チート能力「看守」を使って異世界で最強と言われる

唐草太知

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俺たちはゴミ丘でゴミを拾い始める。
「何か特定の物を探してほしいってのはあるのか?」
「そうだな、動物の骨を探してる」
「骨?」
「あぁ、肥料になるんで売れる」
「なるほど」
「金属っぽいものを見つけたらあんたらにやる。
それでいいな?」
「構わない」
俺たちは骨を集めていく。
「それにしてもパーツって具体的にどんなのだ。
それがないとおいらも見つけても協力できん」
「天使の羽の代わりになるようなものだ」
「天使の・・・羽?」
「意外か」
「あ・・・あぁ、あれって金属で代用できるようなものなのか?」
「死なないための措置だからな、飛べるのは無理かもしれないが、死ぬよりはマシだろう」
「そうか、そうだよな、天使の能力が道端に落ちてる物で代用できるはずがないよな」
リーフは何度も自分の中で反芻するように頷く。
そんな話をしてるうちに骨が集まってくる。
「こんなもんでどうだ?」
「いい感じだ、それなら売れそうだ」
「イリンクス、もう大丈夫だ」
「もう終わり?」
イリンクスはいつの間にか大量に集めていた。
カゴが10個も満杯だ。
「そんなに集めるなんて凄いな、おいらでもここまでの量は始めてだ」
「取りすぎじゃないのか?」
俺は呆れた顔をする。
「いや、沢山あっても売れる。助かったよ、大きいお姉さん」
リーフはニヤッと笑う。
「言われたことをしただけ」
イリンクスは褒められても嬉しそうじゃなかった。
「愛想はよくねぇが、仕事は出来る人だな」
リーフはぼそっと俺に呟いてきた。
「まぁ、そうみたいだな」
俺はそんなことを言った。
「さて、ついてきてくれ」
「イリンクス、それ全部持てるか?」
「平気」
イリンクスはカゴを積み重ねて持ち上げる。
「すごいね、おいらなんて満杯のカゴを1つ持ち上げるだけでやっとなのに、力持ちだ」
「まぁ」
イリンクスは素っ気ない返事する。
「・・・」
身体能力は確かに高いかもしれない。
爆発よりも早い速度で俺の事を庇ったし、
しかも無傷だった。
寒空に数時間居ても寒そうにしないし、
本当に人間だろうか。
”機械”
そんな風に言った方がしっくりくるほどだ。
そっちの方が頷ける。
「さて、おいらたちは何処に向かってると思う?」
リーフの奴が得意げになって喋る。
「骨を買ってくれる人の所だろ」
「そりゃ、確かにそうだ。
でも、こう想像してないか。何処かの民家で暗い場所で
小さくやりとりしてるって」
「まぁ、そうかもな」
「だがな、そいつは間違えだ」
「どういうことだ?」
「人がいりゃ、そこに価値が生まれる。
となると商売する奴が出ても可笑しくはないわな」
「そうだろう」
「ってことはだ。そこには人が集まるとは思わんか?」
「ん?」
「ようこそ、ここがバザールだ」
ジャンクタウンは暗い街かと思ったが、
結構人が賑わってる。
ここは市場だ。
物が集まり、売買を行ってる。
金属で出来た天井をつけて雪を凌いでる景色だったり、
あまり街中で焚火をしてる光景を俺は見たことが無かった。
珍しい景色だなと思う。
「さびてる天井が多いな」
「外から来た人みたいな意見だな・・・今更だが旅人か?」
「そうだな」
「どうりで、身なりが綺麗だと思った」
「・・・」
やはり、この町で住む人間にとって俺は異物らしい。
仮面というだけでも変だが、
この国特有の空気というのを俺はまだ馴染んでないのだろう。
「おい、エコ!」
突然、リーフが声を上げる。
「騒ぐな、うっとおしい」
