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Scene11 シアカテルと俺の夜の保健室

第61話

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「話を整理しますわよ」

円花が言う。

「魔王と勇者が争って、魔王はこの世界、貴方達の言う異世界に逃げて来ている。
 勇者もこの世界に魔王を追って来ている。 
 彼らは精神だけの存在としてこの世界の人間の中にいる。
 魔王と勇者としての記憶を失ってる可能性が有る」

「貴方達魔王の四将はこの世界へ魔王を追って来た。
 勇者と共に三種の神器もこちらに来ている。
 この神器を壊せば、魔王の封印が解かれ記憶を取り戻すのではないか。
 貴方達はそう考えている。
 そういう事でよろしいですの」

優等生然とした円花。
メイドを失ったショックからは回復したらしい。
女教師みたいな態度だ。

しかし、いまだ彼女はシャツと下着だけ。
白い花柄の下着を覗かせながら話しているのだ。
話に夢中で自分の姿を忘れているな。

「うむ、大筋間違ってはいない。
 しかし、魔王様には偉大なるを付けろ。
 そして勇者には色魔のとかエロ怪人のを付けるんだ」

死霊術師ミクトランテクゥトがくだらない事を言う。
円花はトーゼン無視する。

「そうでしたの。
 それではこのブレスレットの力は勇者の力。
 勇者の力でわたしは魔法少女になっていたんですのね」

「そしてその勇者の力を狙ってマモノは襲ってきていたのですね」

「その通りだ。
 今頃気が付いたのか。
 愚かなニンゲンめ。
 やはり異性にしか興味の無い勇者の力を借りてるからだな。
 色魔のスキモノめ」
「色魔……スキモノ……
 ひどい言いようですのね。
 勇者と言う方はそんなに異性好きでしたの」

「その通りだ。
 あいつは異性の肉体の事しか考えていないのだ。
 すぐに肉体関係を結びたがる。
 一人相手では無いぞ。
 二人、三人同時でもお構いなしだ」
「ふーん、そうですの。
 それはそれは」

円花は何故かこちらを見ている。
俺の方を見ながら頷いている。

「勇者もこの近辺に居るんですの」
「そうだろう。
 “水流のブレスレット”が此処にある。
 “炎のネックレス”は60キロほど南下した海沿いに有る。
 ならば勇者もこの近辺に居ると考えるのが自然だ」
「なるほど。
 わたし、分かったのかもしれません。
 勇者が何処に居るのか」

60キロ南、海沿い。
鎌倉から茅ヶ崎の海岸沿いだな。

「そうだったんですのね。
 だからわたしを助けてくれた。
 あれは運命の出会いだったんですわ」

何故か俺の方を見ている円花。
ついでに変な妄想を口走っているな。
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