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エアコンの風が部屋に籠もりきった熱を徐々に冷ましていく。
寝室のカーテンは少しだけ開かれて、白いレースカーテンの奥からは淡い光が射し、情事の後のベッドを優しく照らしている。
二人は素肌のまま掛布団に包まり、気怠そうにベッドに横たわっている。
「……いきなり三回も……身が持たないですよ。僕は君と違って若くないんですから」
葉崎が沈黙を破り、照れ臭さを隠すように悪態をつく。言いながら体を背けた葉崎を後ろから抱きしめながら矢野が言う。
「ごめん……だって、先生が可愛すぎるから」
「僕みたいな男に可愛い、だなんて君は本当に変わっていますよね……それはそうと、もうお昼ですけれどどうしますか?」
壁の掛け時計に目をやりながら葉崎が振り返ると、不意に触れるだけのキスをされる。
「んー、やっぱり俺……先生の声聞いてると、眠くなっちゃう」
矢野は目を細めながら眠そうな掠れ声でそう言って、葉崎の首元に顔を埋める。
「ふふ、相変わらずですね」
「好きなんだ。ずっと聞いてたくなる」
そう言って矢野が体に回した腕の力を強めると、葉崎はその腕を引き寄せるようにキュッと握り返した。
「寝ていていいですよ、起きたら何か軽く食べに行きましょう」
「ん、ちゃんと起こしてね」
「わかりましたよ」
そう返事をして頬を緩ませながら、葉崎も静かに目を閉じた。
fin
寝室のカーテンは少しだけ開かれて、白いレースカーテンの奥からは淡い光が射し、情事の後のベッドを優しく照らしている。
二人は素肌のまま掛布団に包まり、気怠そうにベッドに横たわっている。
「……いきなり三回も……身が持たないですよ。僕は君と違って若くないんですから」
葉崎が沈黙を破り、照れ臭さを隠すように悪態をつく。言いながら体を背けた葉崎を後ろから抱きしめながら矢野が言う。
「ごめん……だって、先生が可愛すぎるから」
「僕みたいな男に可愛い、だなんて君は本当に変わっていますよね……それはそうと、もうお昼ですけれどどうしますか?」
壁の掛け時計に目をやりながら葉崎が振り返ると、不意に触れるだけのキスをされる。
「んー、やっぱり俺……先生の声聞いてると、眠くなっちゃう」
矢野は目を細めながら眠そうな掠れ声でそう言って、葉崎の首元に顔を埋める。
「ふふ、相変わらずですね」
「好きなんだ。ずっと聞いてたくなる」
そう言って矢野が体に回した腕の力を強めると、葉崎はその腕を引き寄せるようにキュッと握り返した。
「寝ていていいですよ、起きたら何か軽く食べに行きましょう」
「ん、ちゃんと起こしてね」
「わかりましたよ」
そう返事をして頬を緩ませながら、葉崎も静かに目を閉じた。
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