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Scene18 スペース刑事見習いキャンディーと俺の地下通路

第110話

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見張りに居た不気味な男は四人。
俺が一人をバットで打ちつける間に、ゲンは三人を倒していた。
スペース刑事ゲン。
軽合金製と言っていたメタリックなスーツ。
身体能力を上げる性能が有る様だ。
攻撃力の高い『プラズマソード』。
なかなかの実力。

ゲンにやられた男達は三人とも身体を大きく斬られてる。
命は無い。
俺はバットで打った男の顔を平手打ち。
正気付かせる。

「おい、ここに女性が来なかったか。
 水着のような戦闘服を付けた若い女性だ」
「アノ女ドモカ」

「知っているのか。
 何処にいる?、教えろ」
「ククク、誰ガ教エルモノカ」

様子を見ていたキャンディーが加勢する。

「ちょっと素直に話しなさいよ。
 仲間たちはやられちゃったのよ
 ああなりたいの」

ゲンに切り殺された死体を指さす。

「オノレ、偉大ナル『Dagon』様ニ逆ラウ愚カ者」

男は口をつぐむ。
不気味な顔、両生類を思わせる面相でそっぽを向く。

「ゲンさん、少しだけその剣を借りてもいいですか」
「ああ? 少しなら良いけどよ。
 どうするんだ」

こうするんだ。
俺はゲンから『プラズマソード』を受け取る。
男の左腕に突き刺す。

ジュジュジュ!
焼けるような嫌な音。

何の抵抗も感じさせず『プラズマソード』は男の腕深く潜り込んだ。

「グゥガァァァァァァッ!」

男が呻き声を上げる。
男の左腕、肘より上の部分に光の剣は突き刺さっている。
服で切り口は良く見えないが、腕を貫通した筈だ。
痛みは相当な物だろう。
キズは骨と筋繊維を切り裂き、簡単には回復しない。

「キサマ、キサマ!」

男は反抗的な目つきを俺に向ける。
まだ足りないか。

俺は『プラズマソード』を引き抜き、また刺す。
今度は男の左足。
左足の腿深くに剣は滑り込む。

「グガッ!グゥゥ、グアアアアアア」

俺は男の目を見つめて語り掛ける。

「次は右腕だ。
 その次は右足。
 この負傷は簡単には治らん。
 両手両足まともに動かず過ごす人生は辛いだろうな」

「それでまだ話さない様なら仕方ない。
 次はお前の耳を刺す。
 その次は目だ。
 そして口。
 音が聞こえない。
 何も見えない。
 話すことも出来ない。
 そんな人生を送りたいか」

「アァァァァァァァァァァァ。
 ヤメロ、ソンナ目デミルナ。
 話ス、話スカラ許シテクレ」

男は屈服した。
最初から素直にそうしておけば、ケガせずに済んだ物を。

「ひぇぇぇぇぇぇ」
「コエーーーー」

後ろを見るとキャンデーとゲンが怯えている。
何だが二人で肩を寄せ、恐ろしいモノでも見た風情。
どうした。
新手の敵か『Dagon』でも現れたのか。
辺りを見回すが何もいない。
なんだ、驚かすな。
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