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第三章 亜人の村はサワガシイ
第176話 夕暮れの死闘その5
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魔術師ミチザネは家の外で立っている。
コノハの家。
外にはユキトと亜人の男がいる。
亜人の少年ユキトは泣き止んだようだ。
「タマモ。
俺タマモにお別れしてくる」
強い少年だ。
仲間の死に慣れているのかもしれない。
目は縁が赤くなってはいるが、真っすぐ前を見ている。
さて問題は家の中だ。
家の中からショウマさんが出てこない。
自分の神聖魔法でも“妖狐”が回復させられなかった事がショックだったのか。
先程は家の中からなにやら音がしていた。
大丈夫だろうか。
あの男は底知れないが、死に慣れてる風では無かった。
とりあえず様子を見よう。
ユキトと一緒にコノハの家に入ろうとするミチザネ。
だが一瞬先に家から飛び出てくる。
家の扉を蹴破って。
何が。
大きい動物が。
人を背に乗せて。
“妖狐”タマモが白いフードの魔術師を乗せて家を飛び出てくる。
そのまま走っていく。
タマモは猛スピード。
あっと言う間に見えなくなる。
ミチザネとユキトの視界から消えていく。
「あれ?! あれはタマモ?!」
「ええっ、そんな死んでいたはずでは……」
「ええっ?」
「ええええええええ!」
「ええええええええええええええええええええええええっ?!」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ」
従魔少女ハチ子の視界に入る弓を持った男。
狙っているのはエリカか。
マズイ。
その時。
弓士ムゲンは大きく避ける。
上手く避けたという安心感と誰が!どこから!という恐怖が体を駆け抜ける。
灰色の布装束。
手に先ほど投げた武器。
ムゲンを襲ってきたのだ。
木の上から。
刺された。
革マントの上から。
相手の武器もナイフのような小型の物。
喰らってはしまったが、重傷では無い。
ダメージはデカくない。
しかし相手は次々攻撃してくる。
木の上から襲われた。
相手は逆サマの恰好で襲って来た。
どうやっているのか枝に足を掛け、頭を下向きに刃物を繰り出してきた。
動きが読めない。
見た事が無いような攻撃方法なのだ。
小柄な人影は枝から宙返りをして見せた。
刃物を投げてくる。
ムゲンは防戦一方。
この距離で弓矢は使えない。
懐に小刀は持っている。
こういった距離に入られた時の護身用。
しかし取り出す事すらできない。
相手は続けて攻撃してくる。
刃物を投げてくる。
ムゲンは躱して見せる。
が、躱した方向に人影は現れる。
次は手に持つ刃物で攻撃してくるのだ。
既にムゲンは手傷を追っている。
重傷こそ避けているが、細かいケガは数えきれない。
「フンッ」
刀が煌めく。
槍を受け止めたのだ。
タケゾウに向かって差し出された銀の槍。
それを刀の腹で打って向きを変えた。
同時にタケゾウは女に近付く。
槍は剣よりリーチの有る武器。
距離を取って戦われるのは不利。
至近距離に飛び込み、もう一本の刀を振るう。
女は腕で受けた。
腕に金属プレートの防具。
女は全身は薄い鎧帷子。
腕のアーマー、胸当て、脛当ては厚みの有る金属鎧。
厚みのある腕アーマーで刀を防いだのだ。
「どうもいけねぇな」
剣士タケゾウはつぶやく。
殺さない程度。
大きなケガを負わせない程度に相手を倒す。
この女は高い値がつくと言われていた女。
そんな事を考えていては刀が鈍る。
女が槍を振るう。
2メートルは有る金属の槍。
それなりの重量の筈だが、女は軽やかに扱う。
さっと攻撃の向きを変えタケゾウに刃を向けて来た。
タケゾウは槍を躱す。
相手の武器の方が攻撃距離が長い。
慎重にいかねぇと。
しかし。
女が他の事に気を取られてる。
タケゾウじゃない。
別の方に目を向けてるのだ。
ずいぶんバカにしてくれるじゃねぇか。
足で女の足元を狙う。
足払い。
女の左足を払う。
それなりに出来る様だがまだまだ甘い。
タケゾウの刀にしか注意していなかったのだろう。
蹴りが来るとは予想もしていなかった。
女はバランスを崩す。
女に大ケガをさせるのはちょいと寝覚めが悪い。
だが仕方ない。
腕の一本くらいはもらおうか。
相手だって槍でタケゾウを狙っている。
喰らえばこちらが死ぬのだ。
逆にやられて、てめぇが死ぬ。
そんな覚悟くらいは持っててもらわねぇとな。
女に向かって刀を振るう。
殺しはしない程度の斬撃。
自分に近い腕。
女の左腕くらいは斬り落す。
女の腕アーマーは肘まで。
肘から肩の部分は薄い鎖帷子。
刀で斬り落とせる。
そう思って刀に勢いを乗せる。
女は態勢を崩してる。
刀を受け止める事は出来ない。
一瞬後にあの女の左腕は無くなる。
腕が切断され、肘から先が地面に落ちていく。
その光景がリアルにタケゾウには思い描ける。
その瞬間。
耳が捉える。
ヒュッ!
風を切る矢音。
逃げろ!
タケゾウは人間相手に実戦を重ねてきた剣士。
その剣士のカンが囁く。
今は斬る時じゃねぇ。
無理やり転ぶようにしても避ける時。
コノハの家。
外にはユキトと亜人の男がいる。
亜人の少年ユキトは泣き止んだようだ。
「タマモ。
俺タマモにお別れしてくる」
強い少年だ。
仲間の死に慣れているのかもしれない。
目は縁が赤くなってはいるが、真っすぐ前を見ている。
さて問題は家の中だ。
家の中からショウマさんが出てこない。
自分の神聖魔法でも“妖狐”が回復させられなかった事がショックだったのか。
先程は家の中からなにやら音がしていた。
大丈夫だろうか。
あの男は底知れないが、死に慣れてる風では無かった。
とりあえず様子を見よう。
ユキトと一緒にコノハの家に入ろうとするミチザネ。
だが一瞬先に家から飛び出てくる。
家の扉を蹴破って。
何が。
大きい動物が。
人を背に乗せて。
“妖狐”タマモが白いフードの魔術師を乗せて家を飛び出てくる。
そのまま走っていく。
タマモは猛スピード。
あっと言う間に見えなくなる。
ミチザネとユキトの視界から消えていく。
「あれ?! あれはタマモ?!」
「ええっ、そんな死んでいたはずでは……」
「ええっ?」
「ええええええええ!」
「ええええええええええええええええええええええええっ?!」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ」
従魔少女ハチ子の視界に入る弓を持った男。
狙っているのはエリカか。
マズイ。
その時。
弓士ムゲンは大きく避ける。
上手く避けたという安心感と誰が!どこから!という恐怖が体を駆け抜ける。
灰色の布装束。
手に先ほど投げた武器。
ムゲンを襲ってきたのだ。
木の上から。
刺された。
革マントの上から。
相手の武器もナイフのような小型の物。
喰らってはしまったが、重傷では無い。
ダメージはデカくない。
しかし相手は次々攻撃してくる。
木の上から襲われた。
相手は逆サマの恰好で襲って来た。
どうやっているのか枝に足を掛け、頭を下向きに刃物を繰り出してきた。
動きが読めない。
見た事が無いような攻撃方法なのだ。
小柄な人影は枝から宙返りをして見せた。
刃物を投げてくる。
ムゲンは防戦一方。
この距離で弓矢は使えない。
懐に小刀は持っている。
こういった距離に入られた時の護身用。
しかし取り出す事すらできない。
相手は続けて攻撃してくる。
刃物を投げてくる。
ムゲンは躱して見せる。
が、躱した方向に人影は現れる。
次は手に持つ刃物で攻撃してくるのだ。
既にムゲンは手傷を追っている。
重傷こそ避けているが、細かいケガは数えきれない。
「フンッ」
刀が煌めく。
槍を受け止めたのだ。
タケゾウに向かって差し出された銀の槍。
それを刀の腹で打って向きを変えた。
同時にタケゾウは女に近付く。
槍は剣よりリーチの有る武器。
距離を取って戦われるのは不利。
至近距離に飛び込み、もう一本の刀を振るう。
女は腕で受けた。
腕に金属プレートの防具。
女は全身は薄い鎧帷子。
腕のアーマー、胸当て、脛当ては厚みの有る金属鎧。
厚みのある腕アーマーで刀を防いだのだ。
「どうもいけねぇな」
剣士タケゾウはつぶやく。
殺さない程度。
大きなケガを負わせない程度に相手を倒す。
この女は高い値がつくと言われていた女。
そんな事を考えていては刀が鈍る。
女が槍を振るう。
2メートルは有る金属の槍。
それなりの重量の筈だが、女は軽やかに扱う。
さっと攻撃の向きを変えタケゾウに刃を向けて来た。
タケゾウは槍を躱す。
相手の武器の方が攻撃距離が長い。
慎重にいかねぇと。
しかし。
女が他の事に気を取られてる。
タケゾウじゃない。
別の方に目を向けてるのだ。
ずいぶんバカにしてくれるじゃねぇか。
足で女の足元を狙う。
足払い。
女の左足を払う。
それなりに出来る様だがまだまだ甘い。
タケゾウの刀にしか注意していなかったのだろう。
蹴りが来るとは予想もしていなかった。
女はバランスを崩す。
女に大ケガをさせるのはちょいと寝覚めが悪い。
だが仕方ない。
腕の一本くらいはもらおうか。
相手だって槍でタケゾウを狙っている。
喰らえばこちらが死ぬのだ。
逆にやられて、てめぇが死ぬ。
そんな覚悟くらいは持っててもらわねぇとな。
女に向かって刀を振るう。
殺しはしない程度の斬撃。
自分に近い腕。
女の左腕くらいは斬り落す。
女の腕アーマーは肘まで。
肘から肩の部分は薄い鎖帷子。
刀で斬り落とせる。
そう思って刀に勢いを乗せる。
女は態勢を崩してる。
刀を受け止める事は出来ない。
一瞬後にあの女の左腕は無くなる。
腕が切断され、肘から先が地面に落ちていく。
その光景がリアルにタケゾウには思い描ける。
その瞬間。
耳が捉える。
ヒュッ!
風を切る矢音。
逃げろ!
タケゾウは人間相手に実戦を重ねてきた剣士。
その剣士のカンが囁く。
今は斬る時じゃねぇ。
無理やり転ぶようにしても避ける時。
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