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第三章 亜人の村はサワガシイ
第154話 ベオグレイドへその2
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次、ユキトの家だ。
マントやら革鎧を端からチェックするのだ。
「『鑑定』だって無限に使えるワケでは無いんですぞ」
文句を言うミチザネに倒れるまで『鑑定』を使わせる。
ユキトの妹イチゴちゃんとその母親ナデシコ。
二人は革細工が得意らしい。
獣の革は『野獣の森』で多数手に入る。
村人から預かってそこから毛布や敷物を作る。
戦士に頼まれて革の防具を作ったりもする。
「革鎧はアタシじゃなくて母さんが作ったんだよ」
革鎧は形状が複雑だ。
袖から肩の作り、胸から胴へもカーブを描くのだ。
簡単には作れない。
着る人間のサイズにも合わせなくてはいけない。
それに比べれば、マントや敷物は単純な造り。
イチゴちゃんでもマントくらいは作れるらしい。
鎧となるとナデシコさんじゃないと無理。
簡単な破れ目を補修するくらいならイチゴちゃんでもイケル。
家には修理を頼まれた防具やら、作ったマントが多数転がっていた。
その借りて来たマントに魔法防御力上昇(小)が混じってたのだ。
ミチザネはすでに倒れてる。
「ムリです。これ以上は本当に気絶します。
これ以上は魔法もスキルも使えません」
息も絶え絶えといった風情。
ギリギリまで『鑑定』を使わせたのだ。
ハジから調べてだいたい分かって来た。
『火鼠の革』だけ使って作ってあるマント。
これは魔法防御力上昇(小)が付く。
他の革を混ぜちゃダメ。
同じく『猩々の革』だけで作った物。
速度上昇(小)の効果が有る。
『双頭熊の革』は攻撃力上昇(小)。
どれも他の革が混ざってはダメ。
細工の出来にも左右されるらしい。
『火鼠の革』だけで作ってもイチゴちゃんが幼いころ作ったという失敗作は効果が無かった。
「この効果が有るって防具は全部、
『土蜘蛛の糸』で縫い合わせた物かもしれないです」
イチゴちゃんが言う。
大勢が自分の作った革細工に注目してるのでちょっと照れた風情。
顔が赤らんでる。
なかなかカワイイ子だ。
ユキトもイケてる顔だし、母親のナデシコさんもキレイな顔立ち。
遺伝してるな。
とりあえず、持ってるドロップ品『火鼠の革』『双頭熊の革』をありったけ渡す。
『土蜘蛛の糸』もだ。
防具ドンドン作ってくれない?、というワケだ。
「はい。
聖者サマのお役に立てるなら」
と言ってもそう簡単じゃなさそうだ。
『火鼠の革』は小さい。
元が小さい魔獣だしな。
マントを作るのに20枚くらいは必要。
それにマントばかり有ってもな。
鎧は形状が複雑でイチゴちゃんが作るには難しい。
作る事が出来るナデシコさんは体調が悪くて寝込んでいる。
腕カバー、脚カバーくらいならどうだろう。
夏に女子が着けてる日焼け防止の肘から手まで覆うようなヤツ。
腕を通して丸く縫い合わせればいいだけ。
アレならそんなに難しく無さそう。
鎧下に使えばいいのだ。
イチゴちゃんはトライしてくれると言う。
オッケー。
頼んだよ。
「兄ちゃん。神聖魔法のコト聞いていいか?」
ユキトのセリフだ。
ショウマ達はコノハの家に帰ってる。
「なに? どんなコト?
