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136話 発熱

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 俺はここまで頑張った莉子を褒めたいよ。いまだかつてこんなに運動をしたことはないんだ。あのテニスコートも野外だったし、よくあれだけ長時間運動が出来たと思う。
そういうわけで当然、あのテニスから帰ってからは歩くのがやっとで、車から降ろしたら抱っこするしかなかったよ。家に入ったらそのままベッドに直行だった。緊張感が解けて力が尽きたらしい。
それ以降、莉子は起きないんだよ。声を掛けても返答なし。ごはんも食べずにずっと起きられなかった。それでも今までのことを考えれば、これでも上出来だ。

熱が37度8分出ていたから、夜のうちにすぐ点滴をした。水分不足もあるしね。疲労だと思うからこれでよく休んでおけば、三日もすれば元気になるよ。俺はその間に風呂に入った。
点滴が終わったら、蒸しタオルを作って莉子の身体を拭いてやって着替えさせた。明日は日曜だし用事はない。莉子をゆっくりと寝かせておこう。 
俺も今日はちょっと疲れた。久しぶりの運動だったし、早朝からお弁当も作ったしね。莉子をひやひやしながら見ていたからなあ。そういう気疲れかな? ふっ。 さあ早く莉子と一緒に寝よう。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

夜中に莉子がトイレに行きたがったので、抱っこして連れて行った。やっぱり熱があるせいか、上半身がフラフラしていて危ない。支えていないと無理だな。ベッドに連れて帰って、水だけは飲ませた。莉子、少し脱水だよ。と声を掛けた。莉子は聞いているのか聞いていないのか?はわからないが、ぼうっとしたまま、また眠った。よほど疲れたんだな。
でもいいよ。学校だけでも疲れているのに、毎晩運動したんだからな。莉子にとっては生まれて初めて運動したというだけで、前代未聞の出来事なんだよ。偉かったぞ。そう言うと莉子の髪を撫でて頬にキスをした。
でも早く元気になってね。寂しいよ。やっぱりすごく抱きしめたいからさ。

朝の診察だ。胸の音もおなかの音も悪くない。熱は37度3分。まだちょっと微熱があるね。
触診をしたけど、少し下腹が張っているようだ。う~ん。もう少し回復するまで様子をみよう。夜までに張りが強くなるようなら出させてやらないと無理かもな。あとは、食べられるかどうかにかかってるよ。

俺は雑炊を作った。栄養があって消化の良いものが必要だから、鶏肉と野菜も入れた。あと冷凍のダークチェリーを入れてミルクプリンを作った。俺も雑炊を食べるよ。不足分は早めの昼食で補うことにして、次は洗濯だな。昨日のテニスで使った服やタオルがいっぱいあるから多い。洗濯をしながら軽く掃除もした。

さて、莉子を起こそう。莉子の髪を撫でながら、起きれるか?頬をツンツンとした。次は鼻をつまんだ。起きるよ。ご飯だよ~。今度は両方のほっぺを引っ張る。「もう~起きた!!」ぷっ おお、よしよし。良い子だ。

莉子、しっかり食べないとまた注射だよ。「いやだ~!」はい、さあ起きようね。莉子が冷えないように、もこもこのピンクの上着を着せた。ふっ、まるでぬいぐるみだねえ。
雑炊を見ると、やったーっと言って喜んだ。フフフ、好きだもんねえ。食欲はあるようだ。良かったねえ。結局、莉子は俺と同じくらい食べられた。奇跡だよね? 運動の効果なんだろうか?ならうれしいことだ。元気になったらテニスを続けようね。
莉子、ダークチェリーの入ったミルクプリンもあるよ。食べるか? 「食べりゅう~」そうかそうか、出してやると、うわ~おいしそうと言って、これまた全部食べた。信じられない!こんなことがあるのか?

笑いが止まらないとはこのことだなあ。なんだかうれしくて抱きしめたい!莉子~おいでーと両手を広げた。莉子がふふふと笑いながら飛び込んできた。う~ん、なんてかわいいんだ。莉子大好きだよ。愛してるよと、もうキスが止まらなくなってしまった。ふふふ

莉子、まだ微熱があるから今日はちゃんと寝ていないと駄目だよ。分かった? 「うん」と胸の中で頷く。顔を上げさせてまた深いキスをしてしまう。ああ~誘惑されちゃうなあ。病人なのに。

じゃあ、歯磨きをしたらベッドに行ってください。俺はカフェに行って中村にちょっと会ってくるからね。パンも買ってくるよ。何のパンがいいの? 「シナモンのドーナツと洋ナシのタルトとホワイトロール」よし、OKだ。
じゃあ、行ってくるね。
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