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Scene26 変身ヒロインキャンディーと俺の山道

第148話

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「押し付けられた嫁の人数は俺の比じゃ無かったハズだ」

あまり思い出したくも無い記憶だが。
確かにその通り、二ヶ月先まで寝床を共にする相手は決まっていた。

この世界に住む男から見ればハーレムと呼ぶ類いかもしれないが、タダの義務だ。
俺の好みや気分等と言うモノは関係無い。
ただ機械的に子作りと言う義務をこなす。

「サイツォン、俺はな。
 女を抱かなくて良い日がきたら一生女は抱かない。
 そんなコトを思った時期も有ったよ」

「しかしな、女と言うのは抱けなくなると抱きたくなるモノなんだな」

「はははははっ、違いねえ。
 俺もこの世界に来て3ヶ月。
 そろそろ女の身体が恋しくなってきたぜ」

「バカバカ。
 ここに女性がいるってのに。
 なんて話してんのよ」

キャンディー。
気にしないでくれ。
妄想とでも思っておけばいい。


途中俺はゾンビと遭遇する。
ハイキングを楽しんでいたのであろうゾンビ。
リュックを背負った二人組。

「まだいたか。
 この辺の人間は全員ゾンビになっちまってな。
 大分片づけたんだが」

サイツォンは言う。
左腕から爪を光らせる。
コイツが本気になれば、ゾンビなど一瞬で葬れる。

「あたしに任せない。
 久々に実戦に使いたいの」

メタリックなスーツで進み出るキャンディー。
手には玩具の様な鉄砲状の物体。


「高電磁熱線殺傷銃!」

キャンディーが叫ぶとゾンビは燃え上がった。
全身から青い炎を発し燃え尽きる。
後には燃えカスしか残らない。

「良し、いいカンジね」

玩具の様な外見でなかなか恐ろしいシロモノだな。



サイツォンの言うねぐらに俺は辿り着く。
木々に隠れ外からは見えない。
崖下を堀り進め、岩と木材で固定した洞窟。
樹木と樹木の間に板を通し、見上げる高さに固定したウッドハウス。

「木の上に住んでんのがシアカテルだな。
 あっちの洞窟はジージーマインとミクトランテクゥトが使ってる。
 俺は適当に地面で寝る方が好きなんだ」

広場ではミクトランテクゥトが泣き叫んでいた。
黒いローブで顔まで隠す死霊術師。

「止めろ、オニ、アクマ。
 貴重な魔導書を。
 二度と手に入らんかもしれないんだぞ」

暴れる死霊術師をゴーレムが羽交い絞めにしている。
ジージーマインだ。

その前では書物らしいのが燃えてる。
炎が燃え盛り、女性がその中に書物をポイポイ放り込んでるのだ。

「魔王様のご指示です。
 この世界に来て手に入れた魔導書は全て燃やします」
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