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第一章 ハジマリの地下迷宮
第74話 地下迷宮転章
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ブルーヴァイオレット。
彼女は貴族の一員だ。
西方神聖王国の辺境貴族、その三女。
辺境貴族、それも三女となると生活は保障されてない。
父親は彼女を政略結婚に使うつもりだ。
それを知ってブルーヴァイオレットはとっとと進路を決めた。
兵士になったのだ。
軍学校に入学、トップクラスの成績を叩き出した。
軍学校卒業の貴族とくれば、三士もニ士も一士もパス。
いきなり士長になれる。
そのまま辺境の小隊長になる。
そういう予定だった。
現在国同士の戦争が起きる可能性は低い。
平和に辺境の砦で過ごせる。
そのまま退役して年金をもらって暮らす。
そういう人生設計だったのだ。
なのになぜ今自分はこんなところにいるのだろう。
西方神聖王国の首都スクーピジェ。
その第一王城。
王国親衛隊隊長室。
そこに彼女は居る。
はぁーっ。
タメ息をもらす。
「ダメだよ。ブルー。
タメ息をつくたび幸せが逃げていくっていうよ」
ブルーヴァイオレットはびくんと背筋を跳ね上げる。
ここは親衛隊隊長室。
ついさっきまで自分一人しか部屋には居なかった。
こんなマネが出来るのは……
「聞いたかい、聞いたかい聞いたかい。
ブルー、さっきの緊急連絡を。
聞いたよね、もちろん聞いたよね」
「レオン様、何処から入ったんですか?
扉には鍵がかかってた筈です」
「新しいダンジョン、新しいダンジョン新しいダンジョン。
どんなところなんだろう。どんな敵がいるのかな。
強いの?弱いの?」
「今日こそはお答えください。
レオン様と言えども自分の部屋の鍵をお持ちなのなら返却していただきたい」
「『竜の塔』と言ってた。『竜の塔』『竜の塔』『竜の塔』
って事は当然竜が住んでるのかな?
どう思う。ブルー」
「……分かりません。
その件は地下迷宮の冒険者組合に問い合わせました。
知る限りの情報をよこすように伝えてあります」
目の前の金髪の青年はブルーヴァイオレットの言う事をまったく聞いていない。
いつもの事だ。
諦めるしかない。
宮使えの悲哀である。
「地下迷宮、地下迷宮地下迷宮の冒険者。
その中には地下迷宮六階の特定ボス魔獣を倒したモノがいるんだよね」
「はい。
まだ誰かは分かっていません。
それも調べさせています」
「気になるな、気になるな気になるなぁ。
という訳で僕は地下迷宮に行くことにするよ」
「はい?」
「『地下迷宮』が『地底大迷宮』になったんだろう。
そこの探索もしてくる。
という事でブルーついてきて。
今日にも出かけるよ」
「レオン様! 私は今日は行けません!
アナタもです」
もしもブルーヴァイオレットが諦めるしかない、などと心の中で呟いてると目の前の青年が知ったなら言ったであろう。
良く言えるね、良く言えるね良く言えるね。
彼に言わせれば、自分の言う事を聞かないただ一人の人間なのだ。
さらに自分に言う事を聞かせるただ一人の人間でもある。
「どうしても、どうしてもどうしても?」
「はい。ダメです」
「僕がこんなに頼んでもダメ?」
「二日後に弟君の誕生パーティーが有ります。
そしてパレードも。
これだけは外せません」
「おとうと……5男か。
別に向こうは僕に出て欲しいとは思ってないんじゃない」
「出席しなければ口さがない貴族たちに何を言われるか」
「出席しても貴族たちは何か言うさ」
「5男のアリスト様は賢明な方です。
味方に取り込みましょう」
「味方ね」
ブルーヴァイオレットは続ける。
「王族にも二種類のタイプがいます。
太陽とその周りをまわる衛星です」
「レオン様。
アナタと一緒に行動すれば、
誰が太陽で、誰が衛星か。
アリスト様はきっとお分かりになるでしょう」
西方神聖王国王族親衛隊隊長ブルーヴァイオレット。
彼女は西方神聖王国第一王子にそう言った。
第一王子の名はレオン。
太陽の王子、そう呼ばれている。
ここまで読んでくれた皆様。
ありがとうございます。
くろねこ教授です。
『クズ度の高い少年が モンスターと戦って倒すと、倒したモンスターが美少女になって、倒した相手に絶対服従してくれる世界に行ってみた。』
第一章はここまでです。
この作品は今までになろう様、カクヨム様などで公開した物をアルファポリス様に向けて、多少アレンジしてお送りしています。
第五章まで公開して、第一部完結となっております。
アルファポリスユーザー様の評判次第で続きや番外編なども書いて行こうか思案中です。
まだまだ先が長いのでごゆっくりお付き合いください。
ご意見ご感想お待ちしてます。
文句やリクエスト等も。
マジでリクエスト次第で短編くらいは書きますし、本編の展開にも影響するかも。
よろしくお願いします。
では次回予告です。
【次回予告】
母なる海の女神教団。大陸最大の教団だ。西方から東方広く大きな街には必ずと言っていいほどその神殿がある。
必要なのだ。母なる海の女神教団は癒しと回復の力を持つ。
誰でも怪我はする。いつかは病気になる。教団を無視する事は出来ない。
「失礼します。三級神官カリン、入ります」
次回、聖女エンジュにご期待ください。
(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)
彼女は貴族の一員だ。
西方神聖王国の辺境貴族、その三女。
辺境貴族、それも三女となると生活は保障されてない。
父親は彼女を政略結婚に使うつもりだ。
それを知ってブルーヴァイオレットはとっとと進路を決めた。
兵士になったのだ。
軍学校に入学、トップクラスの成績を叩き出した。
軍学校卒業の貴族とくれば、三士もニ士も一士もパス。
いきなり士長になれる。
そのまま辺境の小隊長になる。
そういう予定だった。
現在国同士の戦争が起きる可能性は低い。
平和に辺境の砦で過ごせる。
そのまま退役して年金をもらって暮らす。
そういう人生設計だったのだ。
なのになぜ今自分はこんなところにいるのだろう。
西方神聖王国の首都スクーピジェ。
その第一王城。
王国親衛隊隊長室。
そこに彼女は居る。
はぁーっ。
タメ息をもらす。
「ダメだよ。ブルー。
タメ息をつくたび幸せが逃げていくっていうよ」
ブルーヴァイオレットはびくんと背筋を跳ね上げる。
ここは親衛隊隊長室。
ついさっきまで自分一人しか部屋には居なかった。
こんなマネが出来るのは……
「聞いたかい、聞いたかい聞いたかい。
ブルー、さっきの緊急連絡を。
聞いたよね、もちろん聞いたよね」
「レオン様、何処から入ったんですか?
