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第四章 地底大迷宮と暴走する英雄と竜の塔と鋼鉄の魔窟と
第217話 三又根食肉植物その1
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『地底大迷宮』
女冒険者カトレアは現在9階に降り立った。
9階も石造りの迷路だった。
イヤな臭いがカトレアの鼻をつく。
これはもしかして。
案の定、9階はアンデッドの巣窟だった。
“歩く骸骨”が沸いてくる。
一度に5体。
2階では3体までしか出なかった。
ちょうどいい。
出番が無かった女冒険者カトレアも弓を振るう。
ジョウマ大司教が出て行ってガイコツを殴りつけてるが、知ったこっちゃない。
カトレアはドンドン矢を放つ。
一応味方に当てないようにはしてるけど。
まぁ当たっちゃったらゴメンゴメン。
それくらいの慎重さ。
こっちだってストレス発散しないとやってられない。
女重戦士ビャクランのヤツも斧を振り回してる。
うんうん。
気持ちは分かる。
アンデッドの湧き出る通路に長居はしたくない。
ブルーヴァイオレットさんに期待。
『西方神聖王国迷宮冒険者部隊』No2ブルーヴァイオレットは迷路の造りが大体予想できる能力が有る。
一行は9回を駆け抜け、10階へ。
10階も変わらない、アンデッドが襲ってくる。
“骸骨戦士”の出る割合が少し高いような気もする。
「多分扉の中は大きい部屋。
その奥に階段が有りそうです」
ブルーヴァイオレットさんが扉の前で言う。
「次は11階、11階 11階だね」
9階から静かになってた王子様が言う。
また先頭に立って扉を開けるつもりらしい。
魔力切れ近いんじゃなかったのか。
王子はグビグビとなにか飲んでる。
陶器製の入れ物。
「『神酒ハオマ』っすね」
「なんだい、それ」
「王国の研究者が取り寄せた酒っす。
帝国のさらに東南の方で作られてるらしいっすよ。
魔力が回復する酒っすね。
成分調べて同じもの作ろうとしてるけど上手くいってないらしいっす」
魔力の回復!
そんなコト出来るのか。
カトレアは始めて聞いた。
「取り寄せるだけでバカ高い金かかってるっすよ。
普通には出回らないっす」
レオン王子がまた突っ込んで行く。
大きい部屋にはアンデッドが大量にいた。
あっちもこっちも骨だらけ。
まだ肉の付いてるヤツもいる。
“動めく死体”ってヤツだ。
カトレアはコイツが大の苦手。
身体から腐った液体がこぼれてる。
グロイし、クサイのも有るけど。
それ以上にまだ生きてた人間の跡が有る。
生きていた冒険者が殺されたんだと意識させられるのだ。
「ナムサン」
言ってカトレアは弓矢を放つ。
キチンとした意味は知らないけど。
神様、お救い下さい。
そんなようなおまじない。
自分のコトもだけど、死んだ人達にも効きますように。
「へー。
カトレアちゃん、思った以上にイイ娘っすね」
軽戦士メナンデロスが言う。
お前はうるさいよ。
「あーっはっはっはっはっ」
王子が笑いながら火の玉を複数とばす。
おいおい。
乱戦中だぞ。
仲間の冒険者も危険じゃんか。
「あの笑い声が聞こえたら、
注意してって合図っすよ」
「いっつも笑ってるじゃんかよ」
「だから、王子の近辺はいつも注意してってコトっす」
ブルーヴァイオレットさんはしらーっとした顔をして離れたところで見ている。
くっそー。
何故この人がチームメンバーとして参加しなかったのか分かる気がする。
11階は植物の生い茂る空間。
これって……カトレアが考えるに……
「ふーむ。
『地底大迷宮』7、8階は『地下迷宮』の1階に似てる。
9、10階は2階に。
11階は『地下迷宮』3階と近いのか」
『花鳥風月』No2ガンテツが言う。
そうそう、カトレアも同じコト思ってた。
ブルーヴァイオレットさんが整理する。
「では2フロア事にそれぞれ元の『地下迷宮』の1フロアに対応した造りという事でしょうか」
「まだ分からんが、そんな風だな」
ってコトは当然。
“大型蟻”が襲ってくる。
“殺人蜂”もだ。
「あーっはっはっはっはっ」
