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その4 魔物討伐隊

第61話 アシャー神の加護

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「アシャー神の加護?
 ……ってどんななんです?」

「ああ、アレだよ」

戦士の一人が指を指す。
その先には剣を構えて、天に視線を投げるエラティ隊長。
静かにゃ殺気を放ちつつも、余裕の有る微笑みを浮かべている。

その足が地面を蹴った。
と、思うと信じられない高さを舞う。
えええっ?!
身長の倍以上、5メートルくらいは跳んでるんじゃにゃいの。
幾ら身軽にゃ美少年でも人間の出来るコトじゃにゃいわ。

「なんてジャンプ力?!
 アシャー神の加護ってジャンプ力が強くなるコトなんですか」

「……いや、そうじゃねーんだ」
「……正直、俺らも良くは分かってねーんだけど」

アレシュ青年が驚いて尋ねるけど、戦士の人も自信にゃさげ。


「アレシュ、一番隊の隊長だぞ。
 その位知っとけよ」

しゃしゃり出て来たのは見たコトある男ね。
誰だったかしら。

「サイラスさん、知ってるんですか?」

「アッタリマエだ。
 あのな、人間が跳び上がると……
 地面に落ちるだろ、大地に引っ張られるワケだ。
 これがつまり、地面に人やモノを引き付ける力、なんだよ。
 その引き付ける力、そいつをエラティさんは操れるんだ」

「引っ張る力……?
 ジャンプしたら、もちろん落っこちますけど……
 それを操る……良く分かんないですね」

「ヘッ!
 アレシュにはまだ分かんねーかもな。
 アシャー様は十二大神の一人、加護を受けた人は少ないし、受けた人も上手く操れる人間は少ねーんだ。
 あんな風に使いこなすのはエラティ隊長くらいなのさ」

「だから……『天のエラティ』……」

地面から見るとエラティ隊長は天高く、跳び上がる。
宙で華麗に舞うように回転。
その勢いで刀をアンズーに叩きつける。


……地面に引っ張る力……って重力じゃにゃいの。
重力……重力っていつ発見されたんだったかしら。
アレよね、ニュートンのリンゴ。
近代の直前、16、17世紀ごろよね。
この砂の国の時代はわたしには分からないけど。
鉄製品は普通に出回っている。
だけど、自動機械は見かけない。
自動車も鉄道もにゃいわ。
まだ、重力と言う概念が発見されてにゃい。
もしくは発見されていても、一般には広まっていにゃい。
そんなカンジかしら。

んんん。
というコトは……
エラティさんってば、重力を操れるの?!
スゴクにゃい?
とんでもにゃいわ!

空だって飛べる。
タ〇コプター要らずで自由に空を飛べるの?!

いくらにゃんでもスゴ過ぎにゃい?

そう思って見ると……
エラティ隊長は信じられにゃいようにゃジャンプ力。
空高く跳び上がって、舞うように戦うけれど。
その後は地面に降りていく。

うん。
そうよね。
重力を操れるって言っても、そんにゃ好き勝手、自由自在に使えるワケじゃにゃいんだわ。
身軽にジャンプ出来るとか、そのくらいにゃのね。
それだけでも十分スゴイ事だけど。
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