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Scene12 七鮎川円花と俺の部室棟

第69話

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「草薙の、試してみるか」

逆が俺に向かって言う。
俺の手には拳銃。
ネコのトカレフ。
ネコだった死体の服には予備の弾丸も有った。
円花は銃など見た事も無いと言うし、逆の方は言っていた。
オレは五古河だ、拳銃など使うか。
結局俺が貰い受けた。

運動部の用具置き場。
竹刀や木刀が有った筈と円花が言うので見に来たのだ。
扉を開けるとゾンビがいた。

「相手は二体だ。
 練習には丁度良かろう。
 ミスったら俺がフォローしてやる」

逆が言う。
確かに練習は必要だ。
俺の視界にはゾンビが二体。
ゆっくり部屋の奥からこちらへ近づいてくる。

俺もトカレフを撃ったことが有る訳じゃ無い。
使い方くらいは知っている。
ネットなどで調べた事が有る。
この世界で生きていくのだ。
代表的な武器の使い方くらい知っておいて損は無い。

マガジンに弾を込める。
鈍い金色の弾丸。
弾丸の後ろには7.62と刻まれている。
弾の口径だっただろうか。
そこまで詳しく覚えていない。
とりあえず口径が大きいほど威力も高い。
その位の知識はある。

拳銃のグリップにマガジンを放り込む。
後はトリガーを引くだけ。
扱い安いように恐ろしく単純な構造になっているのだ。
その分安全装置が無いので、事故には注意を要する。

俺は試射をした。
試射と言いつつ実戦だ。

俺の目の前にはゾンビ。
野球部らしきユニフォームを着たゾンビ。
両手でしっかり拳銃を持つ。
頭部目掛けてトリガーを引く。
二回連続。

銃の上部がスライドで後ろへ動く。
カシャン。
軽い音と共にすぐ前へ戻る。
反動は有る。
しかし、手元がブレる程では無い。

一体は頭を外してしまった。
一体は頭部を貫く。
頭蓋骨から体液を飛び散らせゾンビが倒れる。
もう一体が近付いてくる。
今度は片手撃ちを試してみる。
先程の反動なら片手で撃っても支障は無い。

俺は左手でトカレフを構える。
ゾンビの頭部、慎重に額を狙いトリガーを引く。
ゾンビの眉間に丸い穴が開く。
脳漿を飛び散らせながらゾンビは倒れる。

「やるじゃないか。
 撃った事あんのか」
「有る訳無いだろう。
 こんな事ならハワイにでも言って実弾練習しておくべきだったな」
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