせたら俺たちは寝るさ。
お前は肌の心配する必要は無くなるよ」
俺は謎の装置に手足を広げた格好で縛り付けられる。
金属製の巨大なタライといった見た目で下には複数の穴が空いている。
人間数人は横に眠れるサイズだ。
大男が壁のハンドルを廻すと、俺はは巨大タライごと天井に上昇していく。
天井には金属製のトゲが付いていた。
誰でもアドベンチャー映画やアニメで一度は観たことがあるだろう。
下に居る人間を押しつぶそうと落ちてくるトゲトゲ天井。
その逆バージョンだった。
横倒しに縛られたおれの身体はトゲトゲに向かっていく。
「待ってくれ!
話し合おう!
人間に一番大事なのは対話だ!」
俺は声の限り叫んだ。
上がっていくスピードは落ちない。
対話の重要性は理解されなかったらしい。
「クレイブン!
ダデルソン!
必ず復讐するぞ、覚えていろ!!」
俺の胸元に鋭く尖った金属が突き刺さる。
服を貫き、胸の肉がハジけ、痛みと温かい物が流れ出すのを感じる。
顔を下に向ければ真っ赤になっているだろうが、俺には下を見る余裕が無い。
金属の先端がが鼻に当たりそうになり、顔を横倒しにして逃げる。
が、すぐ側頭部尖った金属がせまってくる。
腹の肉に。
肩の筋に。
胸の肋骨に。
ぬるぬるとした温かい物が溢れ出す。
頭が押し潰される。
俺の頭蓋骨が軋みを上げているのだ。
これ以上押されても引っ込まないよ。
ムリだよ。
ムリなんだ……
……グシャリ、と何かが壊れる音が聞こえた……
だけど君の命くらいは俺が守るよ。
ここから逃げ出そう。
冒険者として俺だってベテランだ。
身を隠す術くらいは有る。
「クレイブンの悪事は俺だって予想がついてる。
連続して起きてる山賊事件は奴の仕業だな」
自分の手駒に商隊を襲わせて、警備に当たってる騎士団の信用を落とす。
クレイブン侯爵のライバル・シェイ伯爵は騎士団が活躍してこその人気だ。
それが無くなれば当然シェイ伯爵の発言力は落ち、その分クレイブンの力が増すって寸法だ。
しかしこれだけ死人が出て、ウワサにもなってる。
いずれどこかでバレてクレイブンは身の破滅さ。
現に俺のようなマヌケにだって気付かれてるんだ。
「クレイブンが自滅したら、キミは自由の身だ。
『黒衣の医者』もそれだけの有名人なら冒険者ギルドが探し出せるだろう。
金は問題だが……何とかするさ」
「……そうなの……
本当にあなた、どの貴族の密偵でも無いのね」
「そうさ、一匹狼の冒険者だ。
でも心配は要らない。
こう見えても腕は確かなんだぜ」
「……あれは?
ダデルソンが言っていた。
あなたは死んでいるはずだって」
「ちょっとした仕掛けだよ。
服の下に血糊を隠しとく。
服を切っただけなのに血がドバドバ出る。
やった側は致命傷を与えたもんだと思い込むのさ。
小細工も冒険者として生きていくのには必要ってワケさ」
「……そう……そうなの……」
俺に身を寄せていたフレデリカが立ち上がる。
「残念……本当に残念だわ」
牢屋の扉からスルっと抜け出していく。
「おい、フレデリカ?!」
追いかけようとした俺
しかし、その前に彼女と入れ替わりに入ってきた男が立ちふさがる。
ダデルソンと大男だった。
後ろには金仮面を着けたクレイブン侯爵まで居る。
「よう色男!
オマエは本当にマヌケだよ」
ダデルソンがニヤニヤと笑う。
「知ってるよ。
今もイヤになるくらい思い知った」
「ムダな時間をかけさせおって!
本当にただのドブネズミだったとはな」
金ピカの仮面を外してクレイブンが俺をを睨みつける。
顔をみせるのは見られてもかまわないと思っているからだろう。
「こいつを神殿に連れていけ!
『あれ』にかける」
「閣下!
『あれ』は修理したばかりですぜ」
「だから、試運転だよ。
明日の夜には大勢の客が来る。
客の居る前で失敗は出来ん」
大男とダデルソンが俺を牢屋から引っ張り出す。
「お前、クレイブン侯爵を怒らせちまったな。
そうでなきゃおれたちの仲間入りして、うまい汁を吸えたかもしれなかったのにな」
「別に就職活動はしていないぜ」
驚いたことにダデルソンは本気で俺を気の毒がっていた。
どうも猛烈にイヤな予感がしてきた。
俺は地下神殿に連れてこられ、手足を拘束されていた。
既に朝を迎えているようだ。
大男が「おまえのせいで徹夜じゃねーか」とグチを言う。
「奇遇だな、俺も寝てないんだ。
どうだ、みんなひと眠りして元気になってからやりなおさないか?
睡眠不足はお肌によくない」
「クククッ……
終わらせたら俺たちは寝るさ。
お前は肌の心配する必要は無くなるよ」
俺は謎の装置に手足を広げた格好で縛り付けられる。
金属製の巨大なタライといった見た目で下には複数の穴が空いている。
人間数人は横に眠れるサイズだ。
大男が壁のハンドルを廻すと、俺はは巨大タライごと天井に上昇していく。
天井には金属製のトゲが付いていた。
誰でもアドベンチャー映画やアニメで一度は観たことがあるだろう。
下に居る人間を押しつぶそうと落ちてくるトゲトゲ天井。
その逆バージョンだった。
横倒しに縛られたおれの身体はトゲトゲに向かっていく。
「待ってくれ!
話し合おう!
人間に一番大事なのは対話だ!」
俺は声の限り叫んだ。
上がっていくスピードは落ちない。
対話の重要性は理解されなかったらしい。
「クレイブン!
ダデルソン!
必ず復讐するぞ、覚えていろ!!」
俺の胸元に鋭く尖った金属が突き刺さる。
服を貫き、胸の肉がハジけ、痛みと温かい物が流れ出すのを感じる。
顔を下に向ければ真っ赤になっているだろうが、俺には下を見る余裕が無い。
金属の先端がが鼻に当たりそうになり、顔を横倒しにして逃げる。
が、すぐ側頭部尖った金属がせまってくる。
腹の肉に。
肩の筋に。
胸の肋骨に。
ぬるぬるとした温かい物が溢れ出す。
頭が押し潰される。
俺の頭蓋骨が軋みを上げているのだ。
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