医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

129話 テニスのお誘い

莉子は相変わらず家に帰ると絵本作りに夢中だ。　そういえば、莉子が今までこんなに夢中になって取り組んだことってなかったな。　なんとかモノになって欲しいよ。そうすれば俺の夢が叶うからさ。

大学の絵画部では全員が絵本作りに励んでいるんだって。ボランティアや、新入生の勧誘に使いたいらしい。俺も大賛成だよ。頑張ってね。

趣味を持っている人がうらやましいんだよね。俺の医大時代はテニス部で、産婦人科医の川瀬も同じテニス部だったんだ。勉強でストレスが溜まると気晴らしによく練習をしたんだよね。でも結局、勉強が大変で、だんだんやる時間が無くなってきてさ、川瀬とは図書館で居残り勉強を良くしたもんだよ。なんせ二人ともついていくだけでめちゃくちゃ大変だったからさ。結局、趣味がない状態がもう10年になるよ。

同期というと、同じ大学病院の外科に岩城 達也ってのがいるんだけど、あいつは天才的頭脳の持ち主でさ、川瀬と俺はよく愚痴をこぼしていたよ。そういえばあいつはまだ独身だったな。まあ、それでも同じテニス部だったからよく練習は一緒にしたよなあ。俺が唯一あいつに勝てるのはテニスだけだったんだ。ふふふ。懐かしいなあ。

もうずっとやっていないから、もう一度やってみたいなあ。川瀬を誘おうかなあ？それに岩城も誘ってみようかな？。もう一人足りないなあ。そうだ。確かカフェの中村もテニスをやっていたって言っていたなあ。うん。これで4人か。良し！声を掛けてみよう。そうだすぐ電話して聞いてみよう。来週の土曜あたりはどうかなあ？

早速中村に電話したら、即OKだった。(笑)　なんだ、忙しいのかと思ったら遊びに行く暇はあるんだな。(笑)
で、ちょっと待ってくれって言うんだけど、電話のそばでこちょこちょ誰かと喋っているよ-----?

そしたら妹の洋子さんも行ってもいいか？って聞いてきた。なんと洋子さんは小学生からずっとテニスをやっていて、大会に出るといつも入賞していたんだって。へ～え、マジか！すごいじゃん。

まあ５人になっても交代でやればいいな。多分、筋金入りの選手とへっぽこテニスの俺たちとは全然レベルが違うんだろうなあ。(笑)　まあ、楽しみだ。

よしよし、日にちは来週の土曜日午後になった。場所は車で２０分くらいの大きな公園のテニスコートを借りることにした。じゃあ、あとは病院組だな。莉子の生理は月末あたりに始まる予定だから、なんとか重ならないな。よし。

月曜に川瀬と岩城に聞いてみよう。楽しみだ～。一人ホクホクしていた。友達と遊ぶなんて何年ぶりだよ。
そういえば、俺はずーっと遊んでいないもんな。莉子のお供で買い物に行くくらいだ。

なんだか俺、浮かれてニヤニヤしてきたよ。ラケットを準備しておこう。あっ、弦を張替えた方が良くないか？もう10年も前の奴だからね。すぐに頼んでおこう。それとボールは新しいものを買っておかないとだめだ。

あっ、テニスシューズもいるなあ。しかも履き慣らしておかないとだめだ。もう10年近くやってないからなあ～。あっ靴下もいるな。全部買い直しだよ。うれしい悲鳴だな。
んん？　そういえばテニスラケットって10年経つと随分新しいものが出ていたりして？？う～ん。見てから考えよう。弦を張り替えるより、新しいものを買った方が良いかなあ？それとも慣れたものの方がいいかなあ。微妙だな。その辺の情報に疎いからなあ。

そうだ、テニスウェアもなんかカッコいいのにしたいなあ。学生時代なんてロクなのないからな。
ああ～また浮かれて来た。今度の週末に買うよ。