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第一章 ハジマリの地下迷宮
第65話 地下迷宮最下層その1
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【ある男の物語】
男は迷宮に行く。
彼は人より鋭い嗅覚、聴覚を持っている。
魔獣を避けて行動する。
最初は迷宮でしか手に入らない品物を求めてだった。
湖の側に咲く薬草。
回復薬の材料になると言う。
“歩く骸骨”の残す武器。
魔法の武具が混じっていると言う。
それらを手に入れ売るのはそれなりの金になった。
だが男は満足できない。
迷宮で困ってる冒険者を多数見た。
「回復薬を使い切った」
「武器が壊れた」
「食料が足りない」
何が必要とされているのか確実に記憶する。
それを用意する。
冒険者に用意した商品を売る。
冒険者は男に感謝した。
商人としての自分の居場所を見つけた気がした
迷宮には人に気付かれない隠し通路が無数に有った。
男は人知られず魔獣を避けて2階から6階を行き来した。
………
男は人知られず地下迷宮を行き来する商人となった。
だがここは危険に満ちた地下迷宮だ。
男は“屍食鬼”に見つかってしまった。
傷を受ける男。
命からがら逃げだす。
アンデッドたちを避け地下へ潜る。
普段なら喰らう事の無いアンデッドの遅い攻撃もケガをした彼は避けきれない。
そして男は6階へと逃げ延びた。
傷は広がっている。
出血も激しい。
男は意識を失った。
………
意識を取り戻した男。
それからはヘマをしない。
魔獣に見つかる事は無い。
魔獣が男に意識を払う事すらない。
何故なら男は・・・・だから。
男は縦横無尽に迷宮を移動する。
何故なら男は・・・・だから。
冒険者たちに品物を売る。
何故なら男は商人だから。
たまに冒険者たちを地下へと誘い込む。
何故なら男は・・・・だから。
ショウマのいる場所に“巨大猛毒蟇蛙”が近付いてくる。
どうやら湖の奥は水面下が深いらしい。
頭部しか見えなかった“巨大猛毒蟇蛙”が胴体まで見えてくる。
徐々に体が大きく高くせりあがってゆく。
辺りの水が大きく動いている。
“巨大猛毒蟇蛙”が一歩歩く。
“巨大猛毒蟇蛙”が跳ねる。
その度に大波がショウマと従魔少女を揺らす。
「みみっくちゃん 死んじゃうですか。せっかく生まれてきたのに、こんなうす暗い水たまりでカエルに踏みつぶされて死ぬですか。
ご主人様の寵愛だって、まだ一回しか受けてないですよ。短い人生でした。
というか待ってください。本当に短くないですか。みみっくちゃん少女になってからまだ3日しかたってないですよ。しかも一日目は気絶してましたから、実質二日ですよ。
いくなんでも短くないですか。泣きゲーだってそんなヒドイ目に遭うヒロインいないですよ……」
「ショウマさまっ!
逃げましょうっ」
「王よ、ここは逃げた方が良いだろう」
「王よ、ここは逃げた方が良いでしょう」
………………
みみっくちゃんが慌ててる。
ケロコは跳んで逃げ出す体勢。
ハチ子、ハチ美は今にもショウマを抱きかかえて飛び立つ準備。
しかしショウマが動こうとしない。
フードに顔を隠し反応しないのだ。
「………………
やったね!」
フードから顔を出した従魔師の少年。
その顔はは明るく笑っていた。
「王よ、あなたは?」
「王よ、あなた様は?」
「ケロ子とみみっくちゃんの分だけじゃなくて、ハチ子、ハチ美の分まで来てくれたじゃない。
『毒消し』の材料が有るって。
商人さんは本当のこと言ってたんだな。
騙されたかと思っちゃった」
「ショウマさまっ?」
「ご主人様 ついについに頭おかしくなったですか。いやもともとおかしい人ではあったんですが、そういう意味でヤバイ人間では無かったですよ」
誰かの声が湖に響く。
『絶対零度』
凍り付いていた。
ショウマの前方が。
視界に入る湖と“巨大猛毒蟇蛙”。
その全てが凍り付く。
音を無くした空間。
水面はもう動いていない。
見渡す限りの氷。
音がしなくなった世界でみみっくちゃんが喋り出す。
「何ですか、何ですか今の。みみっくちゃん聞いた事無いですよ。見たことないですよ。
もしかして、もしかして、もしかして、ランク5の魔法ですか?