王子が笑いながら突っ込むけど“大型蟻”は意外と撃たれ強い。
炎の一撃じゃ倒れない。
カトレアは弓矢で“殺人蜂”を狙う。
こいつらこそ自分の出番。
空飛ぶ魔獣の胴体に確実に矢を当てていく。
弱ったハチにさらに追撃の矢で仕留めていく。
「ホァター!」
武道家のイヌマルだ。
イヌマルも跳び蹴りを“殺人蜂”に食らわせる。
信じられないようなジャンプ力。
さすが武道家、やるじゃん。
“大型蟻”はガンテツや女重戦士ビャクランが仕留めてる。
固い“大型蟻”もビャクランの斧は叩き切る。
ガンテツが戦鎚を振るう。
グシャリとアリの頭が潰れるのだ。
侍剣士キョウゲツが刀を光らせる。
スパンッとアリの頭が飛んでいく。
ハチの胴体が二つになる。
どういう技なんだか。
頑丈でタフなハズの昆虫型魔獣が紙のように切られていくのだ。
一行は休憩を取る。
冒険者達は手練れが揃っている。
『地底大迷宮』はほとんど来た事の無い未知の迷宮。
とは言っても『地下迷宮』1~3階と同じ魔獣しか出てきていない。
苦労する相手では無いのだ。
しかし4フロアも歩いてきている。
ブルーヴァイオレットの特殊能力で最短ルートを進んでいるが。
それでも疲れはする距離だ。
「一体どこまで行くんだい?」
「なんとなく『地底大迷宮』の様子も分かった。
今回はこれで良いんじゃないか」
カトレアとガンテツは言う。
体力以上に気分が疲れてる。
もう帰ってもいいじゃん。
「レオン様、帰りませんか」
「駄目だよ、駄目だよ駄目だよ。
7階以降が『地下迷宮』1階から6階に対応してるとしたらだよ」
「17階、18階はどうなってるんだろう。
“迷う霊魂”はいるのかな、“迷う霊魂”“迷う霊魂”」
カトレアはガンテツと顔を見合わせる。
カトレアはそこまで考えてなかった。
でも王子の言う通り。
もしかして“迷う霊魂”もいるのか。
「確かにな。
気にはなりますが、しかし王子様。
まさか18階まで行くってんじゃないでしょうね」
「行きたいね、行きたいね行きたいね」
はぁ、冗談だろ。
18階ってどんだけかかるんだ。
ブルーヴァイオレットさんのお陰で最短距離しか歩いていないけど。
それでも迷宮内で既に数時間。
午後に『地底大迷宮』に入ったのだ。
地上はすでに夕方のハズだ。
「ブルー、用意はしてあるよね」
「ええ、まあ」
ブルーヴァイオレットさんがイヤそうに言う。
「簡易テントに寝袋。
食料も。
二日分は有ります」
女冒険者カトレアは現在9階に降り立った。
9階も石造りの迷路だった。
イヤな臭いがカトレアの鼻をつく。
これはもしかして。
案の定、9階はアンデッドの巣窟だった。
“歩く骸骨”が沸いてくる。
一度に5体。
2階では3体までしか出なかった。
ちょうどいい。
出番が無かった女冒険者カトレアも弓を振るう。
ジョウマ大司教が出て行ってガイコツを殴りつけてるが、知ったこっちゃない。
カトレアはドンドン矢を放つ。
一応味方に当てないようにはしてるけど。
まぁ当たっちゃったらゴメンゴメン。
それくらいの慎重さ。
こっちだってストレス発散しないとやってられない。
女重戦士ビャクランのヤツも斧を振り回してる。
うんうん。
気持ちは分かる。
アンデッドの湧き出る通路に長居はしたくない。
ブルーヴァイオレットさんに期待。
『西方神聖王国迷宮冒険者部隊』No2ブルーヴァイオレットは迷路の造りが大体予想できる能力が有る。
一行は9回を駆け抜け、10階へ。
10階も変わらない、アンデッドが襲ってくる。
“骸骨戦士”の出る割合が少し高いような気もする。
「多分扉の中は大きい部屋。
その奥に階段が有りそうです」
ブルーヴァイオレットさんが扉の前で言う。
「次は11階、11階 11階だね」
9階から静かになってた王子様が言う。
また先頭に立って扉を開けるつもりらしい。
魔力切れ近いんじゃなかったのか。
王子はグビグビとなにか飲んでる。
陶器製の入れ物。
「『神酒ハオマ』っすね」
「なんだい、それ」
「王国の研究者が取り寄せた酒っす。
帝国のさらに東南の方で作られてるらしいっすよ。
魔力が回復する酒っすね。
成分調べて同じもの作ろうとしてるけど上手くいってないらしいっす」
魔力の回復!
