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第五章 アルク野獣の森
第228話 鋼鉄蛞蝓その4
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『聖槍召喚』
ハチ子の手に白銀に輝く槍が現れる。
『聖槍召喚』はスキル、ランク1。
ランク上がったらどうなるのか。
気になる、気になる。
「いい加減にしろー。
無視するな。
お前いじめっ子だな」
「喰らえっ」
ハチ子の槍はやはりカンとはじかれる。
ハチ子は諦め悪く、何度も“鋼鉄蛞蝓”を刺してる。
聖槍が効かないというのが許せないらしい。
子供のように意地になってる。
「うりゃっ、えい。
このこの、これでもかー」
「ああっ。
なにをしてるんだ!
お前ー」
蛇お面女がドンとハチ子をど突く。
いきなり打たれたハチ子はバランスを崩してる。
「なんだ、キミは。
いきなりどこから出て来た」
「アナタ。いきなりどこから出てきたんですか」
いや、さっきからいたじゃん。
ブツブツ言ってたじゃん。
「お前たちがこの子をイジメるから、
許せなくて出てきたのだー」
蛇お面女が“鋼鉄蛞蝓”を抱きしめる。
『ツタ縛り』で縛られてたハズの“鋼鉄蛞蝓”。
縛ったツタは消えてる。
“鋼鉄蛞蝓”は女性に抱き上げられ胸元でプルプル震えてる。
「おおー、よしよし。
怖かったなー。
もう大丈夫だぞ」
ショウマが改めて女性を観察すると、蛇のお面をしている。
ザクロさんがしてた獅子の仮面ともまた違う。
安っちい、ヘビの絵を描いたお面。
それを顔に着けてるのだ。
さらに鳥のような羽根飾り。
違った。
羽根飾りじゃない。
頭から羽根が生えてる。
頭の両脇、ケモ耳が生えるような位置に髪の毛から鳥の羽根が出てる。
なんだか〇レーヌみたい。
昭和なマンガの敵女性キャラを思い浮かべるショウマ。
お前幾つやねんといったカンジだが、大丈夫。
数年前にはネット配信でリメイクアニメ化されてる。
その女性キャラは令和になってもいまだにエロカッコ良いフィギュアが造り続けられているのだ。
マンガやアニメで見た事なくてもフィギュアは見た事が有る人もいるだろう。
実写映画化?
なんの事?
そんなもの無かったよ。
デ〇ルマン。
「おまえー、なんのつもりなんだ!」
女性はショウマに指を突き付けて叫ぶ。
なんのって。
経験値マシマシ。
やり口が卑怯くさかったかな。
もしかして何かのルール違反しちゃった?
怒られてるの?
「この子がお前に何したっていうんだ。
いじめっ子め」
この子って“鋼鉄蛞蝓”?
「えーと。
動物愛護団体の方?」
動物愛護団体はナメクジも保護してるのかな。
ハチ美が動物愛護団体の人を見て怯えてる。
「……ショウマ王!
その女性、見えてはいるんですが……気配が有りません」
どういうコト?
「我らには分からないが、普通の人間ではない」
「普通の人間じゃありません」
ショウマに見えてるのはお面を付けた普通の女性。
頭から羽根も生やしてるけど。
亜人ならあり得ない事じゃない。
亜人の村には羽根生やした人けっこういた。
ハチ子、ハチ美は超感覚。
目で見ているだけじゃない。
頭に有る黒い毛。
金髪の中に混じった黒い房が立ち上がる。
蜂の触覚の様に。
視覚では見えない何かを察知する。
気配を感じないってどういうコト。
「当たり前だ。
あたしの本体はここに無い。
視覚情報だけを送り込んでるんだ」
「マリーって言うんだ。
よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。
マリーゴールド様」
亜人の村の冒険者組合。
支店長は直立で頭を下げている。
ザクロも軽く頭を下げる。
別の街の組合支店長だと言う女性。
支店長同士だけど、ザクロの上司はやたら丁寧な対応。
同じ支店長でも格の違いとか有るのかなー。
「人員は二人だけなのかしら?」
「そうだよー。
冒険者組合に来る人なんて前は全くいなかったからねー」
そうだ。
以前までは亜人の村で冒険者組合に来ると言ったら。
10歳越えた男の子が冒険者見習いに登録する。
成人して冒険者登録する。
それくらいだった。
一ヶ月誰も来ない。
そんな事だって有ったのだ。
それが今は毎日誰かしら訪れる。
「聖者サマのせいだねー。
ちょっと忙しくなっちゃった」
とは言えベオグレイドの冒険者組合に比べればまだ全然。
人員を増やすような状況じゃない。
ザクロの言葉を聞いてマリー支店長はクスリと笑う。
良かった。
うちの上司ほど五月蝿くなさそう。
「建物の改装したのよね」
マリーが組合の内装を見ながら言う。
木造の建物。
壁紙なんか貼ってないけど。
建てたばかり。
中はピカピカだ。
「改装と言うか、新築だねー。
前の建物はもうボロボロだったもの。
潰して、新しいの建てたんだー」
「へー、良くそんな予算有ったわね」
「あ、いや……それはですな」
「聖者サマがやってくれたんだよー。
工事は亜人の村の大工さん。
忙しい人なんだけど、聖者サマが頼んでねじ込んでくれたのー」
「フーン、費用は?」
「それはつまりですな」
「この貧乏組合にそんなお金有るワケないじゃん」
「聖者って人が全部出してくれたの?」
「いえ……ですから……その」
「そうだよー。
といっても工事したのは亜人の村の大工ー。
村の物を建てるのにお金はとってないねー」
ハチ子の手に白銀に輝く槍が現れる。
『聖槍召喚』はスキル、ランク1。
ランク上がったらどうなるのか。
気になる、気になる。
「いい加減にしろー。
無視するな。
お前いじめっ子だな」
「喰らえっ」
ハチ子の槍はやはりカンとはじかれる。
ハチ子は諦め悪く、何度も“鋼鉄蛞蝓”を刺してる。
聖槍が効かないというのが許せないらしい。
子供のように意地になってる。
「うりゃっ、えい。
このこの、これでもかー」
「ああっ。
なにをしてるんだ!
