ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

くろねこ教授

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Scene13 高天原宇宙と俺のモニタールーム

第74話

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「クトゥルフ神話だよ、知ってるだろう」

そうウツは言うが俺は知らない。
名前くらいは聞いた事が有るかも。
その程度だ。

「存じ上げませんわ。どこの神話ですの。
 メソポタミアと仰ってましたかしら」

「違うよ。メソポタミアやペリシテの神話からダゴンの名称を引き込んだだけでクトゥルフ神話自体は純粋な創作だよ。
 そう言えば真悟くんにラノベはあまり読ませてないな。ラノベやゲームじゃないとクトゥルフ神話には辿り着かないか。とりあえずニャル子さんのアニメでも見せようかな。クトゥルフ神話知らない人に見せたら変な誤解されるだけかな」

「ん-とH・P・ラヴクラフトが書いたホラー小説『クトゥルフの呼び声』を基本として邪神や世界観を同じくした作品群を多数の作家が書いてるんだ。今で言うシェアード・ワールドみたいなものだね。色々な作者が書いてるので、その世界観や邪神の設定もキッチリと統一はされてない。その分作者さんも好き勝手書けるという寸法。ありていに言っちゃうと『オレの考えた邪神凄いだろ大会』みたいなもんかな」

モニターでは怪獣と空母が戦っている。
兵士達が次々海へ落ちていく。
恐らく司令塔であろう艦橋。
空母から縦に突き出てるアレも破壊されてる。

「で、あの怪獣がその邪神な訳だな」
「え、でもその神話と言うのはフィクションなのでしょう。
 現実には存在しない筈でしょう 」

そんな事を言い出す、円花を俺とウツは眺める。

「え、え?!
 何かわたしおかしな事言いました?」
「お前、自分が魔法少女だと忘れてないか」

「創作と言っても、もちろん作家さん達は事実だと言ってるよ。宇宙的恐怖、その真実を受け取った語り部さんたちが事実を人々に伝える、そのために小説の形で発表した。そんな謳い文句だね。
 正直、クトゥルフ邪神が現実に存在していても僕は驚かない。円花ちゃんが異世界の勇者の力で魔法少女になる方がよっぽど驚きだね」
「いいです、いいです!
 分かりました。
 お二人とも非常識の塊のくせに、何故こんな時だけわたしが非常識みたいに」

円花は顔を赤らめて、ブツブツ言っている。

「良し、んじゃこれは『Dagon』って事でいいね」

ウツがモニターを指して言う。

ああ、空母がやられた。
遂に中腹部が二つに折れた。
沈んでいく空母。
脱出用のボートで逃げ出す人々も映っている。

「それ以上に大事なのが『Glaaki』かもしれない。こいつは隕石に乗って地球に飛来した巨大なナメクジに似た邪神。棘だか、触手のようなモノを刺して人間をゾンビにすると言われてるんだ。あのネズミ男、ミクトランテクゥトだっけ。言いにくい名前の死霊術師が言った言葉が真実なら現在起きてるゾンビ現象はこの『Glaaki』の仕業だ」
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