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Scene25 サンタガール円花と俺の体育館

第143話

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体育館の壇上、俺は円花を抱きしめる。
サンタルックの円花。
赤い服に白いボンボンが可愛い。

「真悟さん、誰かに見られます」

現在、体育館には誰もいない。

「逆や由羅ちゃん達が戻って来ますわ」
「そうか、見られたら困るようなコトがしたいのか。
 円花がねだるなら仕方ないな」

「ええええ、真悟さんー?!」

体育館のステージの脇。
厚いカーテンで隠された場所へ、俺は円花を連れ込んだ。

「あっ、ダメです。
 真悟さん、それ以上は」
「円花、大きな声を出したら誰かに聞こえてしまう」

俺は自分の口で彼女の唇を塞ぐ。
赤く、奇麗な唇。
柔らかい感触。
円花が瞳を閉じ、長い睫毛が震える。


「遅いじゃない。
 ナニやってんのよ」

屋上でキャンディーが言う。

俺も手早く済ませようと思ったのだが。
サンタルックの円花は可愛すぎた。
「ホントウに声が出ちゃいます。
 真悟さん、許して」
許して等と言ってるが、彼女は一切抵抗しない。
潤んだ瞳は俺を誘う。
「円花、可愛いよ」
真っ赤な服の少女を後ろから抱きしめ、耳元に囁く。
「真悟さん、好きです。
 愛してます、貴方の事しか考えられない。
 円花は貴方の物です」
俺への愛の言葉を小声で言いながら震える彼女。
短時間で済ませられる訳が無い。


キャンディーが空を眺めて言う。

「アレよ、時空間クルーザー」

そこには空飛ぶ円盤が飛んでいた。
UFO。
Unidentified Flying Object、未確認飛行物体。
丸い銀色の輪と上に高く膨らむ中央部。
帽子の様なフォルム。
アダムスキー型とか言うんだったか。

俺は気にしないが。
見る人が見たら大騒ぎになりそうな光景。

「アレはUFOじゃないか」
「見せてるのは映像よ。
 目立たないための立体映像
 調べたら、アレが一般的な空飛ぶ物体の格好だって」

いや、何か違ってるな。
飛行機の形とかに出来ないのか。

「飛行機、こんなのかしら」

ジャンボジェットが屋上に浮かぶ。
うん、合ってる。
合ってはいるのだが。
ジェット機は空中に浮かんでピクリとも動かない。
音も立てなきゃ飛行機雲も出さない。
これはこれで異様な光景だ。

「注文がうるさいわね。
 透明にしておけばいいでしょ」

宙に浮かんでいた物体が見えなくなる。
最初からそうしておけばいいのに。

「周りの景色を写して本体が見えない様にするんだけど、
 光の具合とかで意外と分かってしまうのよ」

それでも、アダムスキー型円盤やピクリともしないジャンボジェットが宙に浮いてるよりマシだ。
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