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Scene22 七鮎川円花と俺の儀式の場

第123話

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一面の水の部屋へと進む。
現在では水は蒸発し、所々に床が見えている。
Deep Onesが熱湯の中で暴れているな。

摂氏100度の水、人間が全身浸かったら数秒で死ぬ。
水棲人はタフなのか。
まだ暴れるだけの元気が有る魚ガエル。

ビキニ姿で拳銃を構える女性。
スペース刑事見習いキャンディーが空中からDeep Onesを狙撃。
トドメを刺していく。

「これだけ、倒せばもう終わったようなモノね」
「そうだな、もう再起は出来ないだろ」

キャンディーとゲンの仕事は片付いたらしい。
この世界の浸食を食い止めると言っていた。
まだ少しは生き残りがいるかもしれないが、侵食出来るほどの力は残っていない。

空中を進む俺と闇の妖精シアカテル。
まだ蒸気が部屋には充満し視界は広くない。
周りの床より高い場所に出て、そこに降り立つ。

多分これが先ほど水面から出ていた儀式の場所。
人影らしきモノが見えていた。
七鮎川円花と炎城寺由羅。
二人の魔法少女は何処にいる?

いた。
石の台の上に寝かされている少女達。
鉄の鎖で体の自由を奪われている。

肉体を大の字にした少女、七鮎川円花。
その手足に食い込む鎖。
服装は魔法少女姿。
肉体のフォルムにピッタリした服。
胸と腰を覆った鉄の鎧、透けたスカート。
石台に肉体を縛られ、身動き出来ずにいる姿は少し煽情的だ。。

「……真悟さん……」

弱々しい声。
円花が目を開けている。
意識が有ったのか。

「どうした、大丈夫か?」

ヤツらに何かされたのか。
Deep Onesどもは子作りの儀式と言っていたな。
まさか。

「平気です。何もされてません。
 先ほどまで意識が無かったんですが、
 この暑さで目が覚めたんです」

そうか、辺りは水蒸気が立ち込める。
部屋の中央に居たなら正にサウナ状態。

見ると円花の身体には汗が滴っている。
目が潤んでポーっとしている。
色っぽい雰囲気だが、暑さでのぼせているのか。

俺は軽く手で仰いでいやる。

「ありがとうございます。
 信じてました。
 真悟さんが助けに来てくれると。
 本当に来てくれた…………
 貴方はやはり私の運命の人です」

円花はのぼせているのだろう。
目に涙を浮かべ、弱々しい声で言う。
俺はその頬に手を当てる。
やはり身体が熱いな。

「……あっ……」

円花は頬に触れた俺の手に小さな声を上げて目を閉じている。
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