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175話 束縛
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「莉子、今日は時間があったからお弁当を作ったよ。夏君の分もあるから、いつも送迎をありがとうと伝えてね。
あと、クッキーも焼いたから、良かったらお友達にも食べてもらうといいよ」と俺が言うと、莉子が「いえ~い!サンキュ春ちゃん」と喜んで大学に行った。多分、夏君は下の正面玄関の横で待っていると思うから渡せるね。
夏君がいるから俺は安心して仕事に行けるよ。今日の莉子はシャツを着て上までボタンを留めていた。俺が昨日マークを付けたからだと思うけど、やり過ぎたかなあ?
やきもちを妬いて欲しいと莉子が言うから、マークしたんだけど、それが良かったのか悪かったのかは分からない。
ただ、シャツのボタンを外さないことを願っているよ。莉子もわかっていると思うけど。
昨日のことがあって、なんだか胸がもやもやして寝苦しかったよ。それで早朝から起きてクッキーを焼いて弁当作りをした。
今日は大学病院だからいつものように職員用の食堂で食べるつもりだ。行けば、川瀬や岩城と会うこともあるから、会えば結構楽しい時間になる。
今日の診療はすごく多かった。予約制なんだけど飛び込みも断れないから、押せ押せになって中々終わることが出来ない。1時を回ってようやく昼飯になった。食堂に行くと、珍しく岩城がいた。
「珍しいなあ、いつもいない人がいるなんてねえ。ふふ、暇なのか?」と俺が言うと、「バカ言えよ。暇なわけないだろう。時間を見つけて振り絞って今来たんだよ」あはははと二人で笑った。
「なんか俺に用でもあったのか?話があってきたんだろう?」なんだかちょっと嫌な予感だ。
岩城が「さすがだよ。よくわかるねえ」とにやりと笑って言う。ちょっとイラっとして「なんだよ、話って」と聞いた。
「俺が見かけたんだけどさ、義兄さんのカフェに莉子ちゃんとカッコいい背の高い男の子が一緒だったけど、いいのか?お宝姫さんだろう?」ふっ、知ってるよ。
「夏君って言うんだ。この前テニスコートで会っただろう?浅田夏輝君だよ。莉子と同じクラスなんだ。この前の行方不明事件以来、心配して毎日送迎してくれているんだよ。いい子だよ」
岩城がちょっと不満げに「はあ~ん、そうか。心配はしないのか?」と聞いてきた。
俺が「しないよ。してどうする?いちいち心配していたら大学には行かせられないよ。莉子が一歩外に出たら、後は任せているんだよ。大丈夫だよ。そりゃあ、カフェにだって行くことはあるだろうよ。かまわないよ。莉子の青春だからさ」と俺が言うと、岩城は頬杖をついて目をつぶって納得がいかない顔をしていた。
「お前は本当にすごいなあ~、俺ならできないよ。束縛だらけにするよ、絶対にだ!」と岩城がムキになって言うからおかしくなった。なるほどな。ふふっ、そうか。
「束縛して済むくらいなら簡単だけどな。全部を縛るなんて無理なことだよ。俺は莉子を信じているからさ。ところで、洋子さんは元気か?束縛しすぎて嫌がられていないか?そっちの方が心配だよ」と聞くと岩城が笑い出した。
「あははは、こっちは大丈夫だよ。もうたっぷりとかわいがっているからさ」ふ~ん、そうか。
「いつまで続くかねえ。嫌われないように頑張れよ」と俺が言うとあはははと二人で笑った。
さあ、仕事に戻ろうか?、外科も忙しいんじゃないか?
