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Scene27 魔術研究家シアカテルと俺の茶屋

第153話

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俺は店の厨房に入る。
冷蔵庫や食材を漁る。
昼飯の準備である。
いつでも人間にとって栄養補給は大事なのだ。

店で出していたメニューであろうパンが有る。
パンには若干カビが発生してるが。
カビを削ぎ落して良く焼くとしよう。
多少腹具合を悪くするかもしれんが、本気で体を壊すほどヤワな連中でも無い。
冷蔵庫にはチーズやらハム。
トーストしたパンとホットサンド風にするか。

「勿体ない。
 私がやります」

露出度の高い美女が言ってくる。
闇の妖精、シアカテル。

「オマエはそっちに集中しろ。
 俺は手が空いてる。
 手が空いてる者がやるのが当然だ」


シアカテル達は机に集まってるのだ。
机には一杯の珈琲カップ。

俺は珈琲を飲み終えたカップに湖の水を汲んで持ってきた。
そいつを調べているのだ。
メンバーはシアカテル、ジージーマイン、ミクトランテクゥト。
協力者にサイツォン。


キャンディーが俺に言ってくる。

「お腹空いたわ。
 まだ出来ないの?」

オマエは何もしてないだろ。
食料作りを手伝え。


体内に入れるとゾンビ化する呪われた水。
俺は彼らに命じていた。

『ワイルドビーティング』はゾンビ化した人間の体内で『Glaaki』の棘に対抗する。
ならば水の段階でどうにか出来ないか。
更にはその水を人間の体内に入れればゾンビ化に対抗できる。
そんな水を造れないか。

普通のヤツなら無茶を言うなと言われそうな話。
だが、メンバーが揃っているのだ。

シアカテル。
魔術の天才。
少女だった時分から突出した魔術の才能を持ち、魔王の四将まで上り詰めた女。
魔法の性能、効力、効果範囲を読み取り即座にアレンジ出来る特殊技能。
そんなマネが出来るのはこの女くらいだ。

ミクトランテクゥト。
死霊術師等と名乗っている。
自らをアンデッド化し永い年月を生きて来た魔術師。
ありとあらゆる魔導書を搔き集め、研究する為だけに生きて来たような男だ。
現在ではその頭部に脳味噌は残っていない。
何処まで信用できるかは怪しい部分も有るのだが。

ジージーマイン。
古代兵器ゴーレム。
失われた文明からの生き残り。
シアカテルらが知る魔術体系と似てはいるが、何か違う技能を操る。
その頭脳は機械仕掛け。
どの様な仕組みか俺には理解出来ないが、情報を忘れるという事が無い。

『Glaaki』は外宇宙邪神。
しかしスペース刑事は大した大物じゃないと言っていた。
小物の産み出したモノ。
その位何とかして見せろ。
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