「見ろよ、大量だ」
「うわっ」
イリンクスが大量に運んできたカゴを見て驚く。
「へっへっへ、驚いたろ」
「随分と拾ってきたな」
男はエコというらしい。
身長178cm。
体重70kgぐらいだった。
頭にバンダナを巻いてるのが特徴だろう。
「こいつらに手伝ってもらったんだ」
「仮面の男に、デカい姉ちゃんか・・・ほぉ」
品定めするようにじろじろ見てくる。
「こいつらのことはいい、それよりエコ、いくらで買い取る?」
「商人的に算出するとだな、骨1つで銅貨1枚だ」
「10p(ペレット)?安すぎるぜ、ここまで運んできた労力を考えて欲しいね。おいら的には銅貨2枚は欲しいね」
前にデナキウスに貰ったのは金貨だった。
今回は銅貨の取引を見た。
それで何となく分かったが、銅の価値はこの世界は10p。
そう考えると間の銀は恐らく100pなのだろうと理解した。
「商人は店を持ちたいんだ、あまり高くは売りたくない」
「そりゃ、理解できるけどよ。長い付き合いだろう。
もう少しだけ上げてくれよ、友達が見てるんだ。おいら、恥をかきたくないんだ、な、頼むよ」
「むぅ」
エコという男は難しい顔をする。
「あともう一押し、次もここに持ってくるからさ。
他に行かれるとあんたも困るだろ?」
「分かったよ、銅貨2枚だ」
お手上げという感じでエコは両手を挙げる。
「やりぃ」
リーフは嬉しそうだ。
「ほら」
エコから銅貨を100枚ほど用意される。
「報酬だ、半分やるよ」
「仕事に対する評価はありがたいが、天使のパーツは?」
俺は疑問を口にする。
「悪いが知らん、だが報酬は嘘じゃなかった、だろ?」
「金さえ渡せばいいと言う話じゃないんだが」
「そんなに怖い顔をするなよ」
「おっと、そこまで」
「何故止める」
「商人の店の前で困るよ、確かに布の上に品物を置いてるだけの簡単な作りの店だけどね、これでも商人の店には違いないんだ。
そのうち、ちゃんと雨風凌げるような店を持ちたくて頑張ってる。
だから、分かるだろ。店は壊されたくないんだ、こんな店でもな」
「そういうことだ、おいらは去るぜ」
「あ、おい!」
リーフは去っていった。
手を伸ばすが、少し迷って下ろした。
本気になって追いかけるのも何だか馬鹿馬鹿しくて止めた。
確かに奴の言う通り報酬は支払ってくれた。
求めていたものと少し違うが、世間一般で言えば正当に近い報酬だろう。それほど悪とも思えなかった。
「殺す?」
傍に居たイリンクスが物騒なことを言う。
「そこまでじゃないからしなくていい」
「そう」
イリンクスは素っ気なく返事する。
「なぁ、店主」
「エコでいい」
「エコ、話を聞いていたから分かると思うが、俺は天使の羽のパーツとなるものを探してる」
「天使のパーツ・・・ねぇ、随分と変わったものを探すもんだな」
「知ってるのなら教えて欲しい、在庫とかでそれらしいものはないか?」
「悪いが商人は医者じゃないからなぁ、あったら売ってやれるんだが」
「そうか」
「ゴミ丘はどうだ」
「探したが、それらしいものは」
「それなら、住宅エリアに行ってみるといい」
「住宅エリア?」
「もしかしたら宝物みたいに隠し持ってるやつが居るかもしれない。そいつからどう奪うかは、あんたの性格次第だろうがな」
「なるほど、参考にさせて貰う」
「じゃあな・・・えぇっと、あんたは」
「俺の名前は青菜だ、こっちはイリンクス」
「仮面の男が青菜で、大きい姉ちゃんがイリンクスね、覚えた」
「それじゃ」
俺はこの場を後にして住宅エリアに向かった。
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