56 / 289
第一章 ハジマリの地下迷宮
第56話 ハチの姉妹その2
しおりを挟む
『LVが上がった』
『ハチコは冒険者LVがLV1からLV2になった』
『ハチミは冒険者LVがLV1からLV2になった』
“殺人蜂”の3体を仕留めたショウマ一行。
コインはショウマが銀貨5枚、ハチ子とハチ美がそれぞれ銀貨5枚手に入れた。
ハチ子とハチ美はショウマにコインを差し出してくる。
チーム編成をしていないからだ。
現在チーム編成はリーダー・ショウマ、ケロ子、みみっくちゃん。
ケロ子が倒したドロップコインはリーダーのショウマの元へ。
ハチ子とハチ美はそれぞれ倒した昆虫型魔獣のドロップコインを単独で手に入れている。
とすると経験値も同じだ。
ハチ子が倒した魔獣の経験値はハチ子のモノ。
ハチ美も同じく。
ショウマ、ケロ子、みみっくちゃんが倒した魔獣の経験値はチーム3人で分け合う。
ならばショウマ、ケロ子が戦闘してもハチ子、ハチ美のLVアップにならない。
「え~、
一度帰ってチーム編成する?
いや~、
帰ったら今日はもう仕事終わりだよ。
お風呂入って寝るよ」
一行はこのまま進むことになった。
勤勉な従魔少女達である。
「んじゃ、今日こそはニ階に行くぜ」
女冒険者カトレアは張り切っている。
午前中は『花鳥風月』チーム加入を断念した戦士の手続きやガンテツへの報告でつぶれてしまった。
午後からの探索だ。
1階の右回廊も左回廊も一通り巡った。
今日は中央に進み、そのまま湖から階段を下りる。
「だけど『毒消し』が無いぜ」
「俺もだ」
「なにやっとんじゃ、お前ら」
ツッコんだのは斧戦士だ。
「予備くらい持っておくもんじゃ」
「いや~、しつこく売れって商人が言うからよ」
「通常の売値の3倍で買ってくれるって言うんだぜ」
「それルメイ商会だろ。
俺んとこも来た。
ミニスカートの女店員が来てよ、売ってくれって。
あれは断れねーよな」
「男ってのはバカだねぇ。
3倍の値段で売って、20倍の値段で買うのかい」
カトレアの言われても誰も言い返せない。
男ってどの時代もバカだよね。
斧戦士とカトレアが予備に持っていた『毒消し』一本ずつ有るだけだ。
カトレアは笑って見せる。
「ヒッヒッヒー、
ところが借りてきたのが有るんだ」
「借りてきた~?
何処から」
「アヤメちゃんから。
組合とは仲良くしとくもんだよな」
組合の主任キキョウのアイディアだ。
『毒消し』は手に入れた。
だが50本しか無い。
販売すればすぐ無くなってしまう。
そこで信頼できる冒険者チームのリーダーに貸し出す。
『毒消し』は毎回必ず使うモノでは無い。
毒を受けた時だけだ。
チームで持っていれば全員分必要な訳でも無い。
リーダーが数本持っていれば大丈夫だ。
冒険者としては毒攻撃をいつ受けるか分からないから持っておきたい。
そこで探索に行く時組合から借りる。
迷宮探索から戻ってきたら返す。
使った分は適正価格で払う。
それで販売するよりは冒険者に行き渡る。
アヤメは言ったのだ。
「カトレアさんなら信用できます」
という訳でカトレアは張り切っているのである。
前衛 斧戦士、盾戦士
中央 コノハ、槍戦士
後衛 カトレア、魔術師
最後尾 タマモ
で地下二階まで一気に進む。
魔術師は革鎧を壊してしまった。
今日は予備の厚手の革ローブ。
「ニ階はアンデッドが多いからね。
イヤなところだし、実入りも少ない。
可能なら一気に通り抜けて、3階まで行くよ」
「だから焦り過ぎだって」
他の古参メンバーが言ってもその勢いは止まらない。
「うん。
“大型蟻”が出てきたらハチ子、ハチ美が倒す。
“殺人蜂”が出てきたらケロ子と僕が相手する。
もちろん敵の数が多かったらお互いフォローする。
これで行こう」
ショウマの決定だ。
文句を言う者はいない。
「あれ、みみっくちゃんの名前が無いですよ。ご主人様、ついにみみっくちゃんの事目に入らなくなりましたか。そうですか……」
出発の支度をしながらハチ子は疑問を口に出す。
「王の決定に異論はないが、しかし飛翔できる我らが“殺人蜂”を相手する方が適任というモノではないのか?」
「適任じゃないでしょうか?」
「ご主人様、多分気を使ってるですよ。みみっくちゃん意味の無い気遣いだと思うですよ。
朝もご主人様に言ったです。人間も人間同士争うし殺人もするです。“殺人蜂”同士だって戦うですよ……」
「うん、そうだねっ。
人間同士も戦うね」
みみっくちゃんに同意をしつつもケロ子は言葉を続ける。
「でもね、みみっくちゃん」
「人間同士は争ったら、人間を殺してしまったら、後でとってもイヤな気持ちになるんだよ。
ショウマさまは私たちにそんな気持ち。
イヤな気持ちになって欲しくない。
そう考えてるんだと思うよ」
休憩を終えたショウマが歩き出す。
慌てて走り出すケロ子とみみっくちゃん。
それに遅れないよう付いていくハチ子、ハチ美。
従魔の少女たちは彼に付き従って歩き出す。
彼と一緒に進んでいくのだ。
『ハチコは冒険者LVがLV1からLV2になった』
『ハチミは冒険者LVがLV1からLV2になった』
“殺人蜂”の3体を仕留めたショウマ一行。
コインはショウマが銀貨5枚、ハチ子とハチ美がそれぞれ銀貨5枚手に入れた。
ハチ子とハチ美はショウマにコインを差し出してくる。
チーム編成をしていないからだ。
現在チーム編成はリーダー・ショウマ、ケロ子、みみっくちゃん。
ケロ子が倒したドロップコインはリーダーのショウマの元へ。
ハチ子とハチ美はそれぞれ倒した昆虫型魔獣のドロップコインを単独で手に入れている。
とすると経験値も同じだ。
ハチ子が倒した魔獣の経験値はハチ子のモノ。
ハチ美も同じく。
ショウマ、ケロ子、みみっくちゃんが倒した魔獣の経験値はチーム3人で分け合う。
ならばショウマ、ケロ子が戦闘してもハチ子、ハチ美のLVアップにならない。
「え~、
一度帰ってチーム編成する?