ランク5って伝説級!なんですよ。
ランク4ですら普通人間の魔術師は一生かけて辿り着かない、辿り着けないんですよ。もしも覚えたとしても魔力が足りないですよ。使いこなせないですよ。
そういう域なんですよ。それを……
今日、何回魔法を連続して使ってると思ってるんですか。10回や20回じゃないですよ……」
「王、これはいったい……」
「王、これはいったい……」
「さすが ショウマさまっ」
全員呆然としてショウマを見ている。
いや全員じゃなかったみみっくちゃん、ハチ子、ハチ美だ。
ケロ子はいつも通りショウマを賞賛している。
ケロ子以外の従魔少女たちはケロ子もオバケでも見るような目で見てる。
「えー。
前にも使ったじゃん。
あれ、でも使ったのは一人の時だっけ?」
「寒いっ!
水が冷たいー。
ハチ美、
僕を抱えて飛んでよ」
確かに水が冷たい。
少し先から水面が凍り付いてるのだから当然だ。
ハチ美がショウマを抱えて飛翔する。
「ハチ子、
ケロ子とみみっくちゃんをお願い」
「アタシは大丈夫ですっ」
ケロ子はジャンプしていく。
突き落とされた扉は遥か上の方だが、岩壁を蹴り上げながら進んでいく。
「王の命令だ。仕方ない。みみっくちゃん先輩掴まれ」
「ふん。助けられてやるですよ」
「まだ倒しきれてないんだよねー」
ショウマは奥に目をやる。
“巨大猛毒蟇蛙”は凍って入るが、氷に割れ目が出来ている。
動こうともがいているようだ。
これでトドメかな。
『竜巻』
“巨大猛毒蟇蛙”たちが地底湖の水ごと風の渦に巻かれて上空へ舞い上がる。
中空に舞っている。
水が。
ケモノの影が。
そのまま地面に地底湖の水が叩きつけられる。
“巨大猛毒蟇蛙”たちの姿は見えなくなる。
「……ご主人様、ご主人様、今の魔法もひょっとして……」
「うん。
ランク5」
男は迷宮に行く。
彼は人より鋭い嗅覚、聴覚を持っている。
魔獣を避けて行動する。
最初は迷宮でしか手に入らない品物を求めてだった。
湖の側に咲く薬草。
回復薬の材料になると言う。
“歩く骸骨”の残す武器。
魔法の武具が混じっていると言う。
それらを手に入れ売るのはそれなりの金になった。
だが男は満足できない。
迷宮で困ってる冒険者を多数見た。
「回復薬を使い切った」
「武器が壊れた」
「食料が足りない」
何が必要とされているのか確実に記憶する。
それを用意する。
冒険者に用意した商品を売る。
冒険者は男に感謝した。
商人としての自分の居場所を見つけた気がした
迷宮には人に気付かれない隠し通路が無数に有った。
男は人知られず魔獣を避けて2階から6階を行き来した。
………
男は人知られず地下迷宮を行き来する商人となった。
だがここは危険に満ちた地下迷宮だ。
男は“屍食鬼”に見つかってしまった。
傷を受ける男。
命からがら逃げだす。
アンデッドたちを避け地下へ潜る。
普段なら喰らう事の無いアンデッドの遅い攻撃もケガをした彼は避けきれない。
そして男は6階へと逃げ延びた。
傷は広がっている。
出血も激しい。
男は意識を失った。
………
意識を取り戻した男。
それからはヘマをしない。
魔獣に見つかる事は無い。
魔獣が男に意識を払う事すらない。
何故なら男は・・・・だから。
男は縦横無尽に迷宮を移動する。
何故なら男は・・・・だから。
冒険者たちに品物を売る。
何故なら男は商人だから。
たまに冒険者たちを地下へと誘い込む。
何故なら男は・・・・だから。
ショウマのいる場所に“巨大猛毒蟇蛙”が近付いてくる。
どうやら湖の奥は水面下が深いらしい。
頭部しか見えなかった“巨大猛毒蟇蛙”が胴体まで見えてくる。
徐々に体が大きく高くせりあがってゆく。
辺りの水が大きく動いている。
“巨大猛毒蟇蛙”が一歩歩く。
“巨大猛毒蟇蛙”が跳ねる。
その度に大波がショウマと従魔少女を揺らす。
「みみっくちゃん 死んじゃうですか。せっかく生まれてきたのに、こんなうす暗い水たまりでカエルに踏みつぶされて死ぬですか。
ご主人様の寵愛だって、まだ一回しか受けてないですよ。短い人生でした。
というか待ってください。本当に短くないですか。みみっくちゃん少女になってからまだ3日しかたってないですよ。しかも一日目は気絶してましたから、実質二日ですよ。
いくなんでも短くないですか。泣きゲーだってそんなヒドイ目に遭うヒロインいないですよ……」
「ショウマさまっ!
