医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

142話 生理再び・２

莉子の点滴のタイマーで起こされた。１本終わって、もう一本を追加した。またタイマーを掛けた。
痛み止めを入れてやりたいが、もう少し時間を開けないと駄目だな。俺が寝る前に痛み止めの注射をしよう。

ちょっと寝てしまったな。莉子はよく眠っていた。俺は簡単な食事を作って食べた。それから風呂に入った。
一人で風呂に入るのは本当に嫌だ。莉子との風呂が天国なら、一人ぼっちはグレーの世界だよ。

莉子のことを考える。本当にどうにかしてやれないものだろうか？　不公平だよね。

　痛みを選ぶか？　子宮と卵巣を取って無痛を選ぶか？　莉子が良いと言うなら、俺は子供なんて要らないんだ。

でもそんな選択を迫れば莉子はきっと壊れるだろう。　まだ18歳なのに.....。両親もがっかりするだろう。
　
......駄目だ、不毛のループに入るぞ。上がろう。

莉子はまだ良く眠っている。疲れていたんだね。　ちょっと診察をしておこう。熱を測る。反対側の手で血圧を測る。

聴診をして音を確かめる。どくどくと聴こえる音が莉子の生きている音だ。元気でいてくれよと願う。

明日の朝はどうかなあ。明日は酷く痛がるなら痛み止めの注射を追加する。で、しばらく時間を開けて次は座薬にしよう。　
ナプキンも交換した。やっぱり出血が多いんだよな。普通に考えると、子宮内膜症が進んで子宮が固くなって肥大しているから経血量が多いということか。

なら、ホルモン剤が必要か？　ちょっと川瀬に相談しよう。
このまま放っておいたら貧血が進んでしまう。莉子は食が細いから、それは避けたいんだ。

俺は医者なのに莉子のことになるとまともに思考しなくなる。病気が進んでいることを認めたくないんだ。
でも薬で少しでも抑えられるなら、早く診てもらった方が莉子のためだな。明日予約を取ろう。

俺は莉子の点滴が終わるまで少し仕事をした。明日の予約状況と内容の確認だ。必要があれば、いろいろ調べて必要なことをまとめておく。父にも現在の状況報告をしておく。

それから、莉子の為の薬剤をまとめて送ってもらうように手配を頼んだ。開業でもしていれば、業者が出入りしてくれるけど、少しずつしか要らないから父に頼むだけで十分だ。

あと、莉子の今の状況を伝えておく。治療報告もしておく。これも危機管理の一つだ。
これらを全部やっても１時間もかからない内容だ。

ああ～莉子が寝込んでいるとつまらない。そうだ、３月は莉子の誕生日が来る。旅行は三月にしよう。
宿の手配が間に合わないんだよね。旅行シーズンだからな。チューリップくらいは咲いているよね。そんなところに莉子を連れていきたいな。

よし、まず宿と場所を決めよう。