いや~、
帰ったら今日はもう仕事終わりだよ。
お風呂入って寝るよ」
一行はこのまま進むことになった。
勤勉な従魔少女達である。
「んじゃ、今日こそはニ階に行くぜ」
女冒険者カトレアは張り切っている。
午前中は『花鳥風月』チーム加入を断念した戦士の手続きやガンテツへの報告でつぶれてしまった。
午後からの探索だ。
1階の右回廊も左回廊も一通り巡った。
今日は中央に進み、そのまま湖から階段を下りる。
「だけど『毒消し』が無いぜ」
「俺もだ」
「なにやっとんじゃ、お前ら」
ツッコんだのは斧戦士だ。
「予備くらい持っておくもんじゃ」
「いや~、しつこく売れって商人が言うからよ」
「通常の売値の3倍で買ってくれるって言うんだぜ」
「それルメイ商会だろ。
俺んとこも来た。
ミニスカートの女店員が来てよ、売ってくれって。
あれは断れねーよな」
「男ってのはバカだねぇ。
3倍の値段で売って、20倍の値段で買うのかい」
カトレアの言われても誰も言い返せない。
男ってどの時代もバカだよね。
斧戦士とカトレアが予備に持っていた『毒消し』一本ずつ有るだけだ。
カトレアは笑って見せる。
「ヒッヒッヒー、
ところが借りてきたのが有るんだ」
「借りてきた~?
何処から」
「アヤメちゃんから。
組合とは仲良くしとくもんだよな」
組合の主任キキョウのアイディアだ。
『毒消し』は手に入れた。
だが50本しか無い。
販売すればすぐ無くなってしまう。
そこで信頼できる冒険者チームのリーダーに貸し出す。
『毒消し』は毎回必ず使うモノでは無い。
毒を受けた時だけだ。
チームで持っていれば全員分必要な訳でも無い。
リーダーが数本持っていれば大丈夫だ。
冒険者としては毒攻撃をいつ受けるか分からないから持っておきたい。
そこで探索に行く時組合から借りる。
迷宮探索から戻ってきたら返す。
使った分は適正価格で払う。
それで販売するよりは冒険者に行き渡る。
アヤメは言ったのだ。
「カトレアさんなら信用できます」
という訳でカトレアは張り切っているのである。
前衛 斧戦士、盾戦士
中央 コノハ、槍戦士
後衛 カトレア、魔術師
最後尾 タマモ
で地下二階まで一気に進む。
魔術師は革鎧を壊してしまった。
今日は予備の厚手の革ローブ。
「ニ階はアンデッドが多いからね。
イヤなところだし、実入りも少ない。
可能なら一気に通り抜けて、3階まで行くよ」
「だから焦り過ぎだって」
他の古参メンバーが言ってもその勢いは止まらない。
「うん。
“大型蟻”が出てきたらハチ子、ハチ美が倒す。
“殺人蜂”が出てきたらケロ子と僕が相手する。
もちろん敵の数が多かったらお互いフォローする。
これで行こう」
ショウマの決定だ。
文句を言う者はいない。
「あれ、みみっくちゃんの名前が無いですよ。ご主人様、ついにみみっくちゃんの事目に入らなくなりましたか。そうですか……」
出発の支度をしながらハチ子は疑問を口に出す。
「王の決定に異論はないが、しかし飛翔できる我らが“殺人蜂”を相手する方が適任というモノではないのか?」
「適任じゃないでしょうか?」
「ご主人様、多分気を使ってるですよ。みみっくちゃん意味の無い気遣いだと思うですよ。
朝もご主人様に言ったです。人間も人間同士争うし殺人もするです。“殺人蜂”同士だって戦うですよ……」
「うん、そうだねっ。
人間同士も戦うね」
みみっくちゃんに同意をしつつもケロ子は言葉を続ける。
「でもね、みみっくちゃん」
「人間同士は争ったら、人間を殺してしまったら、後でとってもイヤな気持ちになるんだよ。
ショウマさまは私たちにそんな気持ち。
イヤな気持ちになって欲しくない。
そう考えてるんだと思うよ」
休憩を終えたショウマが歩き出す。
慌てて走り出すケロ子とみみっくちゃん。
それに遅れないよう付いていくハチ子、ハチ美。
従魔の少女たちは彼に付き従って歩き出す。
彼と一緒に進んでいくのだ。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる