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その1 入団試験
第12話 少女の試練
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エステルちゃんはアルミラージの突進を横に躱した。
でかいウサギから狂暴に伸びた角の直撃を盾で受けて。
図体ごとの突進を避けて躱す。
お見事!にゃの。
躱された一本角ウサギはエステルちゃんの方に背中を見せてるわ。
チャンスにゃのね。
『ピナーカ』
もう一発!
エステルちゃんの風の魔法が炸裂。
今度こそダェーヴァの頭を切り裂いた。
ダェーヴァはもんどり打って倒れてる。
うん、これで角を取って持って行けば試験合格ね。
「あ……」
だけどエステルちゃんは動かにゃい。
少し先のダェーヴァの屍体を見つめてる。
後頭部から首が鋭利な刃物で切ったみたいに切り裂かれてる。
そこから赤い液体がドクドクと地面に流れていく。
「……!」
エステルちゃんは血が流れ出すのを見て、動きが止まってる。
そっか、エステルちゃん……
優しい娘にゃのよね。
「お嬢ちゃん。
相手はバケモノ、ダェーヴァなのよ。
仕方ないの。
護衛団に入るのでしょう。
ならこんな事、日常になるのよ」
老婦人がしわがれた声で言う。
キツイ事言わにゃいであげて。
そう思うけど事実にゃんでしょうね。
「お嬢ちゃん、ダェーヴァよ」
お婆ちゃんはエステルちゃんの頭を軽く抱き寄せる。
わたしもまだ良く分かってにゃいんだけど。
ダェーヴァは正確に言うと普通の動物じゃにゃいらしいわ。
ハイエナとかヒョウ、普通の動物でも人間を襲う生物はいる。
獰猛にゃだけの猛獣。
魔物は別物。
恨みや悪の気が集中して出来たバケモノ。
呪われた存在。
エステルちゃんが殺さなかったら。
どこかで別の人間や動物に被害を与える魔物。
だから殺した事をくよくよしちゃダメ。
多分、お婆ちゃんはそういう事を伝えたいんだわ。
「……はい」
「なら試験よ。
アルミラージの角を切り落とすのよ。
それで貴方は合格」
エステルちゃんは一瞬つらそうにゃ顔をしたけど。
決心したのかアルミラージの屍体に近付いていく。
うわー、出来る事にゃら代わってあげたいわ。
でも。
護衛団の入団試験にゃのよね。
エステルちゃんは自分で受けると決めたの。
にゃら邪魔は出来にゃいわ。
わたしに出来るのは見守る事だけね。
「槍じゃ角を切りにくいでしょ。
私の小刀使う?」
「ありがとうございます」
エステルちゃんがお婆ちゃんに小型の剣を借りてる。
ステュティラちゃんが使ってた弧を描く曲刀じゃにゃいわ。
真っすぐな直刀。
柄の部分は布が巻き付けられて滑らない様ににゃってる。
あまり飾り気のにゃい物。
この近くで出来た物じゃにゃいのかしら。
近くの国ペルーニャ帝国で作られた剣は華美な物が多いの。
金色に塗られたり、宝石があしらって有ったり。
今お婆ちゃんが差し出したのはもっと実用的にゃ雰囲気ね。
エステルちゃんがウサギの頭部を持ち上げて、角の生えた場所に剣を刺す。
そこからも血が流れていくわ。
「……!」
エステルちゃん。
12歳の少女は唇を嚙みしめてる。
少し腕が震えてる。
だけど、目は逸らさにゃい。
ダェーヴァの頭から角を切り取るの。
「終わりました……」
エステルちゃんが試験官のお婆ちゃんに言う。
「良くやりましたね」
お婆ちゃんが優しく答えてる。
頼りにはにゃらにゃいけど、にゃかにゃか良い試験官じゃにゃい。
これで終わり。
と思った、にゃのに。
わたしの耳に聞こえて来るわ。
イヤにゃ予感。
エステルちゃんに近付いてる飛行する物体。
「お嬢ちゃん、危ない!
