くろねこ男爵の冒険 「その人は砂の国ペルーニャで猫侍に生まれ変わり、少女を助けて戦うのだっ!!」

くろねこ教授

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その4 魔物討伐隊

第54話 ときめきのエステル?

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聞いたような声がすると思ったら。
アレシュ青年が走ってきてる。

「なに走ってんのよ、アレシュ」

「ああ、ステュティラ……とエステルさん。
 お前、エラティ隊長見なかったか?」

「エラティ隊長?」
「エラティって誰だっけ?」

「ステュティラちゃんー、一番隊の隊長さんだよ」
「えーとえーと……
 最近いろんな人に逢ったじゃない。
 誰が誰だか分かんないよー」

「オマエな、隊長くらいは覚えとけよ」
「なによー、アレシュ。
 文句あんの?」

「それで、アレシュさん。
 エラティさんがどうかしたんですか?」

「あ、ああ、エステル……さん。
 もう集合時間なのにいないんだ。
 早い時間に見たって人も居るんだけど」

その話題のエラティさんはわたしの目の前で伸びをしてる。

「ん-ーん、もう忙しいなぁ」

腕を伸ばしたり、足を伸ばしたりしていたかと思うと。
美少年はパッと木の上から飛び降りていく。

首を捻ってるステュティラちゃん。

「エラティねー。
 ナシール副団長なら、ハンサムだったしー。
 覚えてるけど……」
「……けど、僕は覚えて無いんだ」

その後ろにシュタっと降り立つエラティ隊長にゃの。

「わーっ?!」
「エラティさん?!」
「エラティ隊長っ?!」

「あー、ごめんね。
 驚かしちゃった?」

「何処にいたんですか?」

アレシュ青年は大慌てしてる。

「早めに来て寝てたんだよ。
 今、起こして貰ったの」

そう言ってエラティ隊長がわたしの方を指さそうとしている。
わたしはサッと木の幹に隠れたわ。
エステルちゃんたちには気付かれにゃかったハズ。

エラティ隊長はおやっという表情を一瞬浮かべる。

「起こして貰った?」
「誰にですか?」

「ん……いや、アレシュの僕を探す声が聞こえたからさ。
 それで起こされたって意味」

エラティさん、にゃんか上手く誤魔化してくれるみたい。
さっすが美少年ね。
気付かれたくにゃいわたしのおんにゃ心を察してる。

「行こうか、もう時間でしょ」
「あ、はい、行きます」

エラティ隊長とアレシュ青年が走っていく。

「アレ、アタシたちも行った方が良いのかしら?」
「違うよ、ステュティラちゃん。
 エラティさんは本隊。
 あたしたちは支援部隊。
 こっちでトーヤー隊長の元に集合だよ」

「えーっ?!
 じゃ、アレシュとさっきのナントカは森に攻め込む係なの。
 なんでー、アタシもそっちに行きたい」
「ナントカじゃなくてエラティ隊長。
 覚えなよ。
 ……あの人だってハンサムじゃない。
 笑顔も素敵だし、
 ナシールさんよりもカッコイイかも……」
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