RINDA

リンダ

文字の大きさ
上 下
1 / 18
第一章

小さな町 闘場町 1

しおりを挟む
ーーーーーーーー朝。季節は冬。


いつものように制服に腕を通し身支度を整え、
家を出る。
おはようございます、私はごく普通の中学生名を水野リンダと申します。

家を出てから約10分程度経ったところで
いつも親友と待ち合わせをしている。

そろそろそこへ辿り着く。と、家の前で
その親友が立っているが何やら様子がおかしい。
黒のニット帽を深く被り、
ガリ勉しかつけないようなバカでかい眼鏡をつけさらにマスクまで着用している。
一体何がしたいんだろうと、
いちいちツッコミを入れるのも面倒な私は
あえて何も指摘せずそのまま親友を連れ
学校へ出発する。


気にせず歩いていると
やはり周りの視線がすごく、
痺れを切らしてしまった私は


『……で?今度は何?』


と聞く。すると何かを企んでいる彼女は


親友「今日これであそこを通過する。」


と、言い放つが残念ながら無理な話。
明らかに怪しいし、
あの人が気づかない訳がない。
あの人とは、体育教師で見た目がちょっと濃い
厚保耶麻剛輝あつやまごうき先生。
髪の毛はいつもオールバックで目付きも悪く
見た感じは怖いが
まあまあ生徒想いのいい先生ではある。

校門に辿り着こうとする私達の視界に、
厚保耶麻が見えてきた。
今日も生徒の身だしなみチェックをしている。
私の歩幅に合わせ彼女は歩き出し、
まるで私の体にシンクロするかように
隠れながら一緒に、おはよーございまーすと
挨拶をし通り過ぎようとするが


先生「……おい、吉本。」


と、早くも気づかれてしまった。
(アホだ。)

今度は何をしたのかしらないが、
私は彼女を置いて先に校舎に向かう為歩き出したーーー。


**********


(ーーーーちくしょう…こうなったら……。)


『先生ぇ~、調子悪いんでぇ~保健室行ってもいいですかぁ~?』


厳しい先生とは言えど、
男にこのエリア様の色香が効かない訳がない!
ウチは装備を取りコホコホと咳をしながら
目を潤ませ厚保耶麻に上目遣いで訴える。


先生「………………」


長い沈黙が続くーーーーー。
………ダメ……なの??


先生「バカな事せず指導室に来なさい。」


ズルズルと襟をつかまれ引きずられるように
ウチは強制連行されていくーーーー。


**********


ーーーーアレが親友だなんてね。
まあ、見てて飽きないけど。

彼女の名前は吉本エリア。
中学入ってからの友達ですぐ仲良くなった。
アホでうるさくていつも元気で…
ていうか元気しか取り柄のないような子だ。
まあ、手のかかるところが
たまに傷って感じではあるが。
毎日楽しく学校生活がおくれるのは
この子のおかげなのかもしれないなんて事は
恥ずかしくて言えないけどね。


**********


(はぁ…たった二日補習サボっただけなのにさ。)


ズルズルと未だ引きずられているウチの目に
置いていったであろうリンダの姿が見えた。
長い髪が風でなびいている姿を見ていると
いい事を思い付いてしまった。

リンダだからこそ
ウチのこの罪を軽くしてくれる。
まぁこれは先生達に一目置かれている
リンダしか出来ない事なんだけどね!ふふふ


『先生っ…苦し…』


そうもがくウチに対し
悪い、と厚保耶麻は
つかんでいた襟を離してくれた。

ーーーー今だ。

コオオォォォォ………!!!!と、
ウチは前のめりな体制かつものすごい勢いで
リンダの元へと駆けていくーーーー。


『リンダァァァァァァ!!!!!』


周りの人間が
その獣じみた勢いのウチを避けていく。
そして、目を見開くリンダに
ガシッ!としがみつきこう言うのだ。


『助けてぇ…』


ホント、ウチってずるいよねぇ☆笑


**********


『ホント色々と最悪なんですけど』


2年B組、私達の教室前の廊下を
何故か授業中に掃除している。
全てはヤツーーーーエリアのせいだ。

この前のテストで赤点をとってしまった彼女は
一週間の補習を受ける事になっていたが
一人だけ補習を受けるのが嫌だという理由から
逃げ出したのが原因。

いつも放課後、エリア達と遊んでいるけど、
赤点とったのは知っていたが補習の日は決まって遅れて合流していたから気づかなかった。
まさか遅れていた時間が、先生の目を盗んで
逃げ出そうと試行錯誤していた時間だったなんて誰が気付くだろうかーーー。


エリア「掃除の方が勉強より楽しいじゃん!」


と、泣き出しそうな顔でしがみついてきた時とは違いとても嬉しそうに言う。
そりゃそうだろう。
どうしてもエリアが嫌がるので呆れた先生が
補習はあと二日でいいということにし、
その代わり後は私が教えてやってくれということになったのだからーーー。
全く仕方がない親友だ。


???「楽しいのはオメーだけだろ、なあ?エリア」


開いていた窓から私達の様子を見ていたのは
一年からの友達、佐々木マロン。
彼女はいつも遊んでいる
私達のグループの一員だ。
口は悪いが裏表のない素直な性格で見た目で判断されやすいけど友達想いの優しい子だ。



マロン「リンダも大変だねぇ、こんなアホに振り回されて」


ハハハと笑っているマロンに
私も頷き溜め息をつく。


マロン「先公に見逃してもらえたのはリンダのおかけだ、ちゃんと感謝しねぇとな。」


と、ムッとしているエリアにそう言う。
遊ぶのも大事だけどこれで少しは
勉強も頑張ってくれたらいんだけどなぁ。

エリアの成績は正直かなりヤバイ。
学年的に下から5番目とかその辺だ。
てか5番目はまだマシな方だ。
酷い時は…まぁ、うん。

遊んでばかりなのが悪いのかもしれない。
これからは放課後みんなで一緒に
勉強会してもいいかもね。


エリア「分かってるっつーの!うっさいなぁマロンは!」


マロン「あ?あんま調子のってっとシメるぞ」


と、そんな事を考えてる私の目の前で
言い合いをしている二人を見ていると
コラーー!佐々木ーー!!と、
教室内から声が聞こえた。


マロン「おっと、悪ィ。じゃあな」


ガララ…と窓を閉め、
私達もさっさと掃除を終わらせて
教室に戻ろうと掃除を再開したーーーーー。






???「さーーて、殺ろっかなぁあ…?」







しおりを挟む

処理中です...