そんなコト出来るのか。
カトレアは始めて聞いた。
「取り寄せるだけでバカ高い金かかってるっすよ。
普通には出回らないっす」
レオン王子がまた突っ込んで行く。
大きい部屋にはアンデッドが大量にいた。
あっちもこっちも骨だらけ。
まだ肉の付いてるヤツもいる。
“動めく死体”ってヤツだ。
カトレアはコイツが大の苦手。
身体から腐った液体がこぼれてる。
グロイし、クサイのも有るけど。
それ以上にまだ生きてた人間の跡が有る。
生きていた冒険者が殺されたんだと意識させられるのだ。
「ナムサン」
言ってカトレアは弓矢を放つ。
キチンとした意味は知らないけど。
神様、お救い下さい。
そんなようなおまじない。
自分のコトもだけど、死んだ人達にも効きますように。
「へー。
カトレアちゃん、思った以上にイイ娘っすね」
軽戦士メナンデロスが言う。
お前はうるさいよ。
「あーっはっはっはっはっ」
王子が笑いながら火の玉を複数とばす。
おいおい。
乱戦中だぞ。
仲間の冒険者も危険じゃんか。
「あの笑い声が聞こえたら、
注意してって合図っすよ」
「いっつも笑ってるじゃんかよ」
「だから、王子の近辺はいつも注意してってコトっす」
ブルーヴァイオレットさんはしらーっとした顔をして離れたところで見ている。
くっそー。
何故この人がチームメンバーとして参加しなかったのか分かる気がする。
11階は植物の生い茂る空間。
これって……カトレアが考えるに……
「ふーむ。
『地底大迷宮』7、8階は『地下迷宮』の1階に似てる。
9、10階は2階に。
11階は『地下迷宮』3階と近いのか」
『花鳥風月』No2ガンテツが言う。
そうそう、カトレアも同じコト思ってた。
ブルーヴァイオレットさんが整理する。
「では2フロア事にそれぞれ元の『地下迷宮』の1フロアに対応した造りという事でしょうか」
「まだ分からんが、そんな風だな」
ってコトは当然。
“大型蟻”が襲ってくる。
“殺人蜂”もだ。
「あーっはっはっはっはっ」
王子が笑いながら突っ込むけど“大型蟻”は意外と撃たれ強い。
炎の一撃じゃ倒れない。
カトレアは弓矢で“殺人蜂”を狙う。
こいつらこそ自分の出番。
空飛ぶ魔獣の胴体に確実に矢を当てていく。
弱ったハチにさらに追撃の矢で仕留めていく。
「ホァター!」
武道家のイヌマルだ。
イヌマルも跳び蹴りを“殺人蜂”に食らわせる。
信じられないようなジャンプ力。
さすが武道家、やるじゃん。
“大型蟻”はガンテツや女重戦士ビャクランが仕留めてる。
固い“大型蟻”もビャクランの斧は叩き切る。
ガンテツが戦鎚を振るう。
グシャリとアリの頭が潰れるのだ。
侍剣士キョウゲツが刀を光らせる。
スパンッとアリの頭が飛んでいく。
ハチの胴体が二つになる。
どういう技なんだか。
頑丈でタフなハズの昆虫型魔獣が紙のように切られていくのだ。
一行は休憩を取る。
冒険者達は手練れが揃っている。
『地底大迷宮』はほとんど来た事の無い未知の迷宮。
とは言っても『地下迷宮』1~3階と同じ魔獣しか出てきていない。
苦労する相手では無いのだ。
しかし4フロアも歩いてきている。
ブルーヴァイオレットの特殊能力で最短ルートを進んでいるが。
それでも疲れはする距離だ。
「一体どこまで行くんだい?」
「なんとなく『地底大迷宮』の様子も分かった。
今回はこれで良いんじゃないか」
カトレアとガンテツは言う。
体力以上に気分が疲れてる。
もう帰ってもいいじゃん。
「レオン様、帰りませんか」
「駄目だよ、駄目だよ駄目だよ。
7階以降が『地下迷宮』1階から6階に対応してるとしたらだよ」
「17階、18階はどうなってるんだろう。
“迷う霊魂”はいるのかな、“迷う霊魂”“迷う霊魂”」
カトレアはガンテツと顔を見合わせる。
カトレアはそこまで考えてなかった。
でも王子の言う通り。
もしかして“迷う霊魂”もいるのか。
「確かにな。
気にはなりますが、しかし王子様。
まさか18階まで行くってんじゃないでしょうね」
「行きたいね、行きたいね行きたいね」
はぁ、冗談だろ。
18階ってどんだけかかるんだ。
ブルーヴァイオレットさんのお陰で最短距離しか歩いていないけど。
それでも迷宮内で既に数時間。
午後に『地底大迷宮』に入ったのだ。
地上はすでに夕方のハズだ。
「ブルー、用意はしてあるよね」
「ええ、まあ」
ブルーヴァイオレットさんがイヤそうに言う。
「簡易テントに寝袋。
食料も。
二日分は有ります」
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