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その6 危険な瞳

第85話 耳をつんざく

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轟々と音を立てて飛んで行く。
それは剣。

普通の剣を投げたくらいで発生するようにゃ音じゃにゃいの。
戦闘機が音速で飛んで行くようにゃ耳をつんざく音。
見た目には普通の剣だけど。
エラティ隊長の加護。
特殊能力で質量が加えられているんだわ。

ヴィルーパークシャ。
巨大にゃ象の魔物ダエーヴァに向かい飛んで行く。

刺さった!
剣は魔物ダエーヴァの下半身、お尻の辺りに突き立った。
その身体が衝撃を喰らったように横にブレる。

象の後ろ脚の付け根が大きく切り裂かれているわ。

PPAAAwwwwoooooooON!!!

弓矢の攻撃が身体に刺さってもビクともしなかった巨獣にゃんだけど。
これはさすがにダメージが大きかったみたいね。

叫び声を辺りに響かせる。
そのまま逃げるように走り去っていくわ。

あら? 大丈夫?!

剣を投げた美少年。
エラティ隊長が膝をついている。
そのまま地面に横ににゃっちゃった。

「みゃーん。
 みゃみゃみゃーーん」

大丈夫?
わたしはその身体に近付いて右手の肉球でポンポンしてみる。

「大丈夫だよ、みゃーちゃん。
 心配しないで。
 アシャー様の加護は凄いんだけど、
 使い過ぎるととっても疲れるんだ」

「僕ちょっと休んじゃうよ。
 おやすみ……」

ええっ? 寝ちゃうの?
疲れる、それは分かる気がするわ。
重力にゃんて普通の人間に扱えるモノじゃにゃい。
巨大にゃ力を使えばトーゼン疲れるでしょう。

エラティ隊長はそのまま、地面で眠りだしてしまった。
お洋服が汚れちゃうわよ。

規則正しい寝息。
ホントウに疲れているだけで、それ以外に問題はにゃさそう。

周囲に居た一番隊の人たちは対照的に起きてきた。

「一体何が起きたんだ……」
「おれ、おれ……スゴク嫌なコトを思い出してた……」

「俺もだ。
 チクッショウ。
 絶対思い出したくないようなコトを無理やり掘り返されたみたいだぜ」
「あの魔物ダエーヴァの目を見た途端、何がなんだか分からなくなって」

「良くは分からんが多分、魔物ダエーヴァにやられたんだ」
「それで、エラティ隊長が助けてくれたってワケか……」

うん。
みんにゃ正気付いてるわね。


「みゃー様、みゃー様。
 タイヘンですみゃ」

灰色猫が騒いでいる。
『逃げ足のグレイ』さんはヴィルーパークシャに怯えて、小さくにゃってたんだけど。
巨獣が行っちゃって、やっと元気を取り戻したみたいね。

「あら、グレイさん。
 さっきはありがと。
 あにゃたのおかげで目が覚めたわ」

「それどころじゃにゃいんですよ。
 みゃー様、大変です!
 みゃー様の家族に危険がせまってみゃす!」
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