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Scene07 猫屋敷三毛寝子と俺の屋上
第43話
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「ウツ、円花は何処に居る?
把握できてるか」
「もちろんさ」
モニターに映し出される。
第一校舎、屋上と屋上目がけて登っていく人影。
七鮎川円花と五古河逆。
「どうやら屋上にいる二人を助けに行ったようだよ。さっきまで校舎の近くで押し問答をしていたんだ。どうやら逆ちゃんが折れたようだね」
俺はネコと共に地下施設を出ようとする。
「真悟くん、これを持っていって」
ウツが何か俺に渡す。
これはスマホだな。
「衛星通信専用のスマホだ。
現在、地上の通信回線は滅茶苦茶さ。まったく電波は通じてないけどね。
これなら僕と連絡が取れる」
分かった。
貰っておこう。
階段を上がって、保健室から第一校舎へと移動する俺とネコ。
ちょうど上からロープを伝い降りて来る人影が有った。
五古河逆。
あれ、身体が少し細くなってないか。
こいつの上半身は筋肉質だった。
女性らしい丸みを感じさせないゴツイ肉体。
ところが今ロープを伝い降りて来る女性の身体はそこまでゴツくない。
所々女性らしさも感じられるのだ。
「よし、お前ら降りろ」
逆が抱えた人間を下ろす。
二人も人間を抱えた状態で降りて来たのか。
ロープは垂直に学校の壁沿いにぶら下がっている。
屋上から二人も支えて降りてくるのは簡単な作業じゃ無い。
自衛隊のレンジャー部隊でも出来るだろうか。
男と女。
どちらも学校の制服だが、一人は女生徒にも関わらず男性のズボンを履いている。
ウツのモニターで見た顔だが、そんな事は言わない。
「君達、大丈夫か」
「ありがとうございます」
男の方が答える。
ふむ、一晩屋上に閉じ込められてただけでどうってことは無さそうだな。
俺は女の方に近付き、飲み物を差し出す。
家から持ってきていた小型の保温ボトル。
コーヒー、朝煎れたものだ。
まだ冷めてはいないだろう。
「屋上は寒かっただろう。
温かいコーヒーだ。
体を温めないと風邪を引く」
「はい、すいません、んんん?!んんんんんん!!」
一つしか無いのだ。
渡すなら当然、女子の方だ。
だが、女子は一瞬微笑んだかと思うと俺の方を見てギョッとする。
なんだ。
俺の後ろにゾンビでも居るのか。
後ろを振り返るが何もいない。
なんだか小声で話す声が聞こえる。
「くく、くっ草薙先輩なんでこんなところに!」
「どうしたんですか、香奈さん」
「あの人、三年の草薙先輩よ」
「えっ、まさかあの草薙先輩ですか」
「そうよ、少し背が高くてイケメンなのを良いことに女子をとっかえひっかえ弄んでるってウワサの」
「あの男子生徒、校内で殺してやりたいヤツランキング三年連続一位の草薙ですか」
「そうよ、連れてる女子がしょっちゅう変わるだけじゃない。二股三股当たり前、時に七股してたって噂の人よ」
「羨ましいじゃ無かった、けしからんことに保健室で女性とイケナイ事をしてた目撃例が山の様にあるって」
なんだ、二人ともやたら息が有ってるじゃないか。
映像で見た時はまだそんなに親しそうじゃ無かった。
二人ともゾンビ以上に恐ろしいモノを見るような眼つきで見てる。
なんだか今の二人の間には入り込む事が難しそうだ。
把握できてるか」
「もちろんさ」
モニターに映し出される。
第一校舎、屋上と屋上目がけて登っていく人影。
七鮎川円花と五古河逆。
「どうやら屋上にいる二人を助けに行ったようだよ。さっきまで校舎の近くで押し問答をしていたんだ。どうやら逆ちゃんが折れたようだね」
俺はネコと共に地下施設を出ようとする。
「真悟くん、これを持っていって」
ウツが何か俺に渡す。
これはスマホだな。
「衛星通信専用のスマホだ。
現在、地上の通信回線は滅茶苦茶さ。まったく電波は通じてないけどね。
これなら僕と連絡が取れる」
分かった。
貰っておこう。
階段を上がって、保健室から第一校舎へと移動する俺とネコ。
ちょうど上からロープを伝い降りて来る人影が有った。
五古河逆。
あれ、身体が少し細くなってないか。
こいつの上半身は筋肉質だった。
女性らしい丸みを感じさせないゴツイ肉体。
ところが今ロープを伝い降りて来る女性の身体はそこまでゴツくない。
所々女性らしさも感じられるのだ。
「よし、お前ら降りろ」
逆が抱えた人間を下ろす。
二人も人間を抱えた状態で降りて来たのか。
ロープは垂直に学校の壁沿いにぶら下がっている。
屋上から二人も支えて降りてくるのは簡単な作業じゃ無い。
自衛隊のレンジャー部隊でも出来るだろうか。
男と女。
どちらも学校の制服だが、一人は女生徒にも関わらず男性のズボンを履いている。
ウツのモニターで見た顔だが、そんな事は言わない。
「君達、大丈夫か」
「ありがとうございます」
男の方が答える。
ふむ、一晩屋上に閉じ込められてただけでどうってことは無さそうだな。
俺は女の方に近付き、飲み物を差し出す。
家から持ってきていた小型の保温ボトル。
コーヒー、朝煎れたものだ。
まだ冷めてはいないだろう。
「屋上は寒かっただろう。
温かいコーヒーだ。
体を温めないと風邪を引く」
「はい、すいません、んんん?!んんんんんん!!」
一つしか無いのだ。
渡すなら当然、女子の方だ。
だが、女子は一瞬微笑んだかと思うと俺の方を見てギョッとする。
なんだ。
俺の後ろにゾンビでも居るのか。
後ろを振り返るが何もいない。
なんだか小声で話す声が聞こえる。
「くく、くっ草薙先輩なんでこんなところに!」
「どうしたんですか、香奈さん」
「あの人、三年の草薙先輩よ」
「えっ、まさかあの草薙先輩ですか」
「そうよ、少し背が高くてイケメンなのを良いことに女子をとっかえひっかえ弄んでるってウワサの」
「あの男子生徒、校内で殺してやりたいヤツランキング三年連続一位の草薙ですか」
「そうよ、連れてる女子がしょっちゅう変わるだけじゃない。二股三股当たり前、時に七股してたって噂の人よ」
「羨ましいじゃ無かった、けしからんことに保健室で女性とイケナイ事をしてた目撃例が山の様にあるって」
なんだ、二人ともやたら息が有ってるじゃないか。
映像で見た時はまだそんなに親しそうじゃ無かった。
二人ともゾンビ以上に恐ろしいモノを見るような眼つきで見てる。
なんだか今の二人の間には入り込む事が難しそうだ。
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