RINDA

リンダ

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第一章

小さな町 闘場町 4

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(もう…ダメだーーー…死ぬ。……エリア、ごめんーーーごめんーーー。)




バキンッ…!




バンダナ男「!!?」


『ーーー!?』


(ーーーーー折れた……?)


男が持っているナイフの先端が折れている。
一体何が起きてーーーーー


???「楽しそうな事してんなぁ。」


いつの間にか側には
私とそれほど歳が変わらない
金髪の少年が立っていた。

少年は手に持っていたそれを
後ろへ投げ捨てる。




(あれはーー……刃?)


そこでようやく認識した。
ナイフを折ったのはこの少年だと言うことに。


(えーー?もしかしてコイツらの仲間…?)


私は痛む顔を抑えながら起き上がり後ずさる。


バンダナ男「ーーは?」


男はその少年を睨み付けていた。
どうやら仲間ではないらしい。


バンダナ男「誰だか知んねぇーが俺はぁ……っ!!コイツを殺んねーと気が済まねんだよっ!!!」


そうーー折れたナイフを振り上げ
もう一度私を刺そうとしたーーーが、
それも叶わないーー

折れたナイフは地面にぶつかり、砕けた。

私は少年の腕の中ーー。
体格差なんてほぼないというのに
軽々と持ち上げ、すたすたと歩いている。
ある程度歩いたところで私をおろす。


(何者なのーー?)


少年をまじまじと見ていると、


???「救出成功!」


声のする方へ視線を向けるーー
少年の仲間と思われる、背がやたらデカイ
黒髪の男の子がエリアを抱えて近寄ってくる。

エリアはどうやら気を失っているようだ。
この男の子が助けてくれたのか怪我も見当たらない。


『ありがとうっ…』


男の子「どういたしまして。あんた、ちょっとこっち来い。手当てするから」


そう安全なところへ誘導されるのであったーー


*****


ブンッ ブンッ! ズザザ……


『はぁ…はぁ…っ…くそっ!ふざけんなぁぁあっ…!!』


何なんだコイツ!!
急に現れてちょこまかとっ……!!
全然殴れねぇし蹴れねぇしっ…うぜぇガキだな!


少年「はぁ…まだやんの?」


そう、息も切れてないそいつは
頭をがしがしとしながら俺を見下している。
腹が立つどいつもこいつもーー
ここにいる全員皆殺しにしてぇ気分なのに
コイツがそうさせてくれねぇこの状況が
俺を苛立たせている。


『はぁ…はぁ…』


少年「はぁ。お前のそれはただのケンカだ。ケンカじゃなくの手本を見せてやるよ。」


すると突然ガキの目の色が変わったーーーー




『ごふっ……!!!』

(ーー?!何だっ…!?鳩尾みぞおちに何かめり込んでーーー!!)


メリ…メリ…メリィッ………


『ガアァァッ……!!』


ビシャビシャッ…




ドッ!!!! ガシャアアァァァン!!




フェンスが鳴り響く音が聞こえて
俺はそのまま意識を手放したーーー


少年「一発で終わりか。まぁ、の人間じゃ仕方ねぇか。」


*****


『痛っ…』


男の子「おっと、痛かったか?唇切れてるからなぁ、でもこの薬は即効性だからすぐよくなるから。」


男の子はそう言って手に持っている薬を
私に塗ってくれている。
唇は深く切れていて頬は腫れだしてきていた。
大きな湿布の形をした薬を貼ってくれた。
ひんやりしていて気持ちいい。


ザッ… ザッ…


少年「おい戻るぞ。」


そうしていると、
金髪の少年がこちらに戻ってきた。
あの男はどうしたんだろうと辺りを見渡すと
大きく歪んでいるフェンスの下の方で
ぐったりとしている。


男の子「よし、行くかーー」


スッと薬をしまいながら男の子は立ち上がり、
“俺ら行くわ”と言い残し二人は扉の方へと歩き出す。


(ーーえ?行くって…)


ふと、辺りを見渡す私の目には
倒れた二人の不審者、
それとすぐ側で気を失っているエリア。
この状態をどうすればいいのか
私は突然分からなくなった。


『ちょっ…!ちょっと待って!!』


ダダダ…と扉の方へ向かった二人を追いかけた私の視線の先にはーーー


先生「ーー水野!?お前無事かっ!」


そこにはあの二人ではなく、
厚保耶麻と、ーーーー警察。




ーーードクン。




別に焦る必要はないじゃない…
だってこれはーーー、これは、
私がやったことじゃないんだからーー
あの二人がしたことなのだからーーー




警察「こっ……これは……」









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