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第四章 地底大迷宮と暴走する英雄と竜の塔と鋼鉄の魔窟と
第219話 三又根食肉植物その3
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「みんな、ソイツラはもうやられてる。
切ってかまわない。
それよりもツタの先だ。
“三又根食肉植物”だ。
早くそっちをやらないとヤバイ」
見えてくる。
近付いてくる。
巨大植物。
人の倍くらいは有るだろうか。
ツタが絡みついてできたような胴体。
そこから三つ又に分かれた根が地面へ続く。
三本の根が足のように歩いてくるのだ。
「何すか?、コイツは」
「トリフィドって言うらしいよ」
軽戦士メナンデロスと女冒険者カトレアだ。
「知りません。
こんな魔獣が出るなんて聞いていませんね」
西方神聖王国迷宮冒険者部隊ブルーヴァイオレットさんも言う。
「ああ、ウチも6年間『地下迷宮』に来てて1度しか見た事無いよ。
これで2度目だ」
「なるほど、相当なレア魔獣と言う事ですね。
情報が無い訳です」
「どうかな。
遭遇した冒険者がみんなやられちまった。
だから情報が無いのかもしれないぜ」
重戦士ガンテツが暗い顔で言う。
脅かしっこなしだぜ。
普段ならそう言うカトレアだが、脅しじゃない事を知ってるのだ。
こいつは死んだ人間や動物に触手のようなツタを伸ばす。
そこから栄養を採取するのだろう。
そのついでに死んだ人間を操る。
おそらくオトリにしているのだ。
冒険者が歩いてる。
安全と思って気軽に近づく。
するとやられると言う寸法。
はたまた、冒険者を狙う魔獣を栄養にしてるのかも。
操られてる人間は複雑な行動ができる訳じゃない。
歩く程度。
手足を上げる程度。
ガンテツの言葉で操られた死人をみんな振りほどく。
死んだ人は可哀そうだが、遠慮して自分がやられるようなシロウトはいない。
レオン王子は剣で切っているし、女重戦士ビャクランは斧で叩き切る。
“三又根食肉植物”から細いツタが伸びてくる。
矢が飛んでくるような速さで冒険者達を襲う。
「ハァッ」
侍剣士キョウゲツがツタを切り割く。
刀を鞘に入れたまま。
鞘から斬撃が風のように放たれるのだ。
『疾風居合』
近付くツタが切り割かれる。
カトレア達に近付いていた無数のツタ。
その先端が全て切り落される。
さすが、キョウゲツ。
ジョウマ大司教とビャクランが植物型魔獣へ攻撃を仕掛ける。
あっ、バカ。
やめろ。
二人が“三又根食肉植物”に突っ込んで行くのだ。
「せいっ」
斧を振り下ろすビャクラン。
「あいやー」
跳び蹴りしようとしているジョウマ大司教。
斧がピタリと止まる。
跳び蹴りを止めた初老の男がこちらを睨みつける。
「うぬ!」
何故か大司教はメナンデロスに向かって蹴りつける。
「うひゃぁ。
何しやがるっすか、このジジィ」
軽戦士は腕に着けたバックラーで受け止めて見せた。
けどその程度で筋肉ジジィの勢いは止まらない。
メナンデロスは大司教に押し倒されてる。
「ムキー」
ビャクランがこちらを向いて、バカデカイ斧を振り上げる。
待った、待った。
重戦士ガンテツが慌てて、斧の柄の部分を掴んで止めに入る。
あの斧を勢い付けて振り回されたらシャレにならない。
「これは状態異常?!
混乱ですか」
そう。
ブルーヴァイオレットさん正解。
この“三又根食肉植物”は樹上から花粉みたいなのを振り撒いてる。
この花粉を吸いこんだ冒険者は混乱して敵味方の区別なく襲いかかるのだ。
この魔獣に遭遇した『花鳥風月』はエライ目に有った。
正面で戦ってたガンテツと斧戦士がいきなりこちらに襲い掛かって来たのだ。
何が起きてるのか分からなかった。
状況が分かっても相手はチームメンバー。
襲ってくるからと言って簡単に切る訳にもいかない。
今も同じコトだ。
斧をこちらに叩き込もうとしてくるビャクラン。
ガンテツが無理やり抑えてはいるが、抑えつけるだけ。
反撃は出来ない。
「混乱は治るのですか」
「10分くらいで正気に戻るけど、
また花粉を喰らったら、混乱に逆戻りさ」
「ちょっと、分かったからこっちも助けてくださいっすよ」
筋肉ジジィに押し倒されたままのメナンデロスが助けを求める。
「相手はジジィだよ。
頑張りな」
軽戦士をほっといてカトレアは“三又根食肉植物”に弓矢を放つ。
近付いたらマズイ魔獣なのだ。
遠距離から攻撃するしかない。
カトレアが今やるべきなのは、“三又根食肉植物”にダメージを与えるコト。
「ほあたー」
ジョウマ大司教がメナンデロスに拳を振るう。
相手は初老だが、ムキムキ筋肉ダルマ。
メナンデロスは抑えきれない。
マウントポジションを取られ、上からタコ殴りにされるのだ。
「うひゃぁ、カンベンっすよ。
ブルー、ブルー様助けてくださいっす」
「いえ、私オブザーバーですから」
ブルーヴァイオレットは容赦がない。
大司教を止めようと思ったら、直接触れて抑えつけなきゃイケナイ。
こんな筋肉ジジィに触れたい人間がいるものか。
女神官も同じだ。