逃げましょうっ」
「王よ、ここは逃げた方が良いだろう」
「王よ、ここは逃げた方が良いでしょう」
………………
みみっくちゃんが慌ててる。
ケロコは跳んで逃げ出す体勢。
ハチ子、ハチ美は今にもショウマを抱きかかえて飛び立つ準備。
しかしショウマが動こうとしない。
フードに顔を隠し反応しないのだ。
「………………
やったね!」
フードから顔を出した従魔師の少年。
その顔はは明るく笑っていた。
「王よ、あなたは?」
「王よ、あなた様は?」
「ケロ子とみみっくちゃんの分だけじゃなくて、ハチ子、ハチ美の分まで来てくれたじゃない。
『毒消し』の材料が有るって。
商人さんは本当のこと言ってたんだな。
騙されたかと思っちゃった」
「ショウマさまっ?」
「ご主人様 ついについに頭おかしくなったですか。いやもともとおかしい人ではあったんですが、そういう意味でヤバイ人間では無かったですよ」
誰かの声が湖に響く。
『絶対零度』
凍り付いていた。
ショウマの前方が。
視界に入る湖と“巨大猛毒蟇蛙”。
その全てが凍り付く。
音を無くした空間。
水面はもう動いていない。
見渡す限りの氷。
音がしなくなった世界でみみっくちゃんが喋り出す。
「何ですか、何ですか今の。みみっくちゃん聞いた事無いですよ。見たことないですよ。
もしかして、もしかして、もしかして、ランク5の魔法ですか?
ランク5って伝説級!なんですよ。
ランク4ですら普通人間の魔術師は一生かけて辿り着かない、辿り着けないんですよ。もしも覚えたとしても魔力が足りないですよ。使いこなせないですよ。
そういう域なんですよ。それを……
今日、何回魔法を連続して使ってると思ってるんですか。10回や20回じゃないですよ……」
「王、これはいったい……」
「王、これはいったい……」
「さすが ショウマさまっ」
全員呆然としてショウマを見ている。
いや全員じゃなかったみみっくちゃん、ハチ子、ハチ美だ。
ケロ子はいつも通りショウマを賞賛している。
ケロ子以外の従魔少女たちはケロ子もオバケでも見るような目で見てる。
「えー。
前にも使ったじゃん。
あれ、でも使ったのは一人の時だっけ?」
「寒いっ!
水が冷たいー。
ハチ美、
僕を抱えて飛んでよ」
確かに水が冷たい。
少し先から水面が凍り付いてるのだから当然だ。
ハチ美がショウマを抱えて飛翔する。
「ハチ子、
ケロ子とみみっくちゃんをお願い」
「アタシは大丈夫ですっ」
ケロ子はジャンプしていく。
突き落とされた扉は遥か上の方だが、岩壁を蹴り上げながら進んでいく。
「王の命令だ。仕方ない。みみっくちゃん先輩掴まれ」
「ふん。助けられてやるですよ」
「まだ倒しきれてないんだよねー」
ショウマは奥に目をやる。
“巨大猛毒蟇蛙”は凍って入るが、氷に割れ目が出来ている。
動こうともがいているようだ。
これでトドメかな。
『竜巻』
“巨大猛毒蟇蛙”たちが地底湖の水ごと風の渦に巻かれて上空へ舞い上がる。
中空に舞っている。
水が。
ケモノの影が。
そのまま地面に地底湖の水が叩きつけられる。
“巨大猛毒蟇蛙”たちの姿は見えなくなる。
「……ご主人様、ご主人様、今の魔法もひょっとして……」
「うん。
ランク5」
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