チート能力「看守」を使って異世界で最強と言われる

唐草太知

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午後20時。
俺たちはウィンの家に向かう。
「悪いが嬢ちゃんは少し外で待機しててくれ」
「・・・」
イリンクスは頷く。
身体が大きいから扉を破壊すると思われたのだろう。
「早く、寝かせよう」
「あぁ」
俺たちは移動する。
「こっちだ」
「テーブルの上じゃないのか?」
「それよりも、いい場所がある」
そういってウィンに案内される。
その場所は何処か手術室のように見えた。
メスや、縫うための針や糸。
薬品の数々。
「ここは・・・」
「寝かせてくれ」
「あ、あぁ・・・」
俺は背負った彼女を下ろして、
台座の上に寝せる。
「何も聞くな」
俺は質問しようとした。
本当は医者なのか?
けれど、それ以上は聞けなかった。
彼がそう言うのだから、そうなのだろうと思った。
「分かった」
彼の中で事情があるのだろうと思った。
「彼女に必要なのは羽だろう」
「どうすれば」
「必要なのはパーツだ」
「パーツ?」
「羽の代替品になるような・・・そんな品物を」
「何処に行けばある?」
「そうだな・・・ゴミ丘にでも行けばあるだろう」
「分かった」
「鞄を持っていくといい、ほれ」
ウィンに鞄を渡される。
「これ一杯に詰めてくる」
「そうしてくれ」
俺は外に出る。
「管理者」
「イリンクス、探すぞ」
「はい」
俺はゴミ丘に移動する。
ゴミ丘。
名前の通り、ゴミで丘が作られてる場所。
金属やら、プラスチックやら、服やら、生ごみやら。
とにかくゴミならば何でも集まってる場所だった。
酷く嫌なニオイがする。
思わず鼻をもぎ取りたくなるほどだった。
「これはキツイな」
「はい」
「イリンクスは平気なのか?」
無表情だから平気そうに見える。
「処女は平気です」
本人が大丈夫だと言うのならば、大丈夫なのかも。
俺はきついが。
まぁ、でも、我慢できないという程ではない。
天使の子を助けると決めたんだ。
少しぐらい我慢しよう。
「それにしても暗いな」
「そうですね」
時間帯は夜だ。
暗くても仕方がないと思う。
これでは探すものも探せない。
明かりをつけなくては。
俺は神具を使う。
「アルトラズ!」
首にぶら下がってる鍵が発光する。
すると俺の右手には何も持っていなかったはずなのに、
警棒が出現する。
電気警棒。
俺の神具の能力の1つだ。
相手に電気を流して無力化する武器を俺は出現させた。
これで明かりにしようと思ったのだ。
しかし、次の瞬間。
俺は安易であったと後悔することになる。
空気中に、一瞬だけ閃光が訪れる。
「!」
まず最初にイリンクスが動く。
「え?」
そして、次の瞬間。
大爆発が起きる。
俺は吹き飛んだ。
そして、ゴミの山へと突っ込んだ。
「ぐっ・・・」
けれど、怪我は無かった。
何故ならばイリンクスが庇ってくれたからだ。
抱きかかえられてることに気づく。
身体の大きなイリンクスだ俺を覆うには十分だった。
しかし、そのせいでイリンクスにダメージが発生したのではと不安になる。
「イリンクス!」
「平気」
イリンクスはすっと立ち上がる。
「悪い、でもどうして」
俺は不思議でしょうがなかった爆発した理由が分からなかったのだ。
「恐らくメタンガスが充満してた」
「メタンガス・・・」
聞いたことがある。
糞尿や、生ごみから発生するガスだと。
ゴミ丘だから発生しても可笑しくなかった。
そのことを失念していた。
何も考えずに暗いからと明かりをつけるのは得策ではなかった。
「行こう」
「まってくれ、俺を庇ったんだ怪我してるだろう?」
「平気」
「平気・・・って爆発に巻き込まれたのにか?」
「丈夫だから」
「丈夫って」
「ほら」
イリンクスはマントを上げて腹部を見せる。
綺麗なへそが見えただけで、怪我は無かった。
「だ、大丈夫だな。
もう戻していい」
「・・・」
イリンクスは頷く。
そして、マントを羽織りなおした。
爆発に巻き込まれたのに綺麗な腹部だった。
なるほど最強と言われてる理由が分かったような気がする。その丈夫さなのかもしれない。
「仕方ない、星明りで探そう」
「・・・」
イリンクスは頷いた。
僅かな光源を頼りに探さなければならないので、
パーツ探しは一苦労だ。
それに羽に代用できるパーツってのが思いつかない。
ぶっちゃけ勘で探すしかないだろう。
とりあえず、使えそうな金属やら部品を集めていく。
「これで、十分かな」
一通り、部品を集める。
鞄の中がパンパンになる。
「うん」
「行こう、イリンクス」
「はい」
俺はキノコの家に戻る。
外で仕分けする。
イリンクスにも手伝ってもらおうと思ったのだ。
「どれが使えるんだ?」
錆びてたり、壊れてるものは使えないだろう。
そう思って、仕分けしていく。
イリンクスも黙々と手伝ってくれる。
「随分と持ってきたな」
ウィンが玄関に立っていた。
「どれかは使えると思う、もしもダメだったらもう一回行く」
「その心配はなさそうだ」
ウィンはある部品に手を伸ばす。
「それでいいのか?」
「あぁ、これでいい」
それはネジだった。
「それじゃ、手術は出来るのか?」
「絶対大丈夫とは言い切れん、だが、最善は尽くす」
「頼む、お前だけが頼りなんだ」
「任せてくれ」
ウィンは家の中へ戻っていく。
「あとは祈るだけだ」
「そうね」
イリンクスは俺に抱き着いてくる。
「何で抱き着くんだよ!」
「寒いかなって」
「いいって、平気だよ」
「そう?」
俺はイリンクスを追い払って、祈りを捧げる。
「・・・」
イリンクスは俺に倣って祈りを捧げるのだった。












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