「メナンデロスさん、お可哀そう」
そう言ってはいるが、助けに入ろうとは一切しない。
軽戦士はボコボコに殴られてる。
切ってかまわない。
それよりもツタの先だ。
“三又根食肉植物”だ。
早くそっちをやらないとヤバイ」
見えてくる。
近付いてくる。
巨大植物。
人の倍くらいは有るだろうか。
ツタが絡みついてできたような胴体。
そこから三つ又に分かれた根が地面へ続く。
三本の根が足のように歩いてくるのだ。
「何すか?、コイツは」
「トリフィドって言うらしいよ」
軽戦士メナンデロスと女冒険者カトレアだ。
「知りません。
こんな魔獣が出るなんて聞いていませんね」
西方神聖王国迷宮冒険者部隊ブルーヴァイオレットさんも言う。
「ああ、ウチも6年間『地下迷宮』に来てて1度しか見た事無いよ。
これで2度目だ」
「なるほど、相当なレア魔獣と言う事ですね。
情報が無い訳です」
「どうかな。
遭遇した冒険者がみんなやられちまった。
だから情報が無いのかもしれないぜ」
重戦士ガンテツが暗い顔で言う。
脅かしっこなしだぜ。
普段ならそう言うカトレアだが、脅しじゃない事を知ってるのだ。
こいつは死んだ人間や動物に触手のようなツタを伸ばす。
そこから栄養を採取するのだろう。
そのついでに死んだ人間を操る。
おそらくオトリにしているのだ。
冒険者が歩いてる。
安全と思って気軽に近づく。
するとやられると言う寸法。
はたまた、冒険者を狙う魔獣を栄養にしてるのかも。
操られてる人間は複雑な行動ができる訳じゃない。
歩く程度。
手足を上げる程度。
ガンテツの言葉で操られた死人をみんな振りほどく。
死んだ人は可哀そうだが、遠慮して自分がやられるようなシロウトはいない。
レオン王子は剣で切っているし、女重戦士ビャクランは斧で叩き切る。
“三又根食肉植物”から細いツタが伸びてくる。
矢が飛んでくるような速さで冒険者達を襲う。
「ハァッ」
侍剣士キョウゲツがツタを切り割く。
刀を鞘に入れたまま。
鞘から斬撃が風のように放たれるのだ。
『疾風居合』
近付くツタが切り割かれる。
カトレア達に近付いていた無数のツタ。
その先端が全て切り落される。
さすが、キョウゲツ。
ジョウマ大司教とビャクランが植物型魔獣へ攻撃を仕掛ける。
あっ、バカ。
やめろ。
二人が“三又根食肉植物”に突っ込んで行くのだ。
「せいっ」
斧を振り下ろすビャクラン。
「あいやー」
跳び蹴りしようとしているジョウマ大司教。
斧がピタリと止まる。
跳び蹴りを止めた初老の男がこちらを睨みつける。
「うぬ!」
何故か大司教はメナンデロスに向かって蹴りつける。
「うひゃぁ。
何しやがるっすか、このジジィ」
軽戦士は腕に着けたバックラーで受け止めて見せた。
けどその程度で筋肉ジジィの勢いは止まらない。
メナンデロスは大司教に押し倒されてる。
「ムキー」
ビャクランがこちらを向いて、バカデカイ斧を振り上げる。
待った、待った。
重戦士ガンテツが慌てて、斧の柄の部分を掴んで止めに入る。
あの斧を勢い付けて振り回されたらシャレにならない。
「これは状態異常?!
混乱ですか」
そう。
ブルーヴァイオレットさん正解。
この“三又根食肉植物”は樹上から花粉みたいなのを振り撒いてる。
この花粉を吸いこんだ冒険者は混乱して敵味方の区別なく襲いかかるのだ。
この魔獣に遭遇した『花鳥風月』はエライ目に有った。
正面で戦ってたガンテツと斧戦士がいきなりこちらに襲い掛かって来たのだ。
何が起きてるのか分からなかった。
状況が分かっても相手はチームメンバー。
襲ってくるからと言って簡単に切る訳にもいかない。
今も同じコトだ。
斧をこちらに叩き込もうとしてくるビャクラン。
ガンテツが無理やり抑えてはいるが、抑えつけるだけ。
反撃は出来ない。
「混乱は治るのですか」
「10分くらいで正気に戻るけど、
また花粉を喰らったら、混乱に逆戻りさ」
「ちょっと、分かったからこっちも助けてくださいっすよ」
筋肉ジジィに押し倒されたままのメナンデロスが助けを求める。
「相手はジジィだよ。
頑張りな」
軽戦士をほっといてカトレアは“三又根食肉植物”に弓矢を放つ。
近付いたらマズイ魔獣なのだ。
遠距離から攻撃するしかない。
カトレアが今やるべきなのは、“三又根食肉植物”にダメージを与えるコト。
「ほあたー」
ジョウマ大司教がメナンデロスに拳を振るう。
相手は初老だが、ムキムキ筋肉ダルマ。
メナンデロスは抑えきれない。
マウントポジションを取られ、上からタコ殴りにされるのだ。
「うひゃぁ、カンベンっすよ。
ブルー、ブルー様助けてくださいっす」
「いえ、私オブザーバーですから」
ブルーヴァイオレットは容赦がない。
大司教を止めようと思ったら、直接触れて抑えつけなきゃイケナイ。
こんな筋肉ジジィに触れたい人間がいるものか。
女神官も同じだ。
「メナンデロスさん、お可哀そう」
そう言ってはいるが、助けに入ろうとは一切しない。
軽戦士はボコボコに殴られてる。
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