くろねこ男爵の冒険 「その人は砂の国ペルーニャで猫侍に生まれ変わり、少女を助けて戦うのだっ!!」

くろねこ教授

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その6 危険な瞳

第72話 エラティさんの欠点

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VVOOOOOOWW!!

ダメージを受けて、突撃を中断した魔物。
漆黒の髪の少年はその顔を踏みつけて、ヒョイとサイラスの横へ。

「あ、エラティ隊長?!
 あ、ああ、ありがとうございますっ」


サイラスの方はまだ自分が助かったのが信じられにゃい表情ね。

「うーん。
 アイツかったいなー」
美少年は呟く。

そうにゃのよね。
エラティ隊長のダマスカスブレード。
華麗に宙から大きく斬り付けている。
タウエレトの背中には切り傷が出来て血は流れ出しているのだけど、そんにゃに大きな傷には見えにゃい。

VVVOOOOOOOOOWW!! VVVOOOOOOOOOWW!!

デカイ鱗を持つ河馬の魔物。
怒った顔で、エラティ隊長とサイラスを睨みつけてる。


「……エラティ隊長の剣でも聞かないなんて」

「……うーん……」

エラティ隊長は思案気。

「シラスくん。
 キミ、少しあの魔物を引き付けておける?」

「ええっ、あ……いや、やります」

「あのねぇ、キミ言ってたじゃない。
 体を地面に引き付ける力を操れるって。
 それはウソじゃないんだけど。
 欠点も有ってさ。
 剣の斬撃も軽くなっちゃうんだよね」

……斬撃が軽くにゃる?
わたしは剣なんて振ったコトもにゃいから良く分からにゃい。
けど、格闘家の人が言うのを聞いたコトが有る気がする。
体重の乗ったパンチを喰らわせる、とかそんにゃ言葉。

剣も上から下へと振り抜く。
その時に重力の助けを借りて攻撃力を増す。
いわゆる位置エネルギーってヤツね。

はるか昔ににゃらった記憶が有るわね。
位置エネルギー、ポテンシャルとも呼ばれる。
それは物体の質量、高さ、重力加速度の積で得られる……だったかしら。

そうね。
エラティ隊長は重力を操って身を軽くしている。
それがホントだとしたら、重力加速度が加わらにゃい。
物体の質量の計算じたい変化するのかも。

剣の重さだけじゃにゃい。
本来そこに加わる、エラティ隊長の重さ、それが加わらにゃい。

そんにゃ攻撃でも、速度を乗せて鋭い刃物による斬撃。
アンズー相手にゃら十分通用したけど。
今、目の前にいるのはタウエレト。
鰐のようなウロコを持つ、固くてタフな魔物ダェーヴァ
一番隊隊長、エラティさんのダマスカスブレードによる攻撃でもウロコを軽く切った程度。


「そ、そんな弱点も有ったんですね。
 分かりました。
 ここは俺がなんとか……」

サイラスは槍で距離の離れたタウエレトの顔面を狙ってるわ。
にゃがい槍ね。
自分の身長より遥かににゃがい。
もしかしたら3メートルくらい有るんじゃにゃい。
そんにゃ長い槍をサイラスは器用に操る。
牽制にゃのかしら。
軽く鼻先に槍の刃先を突き出しては、引っ込め、又突き出す。

魔物も喉の奥で不満そうにうにゃりにゃがら、すぐには突撃出来にゃいでいる。
でもタウエレトは様子を見てるだけよ。
すぐ本気で攻撃してくるわ。
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