くろねこ男爵の冒険 「その人は砂の国ペルーニャで猫侍に生まれ変わり、少女を助けて戦うのだっ!!」

くろねこ教授

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その3 女神さまの指令

第49話 砂船乗り

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その晩のコト、護衛団から帰ってきたエステルちゃんは言い出したの。

「母さん、明日あたしニャーヒードの森に行く事になったわ。
 討伐隊に参加するの。
 初任務だわ、緊張するー」

「えええっ?!
 エステル、まだ見習いとして入ったばかりでしょう。
 そんな魔物ダェーヴァの討伐隊なんて危険じゃないの?」

「大丈夫。
 本隊じゃなくて後方支援なの。
 街のすぐそばの森だし。
 そんなに危険は無いハズよ」


エステルちゃんの言葉を聞いてヘレーナさんは心配してる。
そうよね。
エステルちゃん、まだ12歳の子供だものね。
日本で言ったら小学校卒業したばかりよ。
わたしも気になっちゃうわ。

「あの森は……
 だけど最近、魔物ダェーヴァがスゴク増えてるって噂じゃない。
 それこそ危険な場所よ」

魔物ダェーヴァが増えてるから討伐隊を出すのよ。
 あたしの詳しい任務内容はまだ分かって無いけど……
 森の入り口で控えていて、ケガ人の手当てや搬送。
 後は緊急事態が有ったら対処する……のかな」
 
「フーン。
 その位なら、大丈夫かしら」

凄いわね、エステルちゃん。
ステュティラちゃんなら森へ突っ込むわー。
と言い出す声が聞こえそうだもの。
エステルちゃんは自分の役割が理解出来てる。

「エステル、本当に護衛団に入団して良いの?
 それはもちろん、立派な仕事だと思うけど……
 貴方に向いているとは思えないわ」

「母さん……
 でもあたしやってみたい。
 この前のテストでも分かったの。
 ルドラ様の加護であたしちゃんと戦えるわ」

「思ったの。
 わたしホルムスの街が好きだって。
 自由交易都市ホルムス。
 どんな国の人でも出入りできる。
 父さんだってそう。
 トーヤー隊長も元々は別の国の人みたいだわ。
 そんなホルムスの街を護るの」


エステルちゃんが小さな声だけど、しっかりと話している。
話している事に筋が通っている。
と言う事は多分、エステルちゃん自分でも頭の中で何回か考えて来た事なんだわ。

「護衛団にもいろんな国の人いるのよ。
 あたしたちと一緒に入ったアントナンさんもそう。
 エラティ隊長やナシール副団長もペルーニャ近辺だけじゃなくて、別の国の人の血が混じっているらしいわ」

「それにあたし砂船乗りシンドバットになるのも諦めていないの。
 商隊カルヴァーンに入るのは女の子だと難しそうだけど。
 護衛団は砂海賊パイレーツ相手に砂船に乗って砂海にも出るのよ。
 それならあたしも砂船乗りシンドバットになれそうですもの」
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