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Scene25 サンタガール円花と俺の体育館

第142話

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キャンディーは地図帳を見ている。
時空間クルーザーとやらにデータを送ると言う。

「どれが目的地よ。
 この湖ね。
 周り中、山に囲まれて何も無いトコね。
 出発すれば10分程度で着けるわ」

小学校の屋上にクルーザーを着けるらしい。

「あたし、準備してくる。
 少しかかるからしばらくしたら屋上に来て」

俺は挨拶でもしておくか。

「あっ、草薙さん」
「何よあんた。
 ウロウロしてないで手伝いなさい」

由羅と佐緒里だ。
パーティーの準備を手伝ってるらしい。
飾りリボンやらなにやら運んでる。
人の背くらいは有りそうな造木。
クリスマスツリー用なのだろう。
それを体育館に運ぶと言う。

「場所は体育館なのか」
「広い場所がそれだけなの」

俺はツリーを運ぶのを手伝う。

「ありがとうございます」

由羅が頭を下げる。
以前は前髪で顔を隠し、佐緒里に隠れていた彼女。
だが、少しは度胸が付いたのか。
前髪を分けて、顔を出してるな。
俺にも目を見て話している。

「あの、草薙さん。
 昨日は本当にありがとうございました」
「由羅、そんなに気にしなくていーのよ。
 シスターを助けて恩に着せて口説くつもりなのよ。
 むしろ警戒しなさい」

佐緒里のヤツ。
何故、俺の考える事が分かるんだ。

「誰でも分かるのよ」
「佐緒里ちゃんと草薙さん、仲良しだね」

「誰が!」

体育館に行くと、そこには円花が居た。
何故か赤い衣装を着てる。

「円花さん、素敵です」
「サンタガール、サイコーです」

サンタルック。
真っ赤なモコモコの服に白いボンボン。
赤い帽子まで被って可愛らしい。

「円花、素敵だ。
 キミに良く似合って可愛い」 

俺はツリーを置いて彼女を眺める。

「おい、草薙の。
 ツリーはあのステージまで持ってってくれよ」

体育館の奥にはステージ。
壇上にツリーを飾るのか。

逆も手伝っている。
逆のヤツはいつも通りトレーニングウェア。
飾り気の無い男のようなスタイル。

「オレはスカートなんか着ないんだ。
 動きにくくてしょうがないだろ」

「えーっ、逆さんも着ましょうよ。
 きっと似合います」
「そうね、パンツスタイルのサンタ服も有ったハズよ」

由羅と佐緒里が逆を連れて行く。
逆は暴れるが、小学生女子相手に本気は出せない。
ズルズルと引きずられて行く。

残ったのは俺とサンタ姿の円花。

「円花、そろそろ出る。
 上手く行けば、今日にもこの騒動は終わる」

彼女は俺を見つめる。

「真悟さん、本当に大丈夫ですか。
 危険な事はしないでください」

俺は彼女の肩を抱き寄せる。

「心配するな。
 キミの元に必ず帰って来る」
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