上 下
117 / 191
Scene20 シアカテルと俺の捕らわれた部屋

第117話

しおりを挟む
「あの人が草薙君が助けに来たって言ってた女の人?」

キャンディーが前の方を指して言う。
ゲンの前にいる女性。
黒い肌の魔法使いシアカテル。
最後尾にいる俺にキャンディーは振り向いて問いかけて来るのだ。

「いえ、違います。
 助けに来たのは先ほどのシスター。
 他にも二人少女が居るはずなんです」
「じゃあ、あれは誰なの?」

ビキニ姿のキャンディーが俺の目を見る。

さて、どう答えたモノかな。

「俺を助けてくれてる方ですね。
 能力が高い人なのでつい頼ってしまいます」

俺はとりあえず当り障りの無い事を言う。
するとシアカテルがこちらを向く。

「女、余計な詮索をするな。
 私はその方の忠実な僕だ」
「シモベ?」

キャンディーとゲンが揃って怪訝な顔。
俺は普通の高校生。
シアカテルは年齢不詳だが、一回りは上に見える。
俺の配下は不自然だろう。

俺はシアカテルの言葉を否定しようと思うが、彼女は更に続ける。

「そうだ。
 私はその方に身も心も捧げたのだ。
 その方の奴隷と言っても良かろう」
「奴隷?!」

ゲンの奴が唾を呑み込む。
キャンディーが呆然とする。

前を歩くシアカテルは美しい女性。
煽情的な鎧姿。
胸の先端や腰から足の合わせ目は白銀の鎧が視線を遮る。
しかしそれ以外は豊満な肉体のほとんどを晒している。
ビキニ水着のキャンディーより露出度が高いかもしれない。
そんな姿で男の奴隷などと言う女。

「アタシ、翻訳機能がどうかしちゃったかしら。
 凄くエッチな言葉が聞こえた気がするわ」
「翻訳は合ってるだろ。
 あの服装だぜ。
 性奴隷だよ、そうしか考えらんねー」

キャンディーとゲンがシアカテルと俺を交互に見てる。

「バカバカ。
 男ってサイテーね。
 女性にあんなエッチな恰好させて喜ぶなんて」
「お前、まだ学生だってのにやるな。
 ありゃどこの次元に連れてったって、特上付きの美女だぜ」

キャンディーは頬を膨らましてプンスカ。
ゲンは涎を垂らしそうな顔。
今はそんな話をしてる場合じゃ無いだろ。
先頭の男が立ち止まる。

「コノ先デス。
 コノ先ガDeep Ones様ノ部屋。
 私ニハコレ以上進ムコトハ許サレテオリマセン」
しおりを挟む

処理中です...