「そうだよ。俺は昨日寝ていないんだよ。手術でさあ、だのに!今日も仕事をやっているんだよ、洋子をかわいがる暇もないんだ。俺がかわいそうだよ」なるほどな。ふっ、まあ、頑張れよ。じゃあな。と言って岩城と別れた。
ちょっと笑えるな。ふふふ、忙しいやつだ。 ああ~それにしてもマークやり過ぎた・・。
あと、クッキーも焼いたから、良かったらお友達にも食べてもらうといいよ」と俺が言うと、莉子が「いえ~い!サンキュ春ちゃん」と喜んで大学に行った。多分、夏君は下の正面玄関の横で待っていると思うから渡せるね。
夏君がいるから俺は安心して仕事に行けるよ。今日の莉子はシャツを着て上までボタンを留めていた。俺が昨日マークを付けたからだと思うけど、やり過ぎたかなあ?
やきもちを妬いて欲しいと莉子が言うから、マークしたんだけど、それが良かったのか悪かったのかは分からない。
ただ、シャツのボタンを外さないことを願っているよ。莉子もわかっていると思うけど。
昨日のことがあって、なんだか胸がもやもやして寝苦しかったよ。それで早朝から起きてクッキーを焼いて弁当作りをした。
今日は大学病院だからいつものように職員用の食堂で食べるつもりだ。行けば、川瀬や岩城と会うこともあるから、会えば結構楽しい時間になる。
今日の診療はすごく多かった。予約制なんだけど飛び込みも断れないから、押せ押せになって中々終わることが出来ない。1時を回ってようやく昼飯になった。食堂に行くと、珍しく岩城がいた。
「珍しいなあ、いつもいない人がいるなんてねえ。ふふ、暇なのか?」と俺が言うと、「バカ言えよ。暇なわけないだろう。時間を見つけて振り絞って今来たんだよ」あはははと二人で笑った。
「なんか俺に用でもあったのか?話があってきたんだろう?」なんだかちょっと嫌な予感だ。
岩城が「さすがだよ。よくわかるねえ」とにやりと笑って言う。ちょっとイラっとして「なんだよ、話って」と聞いた。
「俺が見かけたんだけどさ、義兄さんのカフェに莉子ちゃんとカッコいい背の高い男の子が一緒だったけど、いいのか?お宝姫さんだろう?」ふっ、知ってるよ。
「夏君って言うんだ。この前テニスコートで会っただろう?浅田夏輝君だよ。莉子と同じクラスなんだ。この前の行方不明事件以来、心配して毎日送迎してくれているんだよ。いい子だよ」
岩城がちょっと不満げに「はあ~ん、そうか。心配はしないのか?」と聞いてきた。
俺が「しないよ。してどうする?いちいち心配していたら大学には行かせられないよ。莉子が一歩外に出たら、後は任せているんだよ。大丈夫だよ。そりゃあ、カフェにだって行くことはあるだろうよ。かまわないよ。莉子の青春だからさ」と俺が言うと、岩城は頬杖をついて目をつぶって納得がいかない顔をしていた。
「お前は本当にすごいなあ~、俺ならできないよ。束縛だらけにするよ、絶対にだ!」と岩城がムキになって言うからおかしくなった。なるほどな。ふふっ、そうか。
「束縛して済むくらいなら簡単だけどな。全部を縛るなんて無理なことだよ。俺は莉子を信じているからさ。ところで、洋子さんは元気か?束縛しすぎて嫌がられていないか?そっちの方が心配だよ」と聞くと岩城が笑い出した。
「あははは、こっちは大丈夫だよ。もうたっぷりとかわいがっているからさ」ふ~ん、そうか。
「いつまで続くかねえ。嫌われないように頑張れよ」と俺が言うとあはははと二人で笑った。
さあ、仕事に戻ろうか?、外科も忙しいんじゃないか?
「そうだよ。俺は昨日寝ていないんだよ。手術でさあ、だのに!今日も仕事をやっているんだよ、洋子をかわいがる暇もないんだ。俺がかわいそうだよ」なるほどな。ふっ、まあ、頑張れよ。じゃあな。と言って岩城と別れた。
ちょっと笑えるな。ふふふ、忙しいやつだ。 ああ~それにしてもマークやり過ぎた・・。
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