上 下
13 / 102
その1 入団試験

第13話 ヴァウーザカ

しおりを挟む
「お嬢ちゃん、危ない!
 ヴァウーザカよ!」

お婆ちゃんが言う。
慌てているのかしら。
さっきまでより、大きくてハリの有る声。

エステルちゃんに迫るダエーヴァ。
ハチ。
雀蜂にゃんてもんじゃにゃいわ。
小柄な成人男性くらいはあるんじゃにゃいの。
エステルちゃんはまだ12歳の美少女。
だからエステルちゃんよりおっきいの。

デッカイ蜂ヴァウーザカは羽音を立ててる。
にゃんで蜂の羽音ってあんにゃに怖いのかしら。
わぁんわぁんと威嚇的な音。
聞いただけで足が竦んじゃいそうににゃるわ。

でも竦んでいる訳にいかにゃい。
わたしは足元の小石を蹴りつける。
ヒュッと飛んでく、それ。
ヴァウーザカの頭部に軽くヒット。
エステルちゃんから見たら、彼女に向かって真っすぐ飛んで来たダエーヴァがいきなり方向転換した、そんにゃ風かしら。

でもハチのダエーヴァはまだ落ちてはいにゃい。
軽い小石だもの。
わたしだって大きにゃダメージはあたえられにゃい。
エステルちゃんの周りを飛んでいる。

「マズイ。
 ヴァウーザカの針には毒がある。
 刺されれば動けなくなるし、下手したら心臓マヒを起こすぞ」

お婆ちゃん、さすが護衛団の老人。
お年を召してるだけあって物知りだわ。

にゃんですって?!
カンシンしてる場合じゃにゃい。
エステルちゃんが心臓マヒ?!
そんにゃの許せるハズにゃいじゃにゃい。


「お嬢ちゃん気を付けろ。
 針に毒がある、絶対刺されるな」

お婆ちゃんが老人に似合わない鋭い声で言うけれど。
エステルちゃんは聞こえてない。

「ルドラ・シヴァーヤよ。
 三つの顔を持つ気高き王よ。
 我に貴方様の御力を貸し給え」

『ピナーカ』

風が鋭い音を立てる。

だけど、ダメ。
わたしは気付いてる。
羽音は一体だけじゃにゃい。

もう二体エステルちゃんの後ろから近づく!

にゃによ。
一対三じゃにゃいの。
許さにゃいわよ。


わたしはまた小石を蹴り飛ばす。
絶対狙いは外さない。

【スキル発動:投擲】
【スキル発動:必中】
【スキル発動:攻撃力強化】

どんどん目の前に現れる文字たち。
邪魔よ、ちょっとどいてどいて。

一体のハチのダェーヴァは小石で落としたわ。
今回は強化してるもの。
一撃でトドメを刺すまでは行かにゃくとも、ぶっ飛ばされてる。
地面に落っこちてピクピクしてるわ。

エステルちゃんの正面から来たヴァウーザカには風の魔法がクリーンヒット。
『ピナーカ』を受けてダェーヴァは落ちていくわ。

でももう一体いるの。
危にゃいっ!
エステルちゃん!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた
ファンタジー
 起きると、そこは森の中。パニックになって、 周りを見渡すと暗くてなんも見えない。  特殊能力も付与されず、原生林でどうするの。 誰か助けて。 遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。 これって、やばいんじゃない。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

一度目は勇者、二度目は魔王だった俺の、三度目の異世界転生

染井トリノ
ファンタジー
この度、アルファポリス様から書籍化されることになりました。 それに伴ってタイトルが変更になります。 旧題:一度目は勇者、二度目は魔王だった俺は、三度目の人生をどう生きればいいですか?  勇者として異世界を救った青年は、二度目の転生で魔王となって討伐された。そして三度目の転生。普通の村人レイブとして新たな生を受けた彼は、悩みながらものんびり生きることを志す。三度目の転生から十五年後。才能がありすぎるのを理由に村から出ていくことを勧められたレイブは、この際、世界を見て回ろうと決意する。そして、王都の魔法学園に入学したり、幻獣に乗ったり、果ては、謎の皇女に頼られたり!? 一度目・二度目の人生では経験できなかった、ほのぼのしつつも楽しい異世界ライフを満喫していくのだった。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...