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Scene13 高天原宇宙と俺のモニタールーム

第76話

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「とりあえず、逗子の方に向かうってのはどうだい」

そんな事をウツは言う。
逗子ってどの辺だったかな。

「鎌倉の近くですわ。
 横須賀とは三浦半島を挟んでちょうど逆側位ですわね。
 ウツさん、何故ですの?」

「そこで魔法少女と思しき情報が有るんだよね」

モニターに映し出される。

海岸だろうか。
水辺の見える地形で少女が立っている。
画像が遠くて顔は見えない。
少女は背が低い。
画面が荒くて良く分からないが、中学生くらいだろうか。
学校の制服だろう。
紺のスカートとブレザー。

そんな少女をケモノのような影が囲むように近付く。
不穏な雰囲気。
マズくないか。

見た事が有るケモノ。
角の生えた犬。
爪を伸ばした熊。
羽根を武器の様に飛ばしてくる鳥。

マモノたち。
七鮎川円花が戦って来たマモノと同じようなヤツら。

少女が光を放つ。
赤い光。

と、服装が変わっていた。
赤い水着のような布が体を覆う。
その上をカバーする金属鎧。
銀色だが、時に朱色に煌めく。
上にはマントを羽織ってる。
透けた色合い、ヒラヒラと舞う。

円花と似たような服装。
その首元にはネックレス。
“炎のネックレス”

『ファイアービュレット』
赤き火よ、悪漢どもを焦がせ!

剣を構える少女。
少女の腕先から、空間に炎が燃え上がる。
炎が飛び出て、マモノを撃つ。
マモノは攻撃を喰らい、抵抗も出来ず倒れる。


「炎城寺由羅ちゃん、小学六年生だね。
 何故分かったかって言うと、本人が上げてるんだよね。ようつべに」

動画が切り替わって、遠くから写っていた少女と同一人物らしき少女がアップになる。

「はーい。由羅の活躍どうでしたか?
 カッコイイと思ったらイイネボタン押してねー」

ウェーブの掛かった髪をツインテール風にまとめている。
明るい勝気そうな美少女。
小学生だったか。

「てっきりニックネームだと思ったんだけどね、恐ろしい事に本名だった。学校のデータも戸籍も調べたから間違いない。
 すぐに行って、教えてあげて。美少女はインターネットに本名と素顔晒しちゃ駄目だって」
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