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Scene28 悶える闇の妖精と俺の湖の畔

第162話

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『Glaaki』
こいつか。

薄暗い緑色と紫にぬめりを帯びた体。
ナメクジというよりナマコのようでもあるな。
三本の目が本体から突き出て、俺の方を伺う。

湖の水が変質したのだ。
『Glaaki』の棘の呪いに対抗する水。
『Glaaki』本体にダメージが有ってくれるかは不明。
しかし、コイツは慌てて湖を飛び出した。
おそらくは何かしらダメージが有ったのだろう。

そのダメージを与えたのが俺達と判断してるのかどうか。
三本の目は俺とシアカテル、サイツォンの方を向いている。

夜の暗がりに人間大のナメクジ。
かなり不気味な光景では有る。
キャンディーが銃を向ける。

「出たわね、アタシの金一封。
 逃さないわ」

『Glaaki』の体から触手、棘の様に光を帯びたそれが飛び出てキャンディーを狙う。

ミニスカサンタルックの女性は慌てる。

「しまったー!
 スーツ着るの忘れてたー!」

と言いつつもキャンディーの手は動いてる。
素早く伸びてくる、触手の先端を狙い撃つ。

「高電磁熱線殺傷銃!」

触手の先は燃え上がり、『Glaaki』が叫び声を放つ。

GYAGYAGYAGYAOOOOON!!!

「待て、待て、殺すな」

言い出したのはミクトランテクゥト。
黒いローブを被った死霊術師。

「以前、巨大なナメクジが現れた時は驚いて川に捨ててしまったが。
 後で良く調べれば、ゾンビを量産出来る能力を持つマモノ。
 欲しい、欲しいぞ。
 その能力。
 上手く改造すれば、世界中の人間をアンデット化させられる。
 その全てを我が操り人形とするコトも夢ではない」

「ジージーマイン」

俺が命じる。

『ディメンションサンダー』

「ンギャハ!ムヒョホヒョホ!ンギャガギャ!」

死霊術師は静かになった。

「えーと、良いのかしら?」

キャンディーは律儀に俺の方を見て攻撃を中止してる。

「やれっ、キャンディー。
 スペース刑事の任務だろう。
 仕事を果たせ」

こちらを伺いながら触手を飛ばす『Glaaki』。
人間大とは言え、ナメクジ。
その動作は遅い。

キャンディーの水鉄砲にしか見えない高電磁熱線殺傷銃がその触手を襲う。
暗闇に光が走り、触手が燃え落ちる。
ナメクジは抵抗していたが。
その胴体をキャンディーの銃から放たれた熱線が襲う。

「高電磁熱線殺傷銃!」

人間大ナメクジは燃えカスとなった。

銃をクルクルと回し、ミニスカサンタルックでポーズを決めるキャンディー。
ポーズを決めるのが好きな女だな。

『Glaaki』は片付いたか。
元からザコだ。

では。
俺は湖の水を眺める。
これからが本番かな。
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