ヴァウーザカよ!」
でかいウサギから狂暴に伸びた角の直撃を盾で受けて。
図体ごとの突進を避けて躱す。
お見事!にゃの。
躱された一本角ウサギはエステルちゃんの方に背中を見せてるわ。
チャンスにゃのね。
『ピナーカ』
もう一発!
エステルちゃんの風の魔法が炸裂。
今度こそダェーヴァの頭を切り裂いた。
ダェーヴァはもんどり打って倒れてる。
うん、これで角を取って持って行けば試験合格ね。
「あ……」
だけどエステルちゃんは動かにゃい。
少し先のダェーヴァの屍体を見つめてる。
後頭部から首が鋭利な刃物で切ったみたいに切り裂かれてる。
そこから赤い液体がドクドクと地面に流れていく。
「……!」
エステルちゃんは血が流れ出すのを見て、動きが止まってる。
そっか、エステルちゃん……
優しい娘にゃのよね。
「お嬢ちゃん。
相手はバケモノ、ダェーヴァなのよ。
仕方ないの。
護衛団に入るのでしょう。
ならこんな事、日常になるのよ」
老婦人がしわがれた声で言う。
キツイ事言わにゃいであげて。
そう思うけど事実にゃんでしょうね。
「お嬢ちゃん、ダェーヴァよ」
お婆ちゃんはエステルちゃんの頭を軽く抱き寄せる。
わたしもまだ良く分かってにゃいんだけど。
ダェーヴァは正確に言うと普通の動物じゃにゃいらしいわ。
ハイエナとかヒョウ、普通の動物でも人間を襲う生物はいる。
獰猛にゃだけの猛獣。
魔物は別物。
恨みや悪の気が集中して出来たバケモノ。
呪われた存在。
エステルちゃんが殺さなかったら。
どこかで別の人間や動物に被害を与える魔物。
だから殺した事をくよくよしちゃダメ。
多分、お婆ちゃんはそういう事を伝えたいんだわ。
「……はい」
「なら試験よ。
アルミラージの角を切り落とすのよ。
それで貴方は合格」
エステルちゃんは一瞬つらそうにゃ顔をしたけど。
決心したのかアルミラージの屍体に近付いていく。
うわー、出来る事にゃら代わってあげたいわ。
でも。
護衛団の入団試験にゃのよね。
エステルちゃんは自分で受けると決めたの。
にゃら邪魔は出来にゃいわ。
わたしに出来るのは見守る事だけね。
「槍じゃ角を切りにくいでしょ。
私の小刀使う?」
「ありがとうございます」
エステルちゃんがお婆ちゃんに小型の剣を借りてる。
ステュティラちゃんが使ってた弧を描く曲刀じゃにゃいわ。
真っすぐな直刀。
柄の部分は布が巻き付けられて滑らない様ににゃってる。
あまり飾り気のにゃい物。
この近くで出来た物じゃにゃいのかしら。
近くの国ペルーニャ帝国で作られた剣は華美な物が多いの。
金色に塗られたり、宝石があしらって有ったり。
今お婆ちゃんが差し出したのはもっと実用的にゃ雰囲気ね。
エステルちゃんがウサギの頭部を持ち上げて、角の生えた場所に剣を刺す。
そこからも血が流れていくわ。
「……!」
エステルちゃん。
12歳の少女は唇を嚙みしめてる。
少し腕が震えてる。
だけど、目は逸らさにゃい。
ダェーヴァの頭から角を切り取るの。
「終わりました……」
エステルちゃんが試験官のお婆ちゃんに言う。
「良くやりましたね」
お婆ちゃんが優しく答えてる。
頼りにはにゃらにゃいけど、にゃかにゃか良い試験官じゃにゃい。
これで終わり。
と思った、にゃのに。
わたしの耳に聞こえて来るわ。
イヤにゃ予感。
エステルちゃんに近付いてる飛行する物体。
「お嬢ちゃん、危ない!
ヴァウーザカよ!」
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