ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

Scene20 シアカテルと俺の捕らわれた部屋

第116話

「貴様ラ、何者ダ？！」

両生類じみた男が声を上げる。
緑色の肌の蛙男が数人。
一人はシアカテルの『ダークビュレット』を喰らい伸びている。
さらに数人の蛙男がいるのだ。
コイツらは人間の言葉が喋れないようだ。
先程キャンディーの肉体へ伸ばした長い舌。
人間と多少、体の造りも違う。
蛙男がジージーマインに向かう。

コイツの仲間は腕力が人間離れしている。
小学校で5メートルは有る鉄の校門を投げて見せた。
マトモに戦いたくは無い。

『ディメンションカッター』
空間ヨ、刃トナリ引キ裂ケ！

石で出来た人影から聞こえる。
ジージーマインが唱えた瞬間。

蛙男の肉体がズレる。

男の頭部、顎の上と下が分離。
胸と腹の間がキレイに分かれる。
声も上げず崩れ落ちる肉体。

腹から下の部分からは内臓がはみ出る。
胸部分からは血が大量に流出。
頭の上部はデロンと舌が自身の顔に垂れ下がる。
正面の蛙男は三つに分割されていた。

その後ろに居た蛙男達も身体を分割され崩れ落ちる。

「アアアアアア！」

蛙男に比べれば人間じみた男が悲鳴を洩らす。
Deep Onesとやらのハーフが蛙男。
クオーターもしくは更に血の薄い男。
こいつは後ろで様子見していたので助かったらしい。

ジージーマインが男に顔を向ける。
石で出来た顔、眼に当たる場所は空洞。
光るモノが動き、怯えるインスマスの男を捉える。

「アァァアァ」

恐怖でまともに動けない男。
石で出来た古代兵器からは駆動音。
男に近づく。

「待て、殺すな」

俺はストップを掛ける。
意識の無い女性を襲おうとしていた男。
死のうが生きようが構わないが、コイツには案内をさせたい。


「サクサク進め。
　我らを騙そうなどと考えたら死ぬぞ」

シアカテルがインスマスの男に杖を向ける。
両生類じみた男が先頭。
その後ろに黒い肌の魔法使い、シアカテル。

「ックション。
　体が冷えた、風邪ひいちまうぜ」

次がスペース刑事ゲン。
下着姿だけの男。
メタリックなスーツは無理矢理引っぺがされて壊れたらしい。
しかし、『プラズマソード』は持っている。
この武器さえあれば戦力にはなるだろう。

「バカバカ。
　せっかくの上級装備を壊すなんて、
　再申請は自分でしてよね」

スペース刑事助手キャンディー。
ビキニの水着がメリハリの有るボディを覆う。
階段を上っているのだ。
俺の視界の前に丁度格好の良いヒップ。

殿は俺、バットを持った男子。
背も高く革ジャンを着た俺は高校生には見え辛い。
大学生位に見える筈だ。

ゲンとキャンディーはそれなりに鍛えているのだろう。
少し揺さぶったら目を覚ました。
シスター・クリスティーナも先程の部屋に縛られていたのだが、
彼女は簡単には目覚めなかった。

ジージーマインにシスターのガードを任せた。
意識の無い女性を放っても置けない。
ゴーレムに介護をさせたのである。
意識を取り戻したら怯えるかもしれないな。
暗い部屋の中シスターが目覚めたら、石で出来た古代兵器ゴーレムが目の前に居るのだ。