チート能力「看守」を使って異世界で最強と言われる

唐草太知

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キノコの生えた家に向かう。
「処女はここで」
「あぁ、分かった」
イリンクスは家の外で待機する。
そして、中に入っていく。
「いいのか、旦那」
「何がだ?」
「あの、大きな姉さんのことだよ。
外だと寒いだろう」
「そうなんだがな、迷惑をかけるからって中に入ろうとしないんだ」
「ふぅん、優しいんだな」
「気遣いが出来る人ではあると思う」
ディセトは人なのだろうか?
まぁ、そのことを彼に論じても無意味だろう。
廊下を歩き、ウィンの居るリビングに着く。
「ここはお前の家じゃないんだがな」
ウィンがカップで水を飲んでいた。
「彼の名前はボロだ」
「どうも」
ボロは頭を下げて挨拶する。
「足かせをつけてるのは何でだ?」
「実は、パーツ探しをしてる時に色々あって」
「難航してるな」
ウィンは水をすする。
「こいつが余計なことをしなければスムーズに行ったんだがな」
俺はボロを指さす。
「そいつが何した?」
「金を盗んだ」
「ほぅ」
「その所為でパーツが買えなくなったんだ」
「それは困ったな」
「金を返す必要がある」
「それで吾人に相談しに来たってわけか」
「そうだ」
「まぁ、とりあえず座るといい」
ウィンに促されてソファーに座る。
「座らせ貰う」
俺は座る。
「自分も」
ボロも座る。
「水でいいか?」
「コーヒーでもあるのか?」
「そんな上等なものは置いてない」
「質問の意味あったか?」
「まぁ、深くツッコむことのほどじゃない」
ウィンはテーブルの上にカップを置く。
俺はそれを手に取り、口に向かって傾ける。
「なんだか泥臭いな」
俺はしかめっ面になる。
「失礼な奴だな」
「何処の水だ、これ」
「純度100%のミネラルウォーター」
「嘘つけ、色が茶色いぞ」
「川の水」
「地下水とかは無いのか?」
「掘り当てれば無くも無いんだろうが、
あいにくゴミが多くてな、地面を見つけるより、
ゴミを見つける方が早い」
「なんてこった」
俺はため息を吐く。
「吾人の水の文句を言いに来たってわけじゃないんだろ?」
「そうだった、どうすれば金を手に入れることが出来る?」
「そうだな、ゴミ拾いでもすればいんじゃないのか。ここに居る連中は大体そうしてる」
「それって大金を集められるのか?」
「一日を暮らす分には十分かな」
「それじゃダメなんだ」
「って言ってもな」
ウィンは水をすする。
「いいこと思いついた」
ボロは閃いた顔をする。
「俺に教えてくれ」
「ギャンブルで一当てするとか」
「それで当たるなら困ってないんだが?」
「ですよね」
ボロは苦笑する。
「塵も積もれば山となる」
「え?」
「どんなに些細なものでも、多く集まれば価値になる。つまりはだ、人気になればどうだ?」
ウィンは水をすする。
「なるほど」
確かにその通りかもしれない。
「この町の連中に困ってることを聞いて歩いたらどうだ、大金を稼ぐヒントが眠ってるかもしれないぞ?」
「相談しに来てよかったよ、ウィン」
「役に立てたようなら何より」
ウィンは水をすする。
「行くぞ、ボロ」
「もう少し休憩してから行こう、さっきから歩いてばかりで疲れたよ」
「そんなこと言ってる場合か、お前が起こした問題だろう」
「こりゃ、スパルタだ」
「少し歩くだけだ、命を懸けたやりとりじゃない」
「へーへー、了解です旦那。
どーせ、足かせつけられてるんだ。
逆らえないだろうしな」
俺はボロを連れて移動する。
「話は終わりましたか?」
外に居るイリンクスと再会する。
「町に居る人たちと話をしようと思う。
そこで何か問題点を見つけて解決してあげれば金が手に入るんじゃないかって」
「確かに、その通りかもしれませんね」
「それじゃ、行くぞ二人とも」
「はい」
「了解です、旦那」
俺たちは町へと繰り出した。
「何か困ってないか?」
「いきなりそんなこと言われてもな」
俺は適当にその辺の男に話しかける。
「何でもいいんだ、教えてくれ」
「そうだな、最近は何だか身体がだるくて」
「ほう」
「毎朝起きるのが辛いんだ、何かいい方法は無いだろうか?」
「寝れてるのか?」
「いいや、寝不足だ」
「原因はそれだろう」
「それはそうなんだが、早めに床についても眠れないんだ」
「参考にするよ」
俺は別の人に話しかけに行く。
次は女性だ。
「何か困ってることは無いか?」
「ずいぶんね」
「いきなり話しかけられて不信感を出すのは理解できる。だが、こっちも色々と困ってるんだ、話をしてくれるだけでもありがたいんだが?」
「そうねぇ、何でもいいの?」
「あぁ」
「頭痛が酷いのよ」
「頭痛・・・?」
「頭の中で誰かがトンカチを持って暴れてるんじゃないかって時々錯覚するぐらいなの。
それが起きてる時にもあるもんだから酷いものよ」
「今もか?」
「話してる今もよ、だから本当は話すのも辛いんだから」
「悪いな、そんな状況で話しかけて」
「別に・・・私だって鬼じゃないし」
「参考にさせて貰うよ」
「あまり期待しないで待ってるわ」
俺はイリンクスとボロと共に話をする。
「なんだかどいつもこいつも不健康そうだ。
見てる自分らも憂鬱になりそうだ」
「俺もそう感じた」
「どういうことでしょうか」
「自分はストレスだと思いますけどね」
「ストレスねぇ」
俺は考える。
それなばら精神向上薬でも作れば、
売れるかもしれない。
でも、薬学の知識は残念ながら持ってない。
ウィンに頼めば行けるか?
「どうしますか、管理者」
「一度、ウィンの所に戻ろう」
「分かりました」
「ひぇ~何度も往復して大変だ」
ボロは泣き言を呟いていた。
そうして俺たちはウィンの元へ戻る。
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