内容によるなぁ、みたいな」
秘密の多いショウマは少しビクついてる。
「前、オレを治してくれただろう。
初めてあった時。
あの時、今使ってるのと違う魔法を使った気がするんだ」
あいたっ。
そうだ。
ユキトには『治癒の滝』を使ってしまった。
ユキトは足の骨を折ってた。
見ているだけで痛そうだった。
思わず効きそうな魔法を使ってしまったのだ。
ショウマは今日も村で回復魔法を使ってる。
使ってるのは『休息の泉』まで。
海属性魔法のランク2。
『治癒の滝』がおそらくランク3。
実は今日も魔獣が溢れてる。
入り口にケロ子たちが居たので、ほとんどは彼女たちが倒してる。
ケロ子、みみっくちゃん、エリカ、ミチザネ。
それなりの実力者揃い。
でも数が多いと小さい魔獣は逃げていく。
“火鼠”なんかが5匹以上出てくると一匹くらい村まで行ってしまう。
逃げればいいのに村の人は立ち向かっていく。
ケガ人はそう簡単にはいなくならない。
ショウマも人前で注目されるのに少しは慣れた。
フードで顔も隠してるしね。
「聖者サマ、ありがとうございます!」
「おおっ。
あの方が聖者サマか。
ありがたや、ありがたや」
でも村の人は慣れるどころか日に日に持ち上げてくるのだ。
すでに拝んでくるような人までいる。
なんだ、コレ。
ショウマ教とか出来ちゃうんじゃないだろうか。
宗教関係、関わりたくないのに。
コノハさんやみみっくちゃんが人々を整理してくれた。
「聖者サマはお疲れなんです。
ムリさせないであげてください」
「はい、はい。そこの人近寄り過ぎですよ。YESロリータ、NOタッチでお願いしますですよ」
コノハさんまで既に聖者サマ呼ばわり。
みみっくちゃんは何かカンチガイしてるよ。
キバトラや戦士達も来ていた。
どうもキバトラはリーダーなのに戦士達の先陣を切って戦うらしい。
ケガも多い。
「今日もすまねえな。
助かるぜ」
慣れてくると悪役顔も怖くなくなってくる。
回復が終わって、男子組女子組分かれて家で休んでいるのだ。
「兄ちゃんがあの時使った魔法。
『治癒の滝』とか言ったヤツ。
イチゴや母さんに使ってくれないか」
そうだ。
ユキトの妹と母親は石化しかけてるのだ。
「魔力に限界が有るんだろ。
どういう時なら使えるんだ?
オレ、ちゃんと礼はするよ。
何すればいい?
何でもする」
うわー。
美少年の何でもするキター。
いや、違うのだ。
ショウマはオトコノコに興味は無いのだ。
ユキトが美少年だろうが、関係ない。
ホントウだ。
男には一切興味ないのだ。
男には一切興味ないのだ。
大事な事なので二度言いました。
「分かった。
考えるから少し待って」
マントやら革鎧を端からチェックするのだ。
「『鑑定』だって無限に使えるワケでは無いんですぞ」
文句を言うミチザネに倒れるまで『鑑定』を使わせる。
ユキトの妹イチゴちゃんとその母親ナデシコ。
二人は革細工が得意らしい。
獣の革は『野獣の森』で多数手に入る。
村人から預かってそこから毛布や敷物を作る。
戦士に頼まれて革の防具を作ったりもする。
「革鎧はアタシじゃなくて母さんが作ったんだよ」
革鎧は形状が複雑だ。
袖から肩の作り、胸から胴へもカーブを描くのだ。
簡単には作れない。
着る人間のサイズにも合わせなくてはいけない。
それに比べれば、マントや敷物は単純な造り。
イチゴちゃんでもマントくらいは作れるらしい。
鎧となるとナデシコさんじゃないと無理。
簡単な破れ目を補修するくらいならイチゴちゃんでもイケル。
家には修理を頼まれた防具やら、作ったマントが多数転がっていた。
その借りて来たマントに魔法防御力上昇(小)が混じってたのだ。
ミチザネはすでに倒れてる。
「ムリです。これ以上は本当に気絶します。
これ以上は魔法もスキルも使えません」
息も絶え絶えといった風情。
ギリギリまで『鑑定』を使わせたのだ。
ハジから調べてだいたい分かって来た。
『火鼠の革』だけ使って作ってあるマント。
これは魔法防御力上昇(小)が付く。
他の革を混ぜちゃダメ。
同じく『猩々の革』だけで作った物。
速度上昇(小)の効果が有る。
『双頭熊の革』は攻撃力上昇(小)。
どれも他の革が混ざってはダメ。
細工の出来にも左右されるらしい。
