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Scene.EX03 五古河逆と俺のいない小学校
第172話
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速見佐緒里が叫び声を放つ。
「逆さんが、逆さんが!」
円花と由羅がエッと振り向く。
オレがやられるとでも思ってんのか。
気を散らすんじゃねえよ。
「魔法少女になっちゃったーー!!」
そうだ。
さっきまでサンタ服だったオレ。
五古河逆の体は今や黄色の水着みたいな服に包まれてる。
その上に金属らしい鎧。
鋼の胸当てに、ブーツ。
足元を透明な素材が覆う。
チッ、佐緒里。
珍しいモノを見る様にジロジロみてんじゃねー。
こっちだって恥ずかしいんだよ。
オレは恥ずかしがってゾンビを見逃すほどマヌケじゃない。
近付くゾンビに拳を撃ち抜く。
オレの拳には何時の間にかナックル。
黄金色に輝くそれ。
指を通し、拳部分から攻撃用に突き出る尖ったモノ。
そいつで軽く打っただけでゾンビの頭部は爆散した。
いいな。
オレにピッタリの武器。
足元のブーツでゾンビの群れを蹴る。
動きを止めたゾンビどもを拳で砕いて回る。
俺が足を振るうと、足元の透明な布も動く。
なんだかヒラヒラしてる。
敵が気を取られる。
フェイント用か。
布は恐ろしく軽く、オレの動きのジャマにならない。
素早く蹴り、バランスを崩したゾンビを仕留めて回る。
オレは阿修羅か夜叉の様だったハズだ。
ところが。
佐緒里のヤツは歓声を上げる。
「スゴイ、カッコイイ、キレイ。
まるでダンサーみたい。
布がひらひらと舞って美しいわ。
金色に輝く天女が戦ってるみたい」
この小学生女子。
少しオカシイんじゃねーか。
速見佐緒里は続ける。
スマホを取り出して録画まで始めてる。
「赤と青と黄色、三人の魔法少女が揃った。
ゾンビなんて怖くないわ」
七鮎川円花の“水流のブレスレット”
碧き魔法少女。
炎城寺由羅の“炎のネックレス”
朱い魔法少女。
そしてオレ。
五古河逆の“大地のイヤリング”
黄金の魔法少女。
オレは“大地のイヤリング”と聞いて。
うん?なんだっけな。
とは思ったのだ。
しかし自分がイヤリングを拾って。
捨てずに隠し持っていたなんて。
すっかり忘れていた。
オレがアクセサリーなんて着けるハズは無い。
イヤリングなんて見た事も無いんだ。
捨てなかったのもたまたまに過ぎない。
見る事さえ珍しいシロモノ。
少しばかり観察してみようと持っていただけ。
普段は持ってる事さえ気づいて無かった。
あの男。
草薙真悟に言われなかったらそのまま忘れてただろう。
「逆さんが、逆さんが!」
円花と由羅がエッと振り向く。
オレがやられるとでも思ってんのか。
気を散らすんじゃねえよ。
「魔法少女になっちゃったーー!!」
そうだ。
さっきまでサンタ服だったオレ。
五古河逆の体は今や黄色の水着みたいな服に包まれてる。
その上に金属らしい鎧。
鋼の胸当てに、ブーツ。
足元を透明な素材が覆う。
チッ、佐緒里。
珍しいモノを見る様にジロジロみてんじゃねー。
こっちだって恥ずかしいんだよ。
オレは恥ずかしがってゾンビを見逃すほどマヌケじゃない。
近付くゾンビに拳を撃ち抜く。
オレの拳には何時の間にかナックル。
黄金色に輝くそれ。
指を通し、拳部分から攻撃用に突き出る尖ったモノ。
そいつで軽く打っただけでゾンビの頭部は爆散した。
いいな。
オレにピッタリの武器。
足元のブーツでゾンビの群れを蹴る。
動きを止めたゾンビどもを拳で砕いて回る。
俺が足を振るうと、足元の透明な布も動く。
なんだかヒラヒラしてる。
敵が気を取られる。
フェイント用か。
布は恐ろしく軽く、オレの動きのジャマにならない。
素早く蹴り、バランスを崩したゾンビを仕留めて回る。
オレは阿修羅か夜叉の様だったハズだ。
ところが。
佐緒里のヤツは歓声を上げる。
「スゴイ、カッコイイ、キレイ。
まるでダンサーみたい。
布がひらひらと舞って美しいわ。
金色に輝く天女が戦ってるみたい」
この小学生女子。
少しオカシイんじゃねーか。
速見佐緒里は続ける。
スマホを取り出して録画まで始めてる。
「赤と青と黄色、三人の魔法少女が揃った。
ゾンビなんて怖くないわ」
七鮎川円花の“水流のブレスレット”
碧き魔法少女。
炎城寺由羅の“炎のネックレス”
朱い魔法少女。
そしてオレ。
五古河逆の“大地のイヤリング”
黄金の魔法少女。
オレは“大地のイヤリング”と聞いて。
うん?なんだっけな。
とは思ったのだ。
しかし自分がイヤリングを拾って。
捨てずに隠し持っていたなんて。
すっかり忘れていた。
オレがアクセサリーなんて着けるハズは無い。
イヤリングなんて見た事も無いんだ。
捨てなかったのもたまたまに過ぎない。
見る事さえ珍しいシロモノ。
少しばかり観察してみようと持っていただけ。
普段は持ってる事さえ気づいて無かった。
あの男。
草薙真悟に言われなかったらそのまま忘れてただろう。
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