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俺たちはエコの店に戻る。
「いらっしゃい、ってあんたらか」
「物を買いに来た」
「そうか、客としてきたのか。
見ていくといい」
「食べ物を探してるんだが」
「へぇ、そうなのか。まぁ、人間ってのは空腹には耐えられないからな。好きなものを見つけるといい」
「何があるかな」
俺は店に置かれた商品を眺める。
しかし絶句してしまった。
「どれがいい?」
「これで・・・全部か?」
「あぁ、品ぞろえは結構いい方だ」
「おかしいだろう」
「なんだと、商人の店にケチつける気か」
「ケチも何も、これは飯と言えるのか?」
俺は疑問を覚えた。
それもその筈だ。
置いてあるのは残飯にしか見えないからだ。
噛んだ痕があるガム、カビの生えたパン。
変色した臭い肉。
食欲をそそるとは言いにくい。
「食い物は食い物だ」
「むぅ」
俺は迷う。
はたして、これを買っていっていいものだろうか。
これがこの国の食文化なのかもしれない。
しかし、食べていいものなのか迷う。
「別に要らないのなら無理して買うことは無い」
「いや、買わせてくれ」
「それじゃ、どいつがいい?」
「これを」
俺はカビの生えたパンを購入する。
ガムは食事とは言いにくいし、肉は生物だから危険だ。となると、この中で一番安心なのはパンだろう。
本当ならば食べないに越したことは無いのだろうが、
これしか本当に無いのなら、これでいいだろう。
「銅貨3枚ね」
「いや、2つくれ」
「2つ?あいよ」
「どうも」
俺は銅貨を6枚出す。
フィリップさんは小鳥だけと言っていたが、
一応、フィリップさんの分も買っていこうと思った。
「まいどあり、また来てくれ」
購入したが、本当にこれでいいのだろうか。
しかし、フィリップさんはエコの店でと指定していたし・・・多分大丈夫だろう。
俺は住宅エリアに戻る。
鳥かごを持った男性を見つけて近づく。
「これでいいのか?」
俺はカビたパンを見せる。
「あぁ、十分だ」
「俺からすればカビが生えて危険だと思うが」
「贅沢な、胃袋に入れば十分だろう」
「そういう問題か?」
「外から来た人間にはわからんよ」
フィリップさんは冷たくあしらう。
「一応、2つ持ってきたが」
「ワシの分もか?」
「そのつもりだ」
「ふん、貰うものは貰っておく」
フィリップさんは俺の手からパンをガッと取る。
そして、小鳥のセブンにちぎって分け与えていた。
カビの生えた部分は一応、捨ててるみたいだ。
しかし、前に聞いたことがあるのだが、
カビの生えたパンというのは目に見えないだけで、
パン全体に広がってるらしい。
だから、カビが生えてる時点でパンには毒性がある。
本当に大丈夫だろうか。
「約束・・・覚えてるだろ」
「そう焦るな、ちゃんと連れていく」
「ならいいが」
「うまい、うまい」
セブンが何も気にせず美味そうに食っていた。
まぁ、馴れてるから大丈夫なのかもしれない。
そう、結論付けた。
「いらっしゃい、ってあんたらか」
「物を買いに来た」
「そうか、客としてきたのか。
見ていくといい」
「食べ物を探してるんだが」
「へぇ、そうなのか。まぁ、人間ってのは空腹には耐えられないからな。好きなものを見つけるといい」
「何があるかな」
俺は店に置かれた商品を眺める。
しかし絶句してしまった。
「どれがいい?」
「これで・・・全部か?」
「あぁ、品ぞろえは結構いい方だ」
「おかしいだろう」
「なんだと、商人の店にケチつける気か」
「ケチも何も、これは飯と言えるのか?」
俺は疑問を覚えた。
それもその筈だ。
置いてあるのは残飯にしか見えないからだ。
噛んだ痕があるガム、カビの生えたパン。
変色した臭い肉。
食欲をそそるとは言いにくい。
「食い物は食い物だ」
「むぅ」
俺は迷う。
はたして、これを買っていっていいものだろうか。
これがこの国の食文化なのかもしれない。
しかし、食べていいものなのか迷う。
「別に要らないのなら無理して買うことは無い」
「いや、買わせてくれ」
「それじゃ、どいつがいい?」
「これを」
俺はカビの生えたパンを購入する。
ガムは食事とは言いにくいし、肉は生物だから危険だ。となると、この中で一番安心なのはパンだろう。
本当ならば食べないに越したことは無いのだろうが、
これしか本当に無いのなら、これでいいだろう。
「銅貨3枚ね」
「いや、2つくれ」
「2つ?あいよ」
「どうも」
俺は銅貨を6枚出す。
フィリップさんは小鳥だけと言っていたが、
一応、フィリップさんの分も買っていこうと思った。
「まいどあり、また来てくれ」
購入したが、本当にこれでいいのだろうか。
しかし、フィリップさんはエコの店でと指定していたし・・・多分大丈夫だろう。
俺は住宅エリアに戻る。
鳥かごを持った男性を見つけて近づく。
「これでいいのか?」
俺はカビたパンを見せる。
「あぁ、十分だ」
「俺からすればカビが生えて危険だと思うが」
「贅沢な、胃袋に入れば十分だろう」
「そういう問題か?」
「外から来た人間にはわからんよ」
フィリップさんは冷たくあしらう。
「一応、2つ持ってきたが」
「ワシの分もか?」
「そのつもりだ」
「ふん、貰うものは貰っておく」
フィリップさんは俺の手からパンをガッと取る。
そして、小鳥のセブンにちぎって分け与えていた。
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しかし、前に聞いたことがあるのだが、
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だから、カビが生えてる時点でパンには毒性がある。
本当に大丈夫だろうか。
「約束・・・覚えてるだろ」
「そう焦るな、ちゃんと連れていく」
「ならいいが」
「うまい、うまい」
セブンが何も気にせず美味そうに食っていた。
まぁ、馴れてるから大丈夫なのかもしれない。
そう、結論付けた。
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