『火鼠の革』だけで作ってもイチゴちゃんが幼いころ作ったという失敗作は効果が無かった。
「この効果が有るって防具は全部、
『土蜘蛛の糸』で縫い合わせた物かもしれないです」
イチゴちゃんが言う。
大勢が自分の作った革細工に注目してるのでちょっと照れた風情。
顔が赤らんでる。
なかなかカワイイ子だ。
ユキトもイケてる顔だし、母親のナデシコさんもキレイな顔立ち。
遺伝してるな。
とりあえず、持ってるドロップ品『火鼠の革』『双頭熊の革』をありったけ渡す。
『土蜘蛛の糸』もだ。
防具ドンドン作ってくれない?、というワケだ。
「はい。
聖者サマのお役に立てるなら」
と言ってもそう簡単じゃなさそうだ。
『火鼠の革』は小さい。
元が小さい魔獣だしな。
マントを作るのに20枚くらいは必要。
それにマントばかり有ってもな。
鎧は形状が複雑でイチゴちゃんが作るには難しい。
作る事が出来るナデシコさんは体調が悪くて寝込んでいる。
腕カバー、脚カバーくらいならどうだろう。
夏に女子が着けてる日焼け防止の肘から手まで覆うようなヤツ。
腕を通して丸く縫い合わせればいいだけ。
アレならそんなに難しく無さそう。
鎧下に使えばいいのだ。
イチゴちゃんはトライしてくれると言う。
オッケー。
頼んだよ。
「兄ちゃん。神聖魔法のコト聞いていいか?」
ユキトのセリフだ。
ショウマ達はコノハの家に帰ってる。
「なに? どんなコト?
内容によるなぁ、みたいな」
秘密の多いショウマは少しビクついてる。
「前、オレを治してくれただろう。
初めてあった時。
あの時、今使ってるのと違う魔法を使った気がするんだ」
あいたっ。
そうだ。
ユキトには『治癒の滝』を使ってしまった。
ユキトは足の骨を折ってた。
見ているだけで痛そうだった。
思わず効きそうな魔法を使ってしまったのだ。
ショウマは今日も村で回復魔法を使ってる。
使ってるのは『休息の泉』まで。
海属性魔法のランク2。
『治癒の滝』がおそらくランク3。
実は今日も魔獣が溢れてる。
入り口にケロ子たちが居たので、ほとんどは彼女たちが倒してる。
ケロ子、みみっくちゃん、エリカ、ミチザネ。
それなりの実力者揃い。
でも数が多いと小さい魔獣は逃げていく。
“火鼠”なんかが5匹以上出てくると一匹くらい村まで行ってしまう。
逃げればいいのに村の人は立ち向かっていく。
ケガ人はそう簡単にはいなくならない。
ショウマも人前で注目されるのに少しは慣れた。
フードで顔も隠してるしね。
「聖者サマ、ありがとうございます!」
「おおっ。
あの方が聖者サマか。
ありがたや、ありがたや」
でも村の人は慣れるどころか日に日に持ち上げてくるのだ。
すでに拝んでくるような人までいる。
なんだ、コレ。
ショウマ教とか出来ちゃうんじゃないだろうか。
宗教関係、関わりたくないのに。
コノハさんやみみっくちゃんが人々を整理してくれた。
「聖者サマはお疲れなんです。
ムリさせないであげてください」
「はい、はい。そこの人近寄り過ぎですよ。YESロリータ、NOタッチでお願いしますですよ」
コノハさんまで既に聖者サマ呼ばわり。
みみっくちゃんは何かカンチガイしてるよ。
キバトラや戦士達も来ていた。
どうもキバトラはリーダーなのに戦士達の先陣を切って戦うらしい。
ケガも多い。
「今日もすまねえな。
助かるぜ」
慣れてくると悪役顔も怖くなくなってくる。
回復が終わって、男子組女子組分かれて家で休んでいるのだ。
「兄ちゃんがあの時使った魔法。
『治癒の滝』とか言ったヤツ。
イチゴや母さんに使ってくれないか」
そうだ。
ユキトの妹と母親は石化しかけてるのだ。
「魔力に限界が有るんだろ。
どういう時なら使えるんだ?
オレ、ちゃんと礼はするよ。
何すればいい?
何でもする」
うわー。
美少年の何でもするキター。
いや、違うのだ。
ショウマはオトコノコに興味は無いのだ。
ユキトが美少年だろうが、関係ない。
ホントウだ。
男には一切興味ないのだ。
男には一切興味ないのだ。
大事な事なので二度言いました。
「分かった。
考えるから少し待って」
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