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その6 危険な瞳

第89話 凍り付くエステルちゃん

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これは『虎タル』さんから後で聞いたおはにゃし その3

「エッ?
 どーしたの? みんな」
「みんな、なにか苦しそうだよ」

エステルちゃんとステュティラちゃんの周りでは。
ヴィルーパークシャを見てしまった戦士たちが呻き声を上げて次々倒れていくの。

「あの魔物《ダェーヴァ》が何かしたのかしら」

エステルちゃんは思案気。

ステュティラちゃんがいきなり頭を抱えてしゃがみ込む。

「ど、どーしたの? 大丈夫?!」
「……エステル……
 アタシいきなりイヤなコト思い出した……」

「……ステュティラちゃん……
 どーしたの?
 地獄の底から聞こえて来るような声だよ」

「アタシ、アタシ9歳の時に……
 もう9歳だってのに! オネショしちゃったの!
 それも情けないんだけど!
 それ以上に……それをアレシュに見られたの。
 アイツ、指差して大声で笑いやがったのよ!」

「それは……
 ステュティラちゃん大丈夫!
 9歳なら、まだオネショしちゃった子だってたくさんいるよ。
 ……あたしは無いけど……
 それは悪いのはアレシュさんだよ。
 デリカシーが無さすぎるわ!」
「そう……そうよね。
 アレシュが悪い!
 全部思い出したわ。
 今度会ったらアレシュのヤツ!
 ぶっとばしてやるわ!」

『虎タル』さんのはにゃしだからどこまでホントウだか良く分からにゃい。
けど。
ステュティラちゃんはアレシュ青年に怒りをぶつけて、それで結構立ち直ったみたい。
さすが、ステュティラちゃん。
悩んだりしにゃい明るい前向き少女ね。

エステルちゃんは辺りを見回す。
大人の戦士たちはみんな口の中でブツブツ言ってまともに動けずにいる。


あのトーヤー隊長でさえ。

「兄さん、義姉さん!
 わたしはホントウに族長の座なんて狙っていない。
 わたしはタダみんなが平和に暮らせるようにと……」

取り乱したように森の木を叩いていて、周りを見ていない。


ステュティラちゃんはイヤなコトを思い出した、と言っていた。
もしかして……みんな嫌な記憶を思い出している?

あの魔物ダェーヴァのシワザなの?

エステルちゃんは近付いてきたヴィルーパークシャを見上げる。
その頭部にある巨大にゃ一つ目。
その目に吸い込まれるように。
エステルちゃんは凍り付いた様に動かにゃくにゃってしまった。
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