お前ー」
蛇お面女がドンとハチ子をど突く。
いきなり打たれたハチ子はバランスを崩してる。
「なんだ、キミは。
いきなりどこから出て来た」
「アナタ。いきなりどこから出てきたんですか」
いや、さっきからいたじゃん。
ブツブツ言ってたじゃん。
「お前たちがこの子をイジメるから、
許せなくて出てきたのだー」
蛇お面女が“鋼鉄蛞蝓”を抱きしめる。
『ツタ縛り』で縛られてたハズの“鋼鉄蛞蝓”。
縛ったツタは消えてる。
“鋼鉄蛞蝓”は女性に抱き上げられ胸元でプルプル震えてる。
「おおー、よしよし。
怖かったなー。
もう大丈夫だぞ」
ショウマが改めて女性を観察すると、蛇のお面をしている。
ザクロさんがしてた獅子の仮面ともまた違う。
安っちい、ヘビの絵を描いたお面。
それを顔に着けてるのだ。
さらに鳥のような羽根飾り。
違った。
羽根飾りじゃない。
頭から羽根が生えてる。
頭の両脇、ケモ耳が生えるような位置に髪の毛から鳥の羽根が出てる。
なんだか〇レーヌみたい。
昭和なマンガの敵女性キャラを思い浮かべるショウマ。
お前幾つやねんといったカンジだが、大丈夫。
数年前にはネット配信でリメイクアニメ化されてる。
その女性キャラは令和になってもいまだにエロカッコ良いフィギュアが造り続けられているのだ。
マンガやアニメで見た事なくてもフィギュアは見た事が有る人もいるだろう。
実写映画化?
なんの事?
そんなもの無かったよ。
デ〇ルマン。
「おまえー、なんのつもりなんだ!」
女性はショウマに指を突き付けて叫ぶ。
なんのって。
経験値マシマシ。
やり口が卑怯くさかったかな。
もしかして何かのルール違反しちゃった?
怒られてるの?
「この子がお前に何したっていうんだ。
いじめっ子め」
この子って“鋼鉄蛞蝓”?
「えーと。
動物愛護団体の方?」
動物愛護団体はナメクジも保護してるのかな。
ハチ美が動物愛護団体の人を見て怯えてる。
「……ショウマ王!
その女性、見えてはいるんですが……気配が有りません」
どういうコト?
「我らには分からないが、普通の人間ではない」
「普通の人間じゃありません」
ショウマに見えてるのはお面を付けた普通の女性。
頭から羽根も生やしてるけど。
亜人ならあり得ない事じゃない。
亜人の村には羽根生やした人けっこういた。
ハチ子、ハチ美は超感覚。
目で見ているだけじゃない。
頭に有る黒い毛。
金髪の中に混じった黒い房が立ち上がる。
蜂の触覚の様に。
視覚では見えない何かを察知する。
気配を感じないってどういうコト。
「当たり前だ。
あたしの本体はここに無い。
視覚情報だけを送り込んでるんだ」
「マリーって言うんだ。
よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。
マリーゴールド様」
亜人の村の冒険者組合。
支店長は直立で頭を下げている。
ザクロも軽く頭を下げる。
別の街の組合支店長だと言う女性。
支店長同士だけど、ザクロの上司はやたら丁寧な対応。
同じ支店長でも格の違いとか有るのかなー。
「人員は二人だけなのかしら?」
「そうだよー。
冒険者組合に来る人なんて前は全くいなかったからねー」
そうだ。
以前までは亜人の村で冒険者組合に来ると言ったら。
10歳越えた男の子が冒険者見習いに登録する。
成人して冒険者登録する。
それくらいだった。
一ヶ月誰も来ない。
そんな事だって有ったのだ。
それが今は毎日誰かしら訪れる。
「聖者サマのせいだねー。
ちょっと忙しくなっちゃった」
とは言えベオグレイドの冒険者組合に比べればまだ全然。
人員を増やすような状況じゃない。
ザクロの言葉を聞いてマリー支店長はクスリと笑う。
良かった。
うちの上司ほど五月蝿くなさそう。
「建物の改装したのよね」
マリーが組合の内装を見ながら言う。
木造の建物。
壁紙なんか貼ってないけど。
建てたばかり。
中はピカピカだ。
「改装と言うか、新築だねー。
前の建物はもうボロボロだったもの。
潰して、新しいの建てたんだー」
「へー、良くそんな予算有ったわね」
「あ、いや……それはですな」
「聖者サマがやってくれたんだよー。
工事は亜人の村の大工さん。
忙しい人なんだけど、聖者サマが頼んでねじ込んでくれたのー」
「フーン、費用は?」
「それはつまりですな」
「この貧乏組合にそんなお金有るワケないじゃん」
「聖者って人が全部出してくれたの?」
「いえ……ですから……その」
「そうだよー。
といっても工事したのは亜人の村の大工ー。
村の物を建てるのにお金はとってないねー」
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