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Scene11 シアカテルと俺の夜の保健室
第65話
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俺はウツのスマホにかけてみる。
俺の耳でメロディーが鳴る。
聞いたような音楽。
「あっ真悟くんかい。ちょっとこの円花ちゃんどうにかしてくれよ。
彼女酒乱の気があるよ」
「ウツさん、誰と電話してるんですの?
さては真悟様ですのね。
変わりなさい。
わたしと真悟様は魔法少女と勇者。
運命の絆で結ばれてるのです」
「落ち着け、七鮎川の。
お前、顔が真っ赤だぞ。
明らかに呑み過ぎだ」
「だってだって。
ネコの供養のお酒です~」
ウツの後ろで円花の大声が聞こえる。
そう言えば昨晩呑んだワインの瓶を鞄に入れていたな。
まあいいだろう。
湿っぽくなるより、呑んで元気になるならその方が良い。
「さっきのスマホのメロディー。
聞いた事有りますわ」
「『キューティーハニー』だよ。戦う魔法少女ヒロインの元祖なんて言われたりもするね。
円花ちゃんが知ってるのは倖田來未のバージョンかな。あれはPVがエロカッコ良かったものね。他にもいろんな人がカバーしてるからどれで聞いたかすぐには分からないね」
「『キューティーハニー』と言えば知ってるかい。永井豪先生の原作が凄いんだ。冒頭でお父さんは殺される。死んだお父さんにお前は人間じゃないと宣告される。二巻に至ってはハニーを庇って親友の夏子ちゃんが殺されちゃう。高熱で燃やし尽くされた親友の身体をハニーが抱こうとすると灰になってボロボロと崩れていくんだ。
さらに永井豪先生が凄いのは次のページだね。親友の遺体に復讐を誓うハニー。次のページでは速見家の団兵衛オジサマと順平少年がハニーのお風呂を覗こうとして興奮してるというちょいとエッチなシーンなんだよ。この落差がまさにクレイジーだよね」
「お前の話は長い」
俺はウツに頼み事をする。
「つまり、江の島辺りに魔法少女の装備が有りそうって事だね。分かった。その周辺で魔法少女、あるいは“炎のネックレス”の目撃情報探しとくよ。結果報告は明日の朝でいいかい」
「勿論だ」
後ろでは円花と逆が会話してる。
どっちも酔ってるな。
「明日は午前には出発するんだ。
早く寝ろと伝えてくれ」
「聞こえたかい、円花ちゃん。逆ちゃん。
早く寝ろってさ」
「大丈夫だ。草薙のが運転してる間、オレ達は後部座席で寝る」
「そうですわ、浮気者の草薙先輩は一人で寂しく運転してればいいんです」
何時の間にか俺を攻める会話の流れになってるのか。
とっとと退散して寝るとしよう。
「じゃあな、オヤスミ」
俺はスマホを切って、ソファーに横になる。
頭の中にシアカテルが浮かぶ。
ダークエルフの女性。
少しも変わっていなかった。
この世界に転移してきたと言っていたな。
あれから三年。
転移した先を探していたのか。
そんな事を考えながら俺は眠りについた。
俺の耳でメロディーが鳴る。
聞いたような音楽。
「あっ真悟くんかい。ちょっとこの円花ちゃんどうにかしてくれよ。
彼女酒乱の気があるよ」
「ウツさん、誰と電話してるんですの?
さては真悟様ですのね。
変わりなさい。
わたしと真悟様は魔法少女と勇者。
運命の絆で結ばれてるのです」
「落ち着け、七鮎川の。
お前、顔が真っ赤だぞ。
明らかに呑み過ぎだ」
「だってだって。
ネコの供養のお酒です~」
ウツの後ろで円花の大声が聞こえる。
そう言えば昨晩呑んだワインの瓶を鞄に入れていたな。
まあいいだろう。
湿っぽくなるより、呑んで元気になるならその方が良い。
「さっきのスマホのメロディー。
聞いた事有りますわ」
「『キューティーハニー』だよ。戦う魔法少女ヒロインの元祖なんて言われたりもするね。
円花ちゃんが知ってるのは倖田來未のバージョンかな。あれはPVがエロカッコ良かったものね。他にもいろんな人がカバーしてるからどれで聞いたかすぐには分からないね」
「『キューティーハニー』と言えば知ってるかい。永井豪先生の原作が凄いんだ。冒頭でお父さんは殺される。死んだお父さんにお前は人間じゃないと宣告される。二巻に至ってはハニーを庇って親友の夏子ちゃんが殺されちゃう。高熱で燃やし尽くされた親友の身体をハニーが抱こうとすると灰になってボロボロと崩れていくんだ。
さらに永井豪先生が凄いのは次のページだね。親友の遺体に復讐を誓うハニー。次のページでは速見家の団兵衛オジサマと順平少年がハニーのお風呂を覗こうとして興奮してるというちょいとエッチなシーンなんだよ。この落差がまさにクレイジーだよね」
「お前の話は長い」
俺はウツに頼み事をする。
「つまり、江の島辺りに魔法少女の装備が有りそうって事だね。分かった。その周辺で魔法少女、あるいは“炎のネックレス”の目撃情報探しとくよ。結果報告は明日の朝でいいかい」
「勿論だ」
後ろでは円花と逆が会話してる。
どっちも酔ってるな。
「明日は午前には出発するんだ。
早く寝ろと伝えてくれ」
「聞こえたかい、円花ちゃん。逆ちゃん。
早く寝ろってさ」
「大丈夫だ。草薙のが運転してる間、オレ達は後部座席で寝る」
「そうですわ、浮気者の草薙先輩は一人で寂しく運転してればいいんです」
何時の間にか俺を攻める会話の流れになってるのか。
とっとと退散して寝るとしよう。
「じゃあな、オヤスミ」
俺はスマホを切って、ソファーに横になる。
頭の中にシアカテルが浮かぶ。
ダークエルフの女性。
少しも変わっていなかった。
この世界に転移してきたと言っていたな。
あれから三年。
転移した先を探していたのか。
そんな事を考えながら俺は眠りについた。
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