扉には鍵がかかってた筈です」
「新しいダンジョン、新しいダンジョン新しいダンジョン。
どんなところなんだろう。どんな敵がいるのかな。
強いの?弱いの?」
「今日こそはお答えください。
レオン様と言えども自分の部屋の鍵をお持ちなのなら返却していただきたい」
「『竜の塔』と言ってた。『竜の塔』『竜の塔』『竜の塔』
って事は当然竜が住んでるのかな?
どう思う。ブルー」
「……分かりません。
その件は地下迷宮の冒険者組合に問い合わせました。
知る限りの情報をよこすように伝えてあります」
目の前の金髪の青年はブルーヴァイオレットの言う事をまったく聞いていない。
いつもの事だ。
諦めるしかない。
宮使えの悲哀である。
「地下迷宮、地下迷宮地下迷宮の冒険者。
その中には地下迷宮六階の特定ボス魔獣を倒したモノがいるんだよね」
「はい。
まだ誰かは分かっていません。
それも調べさせています」
「気になるな、気になるな気になるなぁ。
という訳で僕は地下迷宮に行くことにするよ」
「はい?」
「『地下迷宮』が『地底大迷宮』になったんだろう。
そこの探索もしてくる。
という事でブルーついてきて。
今日にも出かけるよ」
「レオン様! 私は今日は行けません!
アナタもです」
もしもブルーヴァイオレットが諦めるしかない、などと心の中で呟いてると目の前の青年が知ったなら言ったであろう。
良く言えるね、良く言えるね良く言えるね。
彼に言わせれば、自分の言う事を聞かないただ一人の人間なのだ。
さらに自分に言う事を聞かせるただ一人の人間でもある。
「どうしても、どうしてもどうしても?」
「はい。ダメです」
「僕がこんなに頼んでもダメ?」
「二日後に弟君の誕生パーティーが有ります。
そしてパレードも。
これだけは外せません」
「おとうと……5男か。
別に向こうは僕に出て欲しいとは思ってないんじゃない」
「出席しなければ口さがない貴族たちに何を言われるか」
「出席しても貴族たちは何か言うさ」
「5男のアリスト様は賢明な方です。
味方に取り込みましょう」
「味方ね」
ブルーヴァイオレットは続ける。
「王族にも二種類のタイプがいます。
太陽とその周りをまわる衛星です」
「レオン様。
アナタと一緒に行動すれば、
誰が太陽で、誰が衛星か。
アリスト様はきっとお分かりになるでしょう」
西方神聖王国王族親衛隊隊長ブルーヴァイオレット。
彼女は西方神聖王国第一王子にそう言った。
第一王子の名はレオン。
太陽の王子、そう呼ばれている。
ここまで読んでくれた皆様。
ありがとうございます。
くろねこ教授です。
『クズ度の高い少年が モンスターと戦って倒すと、倒したモンスターが美少女になって、倒した相手に絶対服従してくれる世界に行ってみた。』
第一章はここまでです。
この作品は今までになろう様、カクヨム様などで公開した物をアルファポリス様に向けて、多少アレンジしてお送りしています。
第五章まで公開して、第一部完結となっております。
アルファポリスユーザー様の評判次第で続きや番外編なども書いて行こうか思案中です。
まだまだ先が長いのでごゆっくりお付き合いください。
ご意見ご感想お待ちしてます。
文句やリクエスト等も。
マジでリクエスト次第で短編くらいは書きますし、本編の展開にも影響するかも。
よろしくお願いします。
では次回予告です。
【次回予告】
母なる海の女神教団。大陸最大の教団だ。西方から東方広く大きな街には必ずと言っていいほどその神殿がある。
必要なのだ。母なる海の女神教団は癒しと回復の力を持つ。
誰でも怪我はする。いつかは病気になる。教団を無視する事は出来ない。
「失礼します。三級神官カリン、入ります」
次回、聖女エンジュにご期待ください。
(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)
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