医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

118話 入籍・1

今日はネット診療の日で4時に終わる。莉子を大学に迎えに行かないといけない。
入籍届は、前に両親と食事会に行った時に、いつでも出せるように立会人として署名をしてもらっているのがある。もちろん、俺たちだって署名している。あとは出すだけなんだよ。指輪だって間に合ったんだし、タイミングとしては良かったんだよな。

本当はあの時に出しても良かったんだよね......。でも莉子が18歳だからなあ......。やっぱり早すぎると心の中ではどこかで思っていたんだよね。　罪悪感なのかな？　そうだね。それがいっぱいあったよ。こんな子供の莉子に8歳からとはいえ、32歳の男が結婚の枠に閉じ込めていいのか？という思いは確かにあったよ。
だから踏み出せなかった。俺の気持ちにウソはないんだけど、やっぱりどこかに後ろめたさがあったんだよね。

大学は4年間もあるんだ。沢山の男もいる。その中の誰かが莉子を好きになるかもしれないと思ったよ。
いくら身体が弱いといっても、あれだけ可憐でかわいいんだから、気になるよね。守ってあげたいと思ったとしても、それは男の本能だよ。あの5人の男子学生を見て確信したよ。

だから大学の4年間は莉子への猶予期間のつもりだったんだ。言い訳かもしれないし、優柔不断なのかもしれない。結局、莉子の気持ちが変わらないという確信がなかったんだよね。だってまだ18歳だよ。これからなんだよ。
今日の莉子は目が腫れたままで大学に行ったんだけど、周りの子たちはどう思ったかなあ？俺は本当に自分に自信が持てないよ。
そうやっていじけている間に夏君からメールが来た。

「今日の莉子は元気がないし、目が泣きはらしたみたいになっているし、どこか具合でも悪いのかと聞いても何も言ってくれないんだけど、お兄さんは何かご存じですか？皆心配しているから、ちょっと代表して伺いますが、もし立ち入ったことだったら、無理にお答えいただかなくても大丈夫です」

来たかー。そうそう、これだよね。俺がいなくて他の男の方が莉子を幸せに出来るんじゃないか？って思ってしまうんだよ。はー。返信しないとまずいな。

＜ご心配をありがとう。昨日ちょっとした気持ちの行き違いがあって、莉子を泣かせてしまいました。今反省しています。木曜日なら皆さんにちゃんとお話しができると思います。木曜日に、ご迷惑でなかったら、莉子と二人で皆さんにお話ししたいことがあるので、大学が終わったらお時間をいただけませんか？＞

そう返信した。すると5分くらいで返信が来た。OKだった。そうだよね。気になるよね。はあー。