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Scene06 猫屋敷三毛寝子と俺のトイレ

第40話

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「良いか、草薙!
 お前、ここを出たなら円花お嬢様に言うんだ。
 『僕ちゃん、ここで宇宙ちゃんと一緒に過ごすよー。
  ほら、僕らって頭がおかしい同士でお似合いじゃないー。
  常識を弁えてる高貴なお嬢様である円花様とはハナシが合わないんだよねー』
 その様に言え」

「くうっ。
 言われた時のお嬢様の心情を考えると……」

「オノレ、草薙!
 円花お嬢様に対して良くもそんなセリフが言えたな!」

いや、俺は何も言ってない。
ネコ耳メイドは俺を睨みつけるが、セリフを考えたのはオマエだぞ。

今、俺とネコ耳メイドはトイレで二人きり。
多目的トイレほどでは無いが、学校のトイレ個室に比べると広い。
カバーの着いた便座の蓋。
俺は今便座カバーの上に座らされているのだ。

「一人で話を進めるな」
「そうか、キサマ。
 円花お嬢様に未練が有るのだな。
 分からんでもない。
 なにせ、美しく聡明でお優しい円花様だ。
 自分には高嶺の花と分かっていても。
 万が一、兆が一、億千万分の一の可能性として。
 円花様が自分に情けをかけてくれたなら。
 あの細くも女性らしい素敵な体を手に入れる事が出来ななら。
 僕ちゃん、死んでもカマワナイッ。
 そんな風に考えているわけだな」

ふーむ。
どうやら、このメイドは俺と円花が既に肉体関係に有る事をまったく察知していないらしい。
円花お嬢様の事を一番知っている。
そんな風に豪語していた割には。
円花が簡単に男に肌を許すと思いたくないのか。

「いいか、草薙。
 キサマにお嬢様は過ぎた方だ。
 億千万分の一の可能性は諦めろ。
 その替わりにだな……」

大体、メイドの先ほどの推論なら。
円花は俺に嫉妬しているのではないのか。
億千万分の一って事は無いだろう。

「素直にお嬢様に先ほどのセリフを言ったなら報酬は考えてある」

報酬?

「フフフ、キサマの様な男の欲望は分かっている」

ネコ耳メイドは妖艶な笑みを浮かべる。
俺の耳元に熱い息を吹きかける。
そのまま彼女はスカートをたくし上げた。
腰掛けてる俺の目の前に女性の下着が晒される。
黒のレース。
恐ろしく煽情的なスキャンティ。

「どうだ。
 わたしの身体にキサマの欲望をぶつけて良いのだぞ」 
「そうか、分かった」

俺は即座にネコ耳メイドのスキャンティを下ろす。
と同時に便座に手を付かせ、腰を上げた体勢にさせる。
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