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Scene15 炎城寺由羅と俺の小学校

第86話

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俺達は教会へと通された。

学校には他にも人間が集まっている。
学校の生徒とその親だけでも無い。
近所の人達も相当いるらしい。

教会の裏手と学校の敷地は繋がっている。

「ゾンビから近所の人達が避難してきたのか」
「ゾンビからじゃないよ。
 あのインスマスからね」

佐緒里が答える。
なんだか賢そうな子供だ。

炎城寺由羅はウエーブのかかった茶褐色の髪の少女。
小学六年生だと言うが、背の高さとその髪で中学生以上に見える。

佐緒里の方は背が低い。
小学六年の平均くらいか。

更にシスター・クリスティーナ。
修道服に身を固め頭にはヴェール。
体型の良く分からない服装。
脱がしてプロポーションを確認したいものだ。

「まずは助けて戴いた事にお礼を申し上げます。
 子供たちの分も、ありがとうございます」

シスターが頭を下げる。
俺はその手を取る。

「いや、大した事はしていない。
 頭を上げてくれ」

すっと手が引っ込められる。
シスターはクールな顔で俺を躱す。

「へー、最近珍しい肉食系イケメン。
 シスターに手を出そうなんていい度胸だわ」

この偉そうなセリフは速見佐緒里のものだ。
先程子供たちの言葉に小学生とは思えないセリフが混じっていたな。
さてはコイツの発言か。

「それで貴方たちは。
 由羅たちの事情は話しても良いけど。
 まず貴方達が何なのか聞かせて欲しいわね」

佐緒里が話を進める。
由羅はその後ろで小さくなってる。

円花がこちらをチラリと眺める。
全て教えてしまって良いんでしょうかという雰囲気。
いいんじゃないか。
円花が分かってる事だって全て聞いた情報とそこからの推測。
事実と決まった訳でも無い。

「わたしは七鮎川円花。
 そしてこちらは草薙真悟さん。
 わたしに協力してくれてる先輩よ」

・・・・・・・・・・

「……じゃあ、この“炎のネックレス”と円花さんの持ってる“水流のブレスレット”
 それが勇者の装備で、その力で魔法少女になれるって事ね。
 んで魔王の手下がこの装備を狙ってると」

「そういう事だ」
「でもその話、魔王の手下から聞いたんでしょ。
 信用できるの、嘘ついてるかもしれないじゃない」

話を確認してるのは佐緒里。
由羅の方は彼女に隠れて頷いている。

「その可能性は勿論有る。
 しかし、この情報が嘘だとしてもマモノ達に得は無い。
 マモノ側が得するよう情報操作しているとは考えにくいな」

「そういう事ね。
 確かに、この情報が嘘でもホントウでもアタシたちの行動に変化は無い。
 襲ってくるマモノを魔法少女になって倒すだけ。
 逆にこの装備は悪の魔王の物だから捨てるんだなんて言われたら怪しいわね」


さて、時間が大分過ぎてしまったな。

「円花、もう約束の時間だ。
 俺は一度、逆を連れに横須賀へ向かう」
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